昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」 (番外)

2005-12-26 | 三菱電機 真空管ラジオ
   「男の自由時間 -真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!-」(技術評論社刊)


 実はこの三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」は、『男の自由時間 -真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!-幻の5球スーパーで音がよみがえる』(技術評論社刊)という本の中で、ラジオの修理方法の記事の実例教材として丁寧に解説されていることを、レストア終了後に知った。

☆☆少年時代のワクワク感を刺激し、大人のテイストも備えた趣味の案内誌、それが「定年前から始める男の自由時間」シリーズです。じっくりとやりがいのある「モノを作る」テーマに絞り、初心者でも始められる本格的な男の趣味を紹介します。自分の時間を楽しく有意義に過ごしたい男性諸氏にオススメです。☆☆(技術評論社 広告より)

 来年以降、団塊の世代の大量定年退職を迎える。各企業は、彼ら熟練技術者の技能伝承に苦慮していると聞く。このシリーズ本の「定年前から始める・・・」というフレーズには、強い違和感を感じる。馬車馬のようにこの数十年を過ごした団塊の世代の先輩方、「定年」なんて言葉に惑わされず、あともうひと頑張りしようじゃありませんか!

 「ボクは定年までには、まだまだ先。でもその頃には退職金や厚生年金、出るんだろうか・・・・」とつまらない心配をしつつ、Amazone.co.jpにこの本を注文してしまった。

三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」 Vol.2

2005-12-25 | 三菱電機 真空管ラジオ
   クリーニング前の汚れたキャビネット

シャーシーの次は、キャビネットとツマミの洗浄と清掃を行ないます。

1.キャビネットから透明フロントパネルを取り外す。
2.キャビネット内に回路図が張付けてある場合は、防水処理を行なう。
3.シャワーの水でキャビネット・透明フロントパネル・ツマミの埃や大きな汚れをザッと洗い流した後、中性洗剤の泡スプレーを噴霧し、しばらく漬けおきする。
4.古いフェイスタオルで軽く擦りながら、再度シャワーの水で中性洗剤を洗い流す。
 シルク印刷された透明パネルの周波数表示板やキャビネットの文字は、擦れて文字が消えないよう注意深く洗ってください。

5.タオルで水滴を拭き、日陰または部屋の中で自然乾燥させる。

すると・・・・何と言うことでしょう!新品と見間違うようなキャビネットに生まれ変わったではありませんか!(ビフォアー・アフター風:笑)
              

   キャビネットの研磨と仕上げ作業

キャビネットとシャーシーの洗浄・清掃の後、『ラジオの匠』の手による修復・調整も終了。あとは最後の研磨と仕上げ作業を行ないます。
 クリーニングを行なっても、経年変化でプラスチックキャビネットのツヤが失われ、細かい擦り傷や欠け、割れた部分等を補修します。また透明なフロントパネルのくすみもキレイに再生します。

1.深い傷、クラックにはプラスチック・パテを塗り込み、乾燥後、1000番台以上の紙やすりを使い、パテ表面を従来部分と均一な仕上がりにする。

2.自動車ボディー用コンパウンドまたはプラスチッククリーナー(コンパウンド入り)を使い、キャビネットの表面を研磨する。
 コンパウンドはプラスチック素材自体を磨くときのみ、使用してください。
 プラスチック素材に塗装を行なっている箇所を研磨しないで下さい。

 (1)①細目、②中細、③極細の3種類を用意する。
 (2)キャビネット底などの目立たない場所で、③極細→②中細→①細目の順番で最適なコンパウンドの種類を試す。
 (3)③極細でキレイにならない場合は、目の粗い①細目→②中細→③極細の順番で磨いていく。

3.くすんで曇っている透明なフロントパネルには、眼鏡拭き用の布にプラスチッククリーナーを少量つけ、磨く。
 裏面には周波数表示などの文字が印刷されているので、絶対に擦らないよう、細心の注意してください。

4.パテを塗り補修した箇所に面相筆で塗装し、乾燥後、軽く研磨する。

写真は、キャビネット、フロントパネルの研磨を終え、最終的に乾拭きしているところです。 Vol.1の写真と比べてください。 ピカピカに輝いてますね~♪

              

   レストアを終えた三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」


 今回のリストアも諸先輩のアドバイスや力をお借りしながら、無事終了しました。しかしまぁ「できることからコツコツと!」です。
 自分が手を加えることに比例して、そのラジオに対する愛着指数も高まってきます。
真空管を差替えただけで、あるいはヒューズを入れ替えただけでも、鳴らなかったラジオから音が出ることもあります。

 順序だてて、回路図を追いながら不具合のある箇所を予測、探し出して部品交換にトライする・・・・ロールプレイング・ゲームさながらの試行錯誤の末、何十年も鳴らずに放置されていたラジオに新たな息吹きを注ぐことができる。それが真空管ラジオのレストアの醍醐味だと実感します。

 このラジオでNHK第2放送の『ラジオ英会話』や『ビジネス英会話』を聴いてみました。USA Todayなどの記事が朗読され、記事の英語をじっくり日本語に訳す、ということもしてくれないので結構きつい難解な英語のはずが、なぜか音楽のように心地よく聞こえるのです。
この時代の真空管ラジオは、中音に音域を絞り込んでいるせいでしょうか。また非常に感度がよく、1m程度のアンテナ線をラジオから垂らしているだけにもかかわらず、遠距離の中波局やアジア・太平洋諸国の短波放送も強力に入感します。

 そんな訳で、定年退職される方にプレゼントするはずのこのラジオ、アタシが代わって、末永く使わせていただくこととしました。♪ ・・・・それって、ただプレゼントするのが勿体なくなっただけじゃんか! 笑

三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」 Vol.1

2005-12-24 | 三菱電機 真空管ラジオ
   三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」

 職場でお世話になった上司が定年退職を迎えられる。
その方が若い頃、「毎日、ラジオの英会話講座を聴いて海外との取引や出張のために勉強した」という昔の苦労話を聞かせていただいたことがあった。
今のように、気軽に短期海外留学や駅前留学!?で英語を習得できるわけではなく、生の英語を学ぶにも「ラジオ」が唯一の方法であり、それだけの根気と努力そして『気概』を必要とした時代だったことは容易に想像がつく。
 三菱系の企業ということもあり、その方の半生を伴にしたスリー・ダイヤのマークのついたこのラジオをレストアし、退職記念のプレゼントにしたいと思い、オークションで手に入れた。
 
昭和34年(1959年)頃に製造された、mT管トランスレス、5球スーパーヘテロダイン方式のコンパクトでオーソドックスなデザインの真空管ラジオだ。

  メーカー:三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」

  受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

  使用真空管:12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)

 キャビネットの外観全体の雰囲気をはじめ、つまみ、周波数表示、スピーカーのレイアウトは、オークションにもよく出品されている「東芝かなりやQ」とどことなく似ているが、フロントパネルの左上に輝く(!?)スリー・ダイヤのマークが、「三菱」ブランドのラジオであることを主張している。
 プラスチックのキャビネットは艶を失い、フロントの透明パネルには埃が溜まり、透明感もなく曇り、40年の歳月を感じさせる。

                

   三菱電機(MITSUBISHI)「5P-468」キャビネット内部

 まずは裏蓋を外して内部の目視点検を開始。
 真空管の熱で炭化したらしく裏蓋自体に欠けがあり、キャビネット内上部の耐熱材も剥がれている。シャーシーには40年間の埃と汚れが積もり、誰の手にも触れられることなく過ぎた歳月を物語っている。

 フロントパネルのデザインは「かなりやQ」と似ているものの、シャーシー上のレイアウトや使用パーツはいくぶん異なり、バリコン、真空管、スピーカーには「スリー・ダイヤ」のマークが刻印されている。ただしスピーカーに「DIATONE」のマークがないことは、少し残念・・・・。
 真空管は止め金具で固定されており、量産品のラジオでありながら、三菱ブランドならではの配慮を感じさせてくれる。

                
   キャビネットから取り出し清掃したシャーシ

 キャビネットからシャーシを取り外し、清掃作業にトライします。

 前回の「かなりやOS」では、分解の際にツマミを割ってしまいましたので、今回は慎重に作業を進めます。
埃まみれの汚れたラジオの場合、取扱いが雑になってしてしまい、キャビネットやフロントの透明パネルを傷つけることがあります。作業周りの工具や分離したシャーシーに当てないよう、注意してください。

1.ツマミを取り外す。
2.キャビネット内部に見える「周波数指針」の止め金具を外す。
3.キャビネット底にある取付けネジを外す。
4.スピーカー、イヤホン端子、パイロットランプの取付けネジを外す。
5.キャビネットからシャーシーを取り出す。

ツマミやネジは小型タッパーに、キャビネット類は段ボール箱に入れておくように習慣づけています。

6.真空管をソケットから抜き取り、乾拭きする。 
 あまり強く拭くと、真空管表面の印字が消えてしまうので注意してください。

7.シャーシ表面と内部の埃を小型掃除機で吸引後、歯ブラシや刷毛で取り除く。
 ベランダなど屋外で作業しないと、家族からクレームが入るので、注意してください。(笑)

8.部品にこびりついた汚れには、エレクトロニッククリーナーを吹きかけ洗浄する。

以上1.~8.の作業を行なうと、シャーシーに取り付けられている部品は見違えるほどキレイになります。頬擦りしたくなるほどです。♪

この時点で、ラジオに対する愛情指数は、かなり上昇しています。
ちなみに今回も清掃中に、スピーカーのコーンを一部破いてしまいました・・・トホホ。

                
   シャーシ内部の点検

 オークションや骨董市で手に入れた真空管ラジオに、いきなり電源を入れることは非常に危険です。
 100台以上レストア経験のある先輩曰く、「真空管ラジオは鳴るといっても正常に動作しているとは限りません。そのまま使い続けると90%以上のラジオは、部品に無理が掛かっていて危険な場合が多いです。」
部品の耐用年数はとっくに過ぎており、コンデンサーが爆発したり、煙が出たり、火を噴いて火事になる可能性もあるそうです・・・・おぉ恐っ!
真空管ラジオの修理において予見される、あるいは潜在するすべてのリスクと結果は、自己責任に帰属することを認識した上で行なわなければなりません。

1.清掃を行ないながら、また終了後、じっくり時間をかけてシャーシーの内部を目視点検します。

 ・焦げた部品の有無
 ・コンデンサーの状態(膨れ、溶液の染み出しの有無ほか)
 ・ヒューズの有無と定格(トランスレスの場合は0.5A)
 ・配線の状態(断線や改造の有無)

2.次にテスターを使い、回路の各種電圧・電流をチェックします。

3.不具合のある部品、また予想される部品(出力管の結合コンデンサー、AVC回路のコンデンサー、電源の1次側のコンデンサーほか)も積極的に交換した方がよいそうです。

 詳しくは、真空管ラジオレストアの達人である諸先輩方のホームページの記事がたいへん参考になります。
また「男の自由時間 -真空管ラジオ・アンプ作りに挑戦!-幻の5球スーパーで音がよみがえる」(技術評論社刊)という本に、チェックするポイントと修理手順が豊富な写真入で書かれています。

 ちなみにアタシの場合は、シャーシ内の部品を眺めては「ウゥ~ン・・・・」と唸ってオシマイ。

              

 なお古い真空管ラジオをレストアの達人である先輩にアシストしていただく場合は、先の「洗浄・清掃・点検」を十分に行なって依頼します。
 埃まみれの汚れたラジオをいきなり持ち込むと、その清掃作業だけでも大変な時間と労力を費やさねばなりません。
「自分としてはここまでやったんだけど、これ以降の作業が手におえないので力を貸していただきたい」というように真摯かつ誠実に教えを乞う姿勢と社会人としてのマナーが大切だと思います。

復活!かなりや 鳴いた

2005-12-11 | 東芝 かなりやシリーズ
    見事に復活した「東芝 かなりやOS」 

 緊張の一瞬・・・・息を止め、壁のコンセントにACプラグを差し込む。
不安な面持ちで、ボリューム・スイッチを右へまわし、「カチッ」っとスイッチを入る。
パイロットランプが一瞬光り輝くが、その輝きも弱々しく失われていく。
吸い込まれるように、ボクの目はその光の動きを見据えている。
「一、二、三、四・・・・」心の中で数字を数えながら、何かにすがるような気持ちで暗くなったパイロットランプに目を凝らす。

 消えかかったロウソクの灯りが再び燈るように、パイロットランプは徐々に明るさを取り戻す。
「ザザッ・・・・」 スピーカーからかすかな雑音が聞こえはじめ、パイロットランプの明るさと正比例して、その音は大きくなる。
ボクは焦る気持ちを抑え、おもむろにチューニング・ダイヤルをゆっくりと回す。

 雑音まじりに、人のしゃべり音が聞こえてくる。ボクの指は不規則に左右へとチューニング・ダイヤルを回し、その音を捉えようとする。
やがて雑音を打ちし、アナウンサーの声がはっきり聞こえてきた。
さっきまでの不安はどこかへ消し飛んでしまい、高揚感だけがどんどん膨らんでくる。

 セブンスターに火をつけ、このラジオを見つめ、NHK「ラジオ深夜便」を聴いていると、煙の向こうで幼なかった昭和30年代の情景が浮かび、動き始めた。
高い空、空き地の土管、三角ベース、裏山の秘密基地、野良猫・・・・
駄菓子屋のおばちゃん、近所のお姉さんに、友だち。

 モノが何でも手軽に安く手に入るかわりに、希薄な空気に包まれた時代に生きる今だからこそ、不便で性能も劣る真空管ラジオを前にして、その夜、ボクは本当の意味での豊かさを考えた。

              

 見事に復活した「かなりやOS」の裏ブタを開け、部屋の灯りを消すと、真空管の灯りがやさしく燈っている。
暖炉の火を思わせる、幻想的で暖かみのある光だ。

 このラジオが日常的に使われていた頃、まだ豊かではなかったけれど、チョットしたことで感動できる時代があった。
真っ直ぐに前を見つめて、大人は働き、子供も遊び、汗を流していた。
「便利」を知らないから「不便」を自覚しない日常・・・
「便利」を知った時の感動が、さらなる「便利」を求めて、明日への活力となっていた。
社会全体に、他者を思いやる「情」があった。

IT長者の無作法な企業買収の企てや、ファンドの株の買占め・売り抜けを「神業」と思うようになってる社会を、マスコミが応援し、ワイドショー好きの主婦や若者が支持してる。
コツコツ働くだけの者は、社会の隅に追いやられる。
市場原理主義、アメリカ型新自由主義・・・弱肉強食思想によって日本人を拝金主義に変えていく「公」なき手口で、日本人のアイデンティティが失われていくことを憂えてしまう。

「『一生懸命に生きる』ことが本当の豊かさなんだよね。」

暗闇に浮かび上がる真空管の灯りの向こうから、懐かしさを通り過ぎて、誰かがボクにそう語りかけてくれた。

ネットオークションで再会!・・思い出の真空管ラジオ・・東芝かなりやOS

2005-12-03 | 東芝 かなりやシリーズ
  思い出の真空管ラジオ(東芝 かなりやOS)

今年のとある日、ネットオークションを何気に閲覧し、このボロボロのラジオを見かけたときの衝撃は、言葉では言い表せることができない。
40年ちかい歳月を経てボクの目の前に現れたこのラジオは、仕事に明け暮れる両親にかわって、よく遊んでてくれていた近所のお姉さんの部屋にあったラジオです。

出品者のコメントは次の通り・・・・

『電源を入れても動きませんでした。これまで、修理もできないくせに、「私よりも大事にしてくれる方へ」という気持ちで、オークションに出品してきました。
これほどまでに心を揺さぶられたラジオは、ありません。とても可愛らしいデザインで、見ていて飽きません。普通のラジオより、かなり小ぶりで、頬擦りしたくなります。このラジオの可愛らしさが、写真に出ていないのが残念です。(こういったことは、個人的な嗜好に関する問題ですので、これまでは記帳するのを控えてきましたし、これからもそうして行く方針ですが、今回は敢えて言わせていただきました。すみません。)
初出しの為、掃除等は行っておりません。古い物ですので、経年による汚れ、錆、擦傷などありますが、特に目立つ欠損はありません。修理される方に、是非、綺麗にしてもらって、生き返らせていただきたいです。』

見習看護婦だった優しいお姉さんとの思い出のラジオを復活させたい!との強い思いが通じたのか、数千円で無事に落札することができました。

              
  かなりやOS 5LR-287 コンパクトでかわいいデザインの真空管ラジオ

 オークション終了数日後、届いた『かなりやOS』は、昭和34年(1959年)頃に製造されたmT管トランスレス・5球スーパーヘテロダイン方式のコンパクトな真空管ラジオだ。
 宅配便の箱から取り出して手に触れたとき、遠い昔の懐かしさと優しさ、淋しさ・・・まだ幼かったあの頃の情景が交錯し、何とも言いようのない気分に浸りながら、ボクはこの汚れて古びたラジオを何時間も眺めていた。

 メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA)『かなりやOS 5LR-287』

 サイズ : 高さ(約13.5cm)、幅(約28cm)、奥行き(約12cm)

 受信周波数 : 中波 530KC~1650KC/短波 3.9MC~12MC

 使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)

 真空管ラジオは、年代と真空管、回路構成により、次の1.~4.のジャンルに分類されます。

1.昭和初期~昭和24年頃      ST管ストレート受信機ラジオ

2.昭和20年代中頃~昭和30年代前半 ST管スーパー・トランス付ラジオ

3.昭和20年代後半~昭和30年代後半 mT管スーパー・トランス付ラジオ

4.昭和30年代前半~昭和40年代   mT管スーパー・トランスレス・ラジオ

 戦前から高価で貴重な存在だったラジオですが、高度経済成長の胎動期であった昭和30年代から、「1人に1台」の時代へと変わっていく。
 そんなニーズから電源トランスを省略し、プラスチックの小型キャビネット、スピーカーも10cm程度の小型で安価な「mT管スーパー・トランスレス・ラジオ」が各社から売り出される。なお、その頃すでにトランジスターラジオも実用化されましたが、まだまだ高価だったようです。
 この『かなりやOS』は、戦前からのラジオ製造メーカーであるマツダ/東芝が、昭和30年代からコンパクトかつユニークなデザインのmT管トランスレス・ラジオを世に送り出し、コレクターの間でも人気の高い「かなりやシリーズ」のバリエーションの一つであることを、後日知った。
              

 思い出に浸りつつ、まずはキャビネットの裏蓋を外して内部を目視点検を開始。オークションで真空管ラジオを入手した場合、すでにコレクターの手が入った状態のものもあると聞くが、この「かなりやOS」は埃と汚れが積もり、誰の手にも触れられることなく過ぎた40余年の歳月を感じさせてくれる。
オークションや骨董市で手に入れた真空管ラジオに、いきなり電源を入れることは非常に危険です。
部品の耐用年数はとっくに過ぎており、コンデンサーが爆発したり、煙が出たり、火を噴いて火事になる可能性もあるそうです・・・・おぉ恐っ!
              
  「東芝 かなりやOS」 キャビネットから取り出したシャーシ

 次にキャビネットからシャーシを取り外し、清掃作業にトライしてみます。
詳しくは、真空管ラジオ レストアの達人である諸先輩方のホームページの記事がたいへん参考になります。

1.ツマミを取り外す。
2.キャビネット内部に見える「周波数指針」の止め金具を外す。
3.キャビネット底にある取り付けネジを外す。
4.スピーカーの取り付けネジを外す。

 この手順で、簡単にキャビネットからシャーシを取り外せるはずでしたが・・・・ツマミを取り外そうとしても、プラスチックが経年変化で固くなり、シャフトからスムーズに抜けません。
無理矢理引っこ抜こうとすると、割れてしまいます。
ボクの場合も、何とかツマミを抜いたものの、再度シャフトに差し込む時に無理矢理押し込んで、ツマミの一部を割ってしまいました。(ガビィ~ン・・・・顔面蒼白!)
 復活修理するはずの大切な思い出のラジオなのに、自分で壊してどーすんの!
ボクのことを破壊王とお呼びください・・・・
ダメ男と呼んでいただいても結構です・・・
・・・・と、一人ボケ・ツッコミを入れたところで元に戻るはずもありません。

こんなトホホなスタートで本当に「かなりやOS」は、復元できるのでしょうか。

              

 修復前のシャーシー内部の様子。信頼性の低いペーパーコンデンサーは4個しか使われていない。

昭和のラジオ

2005-12-01 | 昭和三丁目の真空管ラジオ
  昭和30年代の真空管ラジオ(シャープ5球スーパー)

話題の映画 「ALWAYS 三丁目の夕日」はラジオの音で始まる。
ボクが生まれ、幼い日々を過ごした昭和30年代生まれのラジオ・・・・
今ほど便利でも裕福でもなかったけど、そこには夕日のような、じんわりと伝わってくる暖かさがあった。
「明日」という夢と希望を胸に抱いて、みんなが一生懸命に生きていた。

ボクの育った田舎町ではテレビはまだ普及しはじめたばかりで、「真空管ラジオ」から流れてくる番組も大切な娯楽の一つだった。しかし家庭の娯楽の中心が、ラジオからテレビへと急速に移り変わる時代の流れを、まだ幼いボクは肌で感じていた。

そしてトランジスター・ラジオの登場により、深夜放送に代表されるパーソナル・メディアへとカタチを変えた「ラジオ」は、若者の心を捉え、進化を続けた。
インターネットの普及にみられる錯綜する情報化社会、希薄な人間関係、価値観の多様化と急激な変化・・・・

そんな今だからこそ、素直に「ラジオ」を楽しんでいた、あの少年時代の体験を再現し、語り合えるブログにしたいと思います。