秋も深まりる夜、ヤフオクを眺めていると不朽の名機と言われた S-38の前作である S-41G "Sky Rider Jr." が出品されていた。オネーチャンとの休日ゴルフを1回キャンセルしたつもりで入札したところ、想定内の価格で落札できたためご紹介する (*^-^)v ィェィ♪
Hallicrafters S-38 を手に入れてからというもの、この受信機にすっかり魅了されてしまい、夜毎、どこの国からともなく届くラジオ番組に耳を傾けながら眠りに就く日々が続いている。
不朽の名機と言われる Hallicrafters S-38の源流は、1941年に発売された ハリクラフターズ社の別ブランド Echophone EC-1から、1945年 新たにHallicraftersブランドで発売された S-41G "SkyRider Jr." の系譜へと遡る。
安価な入門用短波受信機 Echophone EC-1からEC-1A、B、さらに今回ご紹介する S-41G "Sky Rider Jr." を経て、S-38へと進化したプロセスは非常に興味深い。
▲ヤフオクで落札した Hallicrafters S-41G "Sky Rider Jr." は還暦過ぎた63才!(笑)
高級通信機メーカーであるハリクラフターズ社は、安価な入門者用短波帯受信機であるEC-1の発売にあたり、ブランドの失墜を懸念。Hallicrafters のブランドを使わず、1935年に買収合併したエコフォンラジオ社 Echophoneの名前で発売することにした。第二次大戦勃発と参戦に伴い、短波受信機や短波ラジオの生産は制限されたが、Echophone EC-1 だけはEC-1A、Bへとモデルチェンジを行ない、例外的に終戦まで供給され続けた。予想以上に高性能を発揮するEC-1シリーズはEchophoneブランドでありながら、実はハリクラフターズ社の設計・生産ラインから送り出される製品であることをユーザーは暗黙のうちに周知しており、大いに人気を得ていた。
▲Hallicrafters ブランドは冠されなかったEchophone EC-1(左)と EC-1A(右)
第二次大戦の終了した1945年、ハリクラフターズ社はEchophone EC-1Bのキャビネットを塗り替え、ユーザー憧れの" Hallicrafters "ブランドと、さらには同社の高級受信機に与える" Sky Rider "の名前を冠して発売された機種が今回ご紹介する S-41G "Sky Rider Jr."である。
さらにその翌年 ’46年、 S-41G "Sky Rider Jr."をベースにして、20世紀を代表するプロダクツ・デザイナー、レイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)による意匠デザインを加えた結果、Hallicraftersの名に恥じないシンプルかつ機能美を兼ねそろえた不朽の名機 S-38シリーズが誕生する。
▲Echophone EC-1からHallicrafters S-41Gを経て誕生した、不朽の名機 S-38
落札から数日後、宅配便で送られてきた S-41G は、齢(よわい)63才・・・人間なら還暦を迎える受信機であり、キャビネットの汚れや錆、塗装の剥がれが、長い年月を経た趣を醸し出している。キャビネットへの大きなダメージは無く、ツマミ類もすべて揃っているが、残念ながら、裏蓋は欠品となっている。
このS-41G を目視点検していると、戦後すぐに生産された日本製真空管ラジオと比べ経年劣化を差引いても、当時のアメリカがいかに高品質な製品を生産していたかを物語る史料となり得るS-41G の出来栄えに感心する。
キャビネットの天板を取外すと、60年の経年劣化はあるもののキレイなシャーシの上に、'45当時の真空管(メタル管、GT管)とIFT、高周波同調バリコンが整然と並ぶ。真空管も当時のアメリカでは、一般的なラインアップだ。
メーカー: Hallicrafters社 S-41G (1946)
サイズ : 高さ(約220mm)×幅(約00mm)×奥行き(約220mm) 4.7kg
受信周波数 : 中波 540~2000kC/2.0~8.0MC /8.0~30.0MC
使用真空管 :
12SA7 (周波数変換用7極メタル管) 局部発振・周波数変換
12SK7 (リモートカットオフ5極メタル管) 中間周波数増幅
12SQ7GT (双2極・高μ3極GT管) 検波・初段低周波増幅
12SQ7GT (双2極・高μ3極GT管) BFO / ANL
35L6GT (ビーム出力GT管) 低周波出力
35Z5GT (2極整流GT管) 整 流
電 源 : AC 115-125V/50-60cycles
スピーカ: Permanent Magnet Dynamic Loudspeaker (moving coil)
▲天板を外すと'45当時の真空管とIFT、高周波同調回路が整然と並ぶ
S-41G "Sky Rider Jr." は、550 kHzから30MHzまでをロータリー・スイッチにより3バンド切替えにてカバーするが、広い帯域の短波を2バンドにしか分割していないため、メイン・チューニングつまみをごくわずか動かしただけで周波数は大きく変化する。その対策として周波数の微調整を行なうためのバンドスプレッド機構を採用し、スムーズな選局が可能となっている・・・・はずだが、バンド・スプレッド用のバリコンが見当たらない・・・!
よく見ると、右側のバンド・スプレッド用ツマミのシャフトに糸掛けと何やらバネで細工が施してある。 これって・・・・??
■次回の記事 ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-41G "Sky Rider Jr." (2)
Hallicrafters S-38 を手に入れてからというもの、この受信機にすっかり魅了されてしまい、夜毎、どこの国からともなく届くラジオ番組に耳を傾けながら眠りに就く日々が続いている。
不朽の名機と言われる Hallicrafters S-38の源流は、1941年に発売された ハリクラフターズ社の別ブランド Echophone EC-1から、1945年 新たにHallicraftersブランドで発売された S-41G "SkyRider Jr." の系譜へと遡る。
安価な入門用短波受信機 Echophone EC-1からEC-1A、B、さらに今回ご紹介する S-41G "Sky Rider Jr." を経て、S-38へと進化したプロセスは非常に興味深い。
▲ヤフオクで落札した Hallicrafters S-41G "Sky Rider Jr." は還暦過ぎた63才!(笑)
高級通信機メーカーであるハリクラフターズ社は、安価な入門者用短波帯受信機であるEC-1の発売にあたり、ブランドの失墜を懸念。Hallicrafters のブランドを使わず、1935年に買収合併したエコフォンラジオ社 Echophoneの名前で発売することにした。第二次大戦勃発と参戦に伴い、短波受信機や短波ラジオの生産は制限されたが、Echophone EC-1 だけはEC-1A、Bへとモデルチェンジを行ない、例外的に終戦まで供給され続けた。予想以上に高性能を発揮するEC-1シリーズはEchophoneブランドでありながら、実はハリクラフターズ社の設計・生産ラインから送り出される製品であることをユーザーは暗黙のうちに周知しており、大いに人気を得ていた。
▲Hallicrafters ブランドは冠されなかったEchophone EC-1(左)と EC-1A(右)
第二次大戦の終了した1945年、ハリクラフターズ社はEchophone EC-1Bのキャビネットを塗り替え、ユーザー憧れの" Hallicrafters "ブランドと、さらには同社の高級受信機に与える" Sky Rider "の名前を冠して発売された機種が今回ご紹介する S-41G "Sky Rider Jr."である。
さらにその翌年 ’46年、 S-41G "Sky Rider Jr."をベースにして、20世紀を代表するプロダクツ・デザイナー、レイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)による意匠デザインを加えた結果、Hallicraftersの名に恥じないシンプルかつ機能美を兼ねそろえた不朽の名機 S-38シリーズが誕生する。
▲Echophone EC-1からHallicrafters S-41Gを経て誕生した、不朽の名機 S-38
落札から数日後、宅配便で送られてきた S-41G は、齢(よわい)63才・・・人間なら還暦を迎える受信機であり、キャビネットの汚れや錆、塗装の剥がれが、長い年月を経た趣を醸し出している。キャビネットへの大きなダメージは無く、ツマミ類もすべて揃っているが、残念ながら、裏蓋は欠品となっている。
このS-41G を目視点検していると、戦後すぐに生産された日本製真空管ラジオと比べ経年劣化を差引いても、当時のアメリカがいかに高品質な製品を生産していたかを物語る史料となり得るS-41G の出来栄えに感心する。
キャビネットの天板を取外すと、60年の経年劣化はあるもののキレイなシャーシの上に、'45当時の真空管(メタル管、GT管)とIFT、高周波同調バリコンが整然と並ぶ。真空管も当時のアメリカでは、一般的なラインアップだ。
メーカー: Hallicrafters社 S-41G (1946)
サイズ : 高さ(約220mm)×幅(約00mm)×奥行き(約220mm) 4.7kg
受信周波数 : 中波 540~2000kC/2.0~8.0MC /8.0~30.0MC
使用真空管 :
12SA7 (周波数変換用7極メタル管) 局部発振・周波数変換
12SK7 (リモートカットオフ5極メタル管) 中間周波数増幅
12SQ7GT (双2極・高μ3極GT管) 検波・初段低周波増幅
12SQ7GT (双2極・高μ3極GT管) BFO / ANL
35L6GT (ビーム出力GT管) 低周波出力
35Z5GT (2極整流GT管) 整 流
電 源 : AC 115-125V/50-60cycles
スピーカ: Permanent Magnet Dynamic Loudspeaker (moving coil)
▲天板を外すと'45当時の真空管とIFT、高周波同調回路が整然と並ぶ
S-41G "Sky Rider Jr." は、550 kHzから30MHzまでをロータリー・スイッチにより3バンド切替えにてカバーするが、広い帯域の短波を2バンドにしか分割していないため、メイン・チューニングつまみをごくわずか動かしただけで周波数は大きく変化する。その対策として周波数の微調整を行なうためのバンドスプレッド機構を採用し、スムーズな選局が可能となっている・・・・はずだが、バンド・スプレッド用のバリコンが見当たらない・・・!
よく見ると、右側のバンド・スプレッド用ツマミのシャフトに糸掛けと何やらバネで細工が施してある。 これって・・・・??
■次回の記事 ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-41G "Sky Rider Jr." (2)