昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
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東芝 マツダラジオ  かなりやB 5LB-49

2010-09-23 | 東芝 かなりやシリーズ
東芝かなりやシリーズの中にヤフオクに出品されることも稀な “レア物”はあるが、それを越えた、“幻の機種”が存在する。東芝かなりや のコレクションを開始して4年目にして、初めてヤフオクに出品されている“幻の かなりやB”を発見!! 1年半振りに入札を試みた。 
 かなりやシリーズは、昭和29年(1954年)以降、約10年間にわたり約30種類以上の機種が製造された訳だが、まず かなりやA~F の中波専用6機種を発売。
今回入手した かなりやB(5LB-49) は、初号機 かなりやA(5MB-42) に続く2番目の機種である。 
    
    ▲東芝かなりやシリーズの中でも超レアな、幻の かなりやB
 しかし当時のパンフレットに 『かなりやA』と『かなりやB』は記載されておらず、この2機種の発売期間は極めて短命に終わったものと思われる。
1号機の かなりやA は同シリーズの企画に急きょ間に合わせたためなのか、オートトランスと同調回路に糸掛け減速機構を採用していたが、反面、2号機の かなりやB(5LB-49) ではトランスと同調回路の減速機構を取り払い、大幅なコストダウンを図った「かなりやシリーズ」の原点と言うべき機種である。
    
    ▲埃や汚れは付着して汚いが、パーツの欠品はない
 実際、真空管ラジオのコレクションを始めて4年、ヤフオクへ出品される初期の かなりやシリーズは、“レア物”として数万円の落札金額になるのだが、『かなりやB』は出品されたのを見たことすらなかった。 
まさにコレクターにとっては、「幻の かなりや」と言われる所以だ。
ちなみに かなりやAとBの2機種の裏蓋には急拵えの「かなりやシール」が貼られ、「かなりや」の名称が印刷されたのは、かなりやC以降である・・・ ^^;
    
 過去、出品頻度の少ない機種ではコレクターの方と競合のため何度もとり逃がしていたトホホな店長だが、今回は出品タイトルがコレクターに発見されにくい「芝浦電気 SHIBAURA 昭和レトロ 真空管ラジオ」としか記されていない幸運にも恵まれ、極端な競合入札や価格高騰もなく、予算内(居酒屋1軒分♪ ^^;)で捕獲できた。

 かなりやシリーズの発売されるわずか2年前の昭和27年(1952年)、三洋電機が日本初の熱硬化性樹脂プラスチック製キャビネットのラジオSS-52を発売するまで、日本製ラジオは木製ケースを使った定型的なラジオしか出回っていなかった。
しかしプラスチック射出成形金型の導入により、真空管ラジオはメーカーや機種ごとに独自性を求めたデザインが模索され、50年以上経った今、そのオリジナリティが昭和を懐かしむ真空管ラジオフリークを魅了する。
    
 アメリカ製ラジオのベークライト・キャビネットを模倣したチャコール・ブラウンのキャビネットにゴールドを加えて豪華さを演出しようとしているが、似て非なる仕上がりは、ジャパネスクの独自な雰囲気を醸し出す。
かなりやシリーズを通じ、昭和高度経済成長期のマーケティングのカオスを垣間見つつ、その時代を生きてきた人々の情景に思いをめぐらせる楽しみは格別である。

  メーカー: 東京芝浦電気(TOSHIBA)

  型 式 : かなりやB 5YB-49

  サイズ : 高さ(約15cm)×幅(約28.5cm)×奥行き(約13.5cm)

  受信周波数 : 中波 530KC~1605KC

  使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)
           12AV6(検波&低周波増幅)、35C5(電力増幅)、25MK15(整流)

    
    ▲パーツの欠品も無く、外観はかなり程度の良い部類
 宅急便で届いた かなりやBは、旧家の蔵にでも保管されていたのだろうか、プラスチック製キャビネットは、50年の間に付着した埃と汚れ、軽い擦り傷があるものの、パーツの欠品も無く、外観はかなり程度の良い部類である。
裏蓋を開けると、キャビネット内、シャーシやバリコンには50年間の埃が堆積している。真空管はすべてマツダ製、この時期に発売された真空管ラジオは現在では手に入りにくく流通価格の高い整流管25MK15が抜き取られているため、状態が心配だ。
    
    ▲かなりやAのシャーシを流用、右端の整流管25MK15が抜き取られている