昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
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ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-41G Sky Rider Jr. (1)

2008-10-20 | アメリカ製真空管ラジオ
秋も深まりる夜、ヤフオクを眺めていると不朽の名機と言われた S-38の前作である S-41G "Sky Rider Jr." が出品されていた。オネーチャンとの休日ゴルフを1回キャンセルしたつもりで入札したところ、想定内の価格で落札できたためご紹介する (*^-^)v ィェィ♪
 Hallicrafters S-38 を手に入れてからというもの、この受信機にすっかり魅了されてしまい、夜毎、どこの国からともなく届くラジオ番組に耳を傾けながら眠りに就く日々が続いている。
不朽の名機と言われる Hallicrafters S-38の源流は、1941年に発売された ハリクラフターズ社の別ブランド Echophone EC-1から、1945年 新たにHallicraftersブランドで発売された S-41G "SkyRider Jr." の系譜へと遡る。
安価な入門用短波受信機 Echophone EC-1からEC-1A、B、さらに今回ご紹介する S-41G "Sky Rider Jr." を経て、S-38へと進化したプロセスは非常に興味深い。 
    
    ▲ヤフオクで落札した Hallicrafters S-41G "Sky Rider Jr." は還暦過ぎた63才!(笑)
 高級通信機メーカーであるハリクラフターズ社は、安価な入門者用短波帯受信機であるEC-1の発売にあたり、ブランドの失墜を懸念。Hallicrafters のブランドを使わず、1935年に買収合併したエコフォンラジオ社 Echophoneの名前で発売することにした。第二次大戦勃発と参戦に伴い、短波受信機や短波ラジオの生産は制限されたが、Echophone EC-1 だけはEC-1A、Bへとモデルチェンジを行ない、例外的に終戦まで供給され続けた。予想以上に高性能を発揮するEC-1シリーズはEchophoneブランドでありながら、実はハリクラフターズ社の設計・生産ラインから送り出される製品であることをユーザーは暗黙のうちに周知しており、大いに人気を得ていた。
    
    ▲Hallicrafters ブランドは冠されなかったEchophone EC-1(左)と EC-1A(右)
 第二次大戦の終了した1945年、ハリクラフターズ社はEchophone EC-1Bのキャビネットを塗り替え、ユーザー憧れの" Hallicrafters "ブランドと、さらには同社の高級受信機に与える" Sky Rider "の名前を冠して発売された機種が今回ご紹介する S-41G "Sky Rider Jr."である。
さらにその翌年 ’46年、 S-41G "Sky Rider Jr."をベースにして、20世紀を代表するプロダクツ・デザイナー、レイモンド・ローウィ(Raymond Loewy)による意匠デザインを加えた結果、Hallicraftersの名に恥じないシンプルかつ機能美を兼ねそろえた不朽の名機 S-38シリーズが誕生する。
    
    ▲Echophone EC-1からHallicrafters S-41Gを経て誕生した、不朽の名機 S-38
 落札から数日後、宅配便で送られてきた S-41G は、齢(よわい)63才・・・人間なら還暦を迎える受信機であり、キャビネットの汚れや錆、塗装の剥がれが、長い年月を経た趣を醸し出している。キャビネットへの大きなダメージは無く、ツマミ類もすべて揃っているが、残念ながら、裏蓋は欠品となっている。
このS-41G を目視点検していると、戦後すぐに生産された日本製真空管ラジオと比べ経年劣化を差引いても、当時のアメリカがいかに高品質な製品を生産していたかを物語る史料となり得るS-41G の出来栄えに感心する。
    
 キャビネットの天板を取外すと、60年の経年劣化はあるもののキレイなシャーシの上に、'45当時の真空管(メタル管、GT管)とIFT、高周波同調バリコンが整然と並ぶ。真空管も当時のアメリカでは、一般的なラインアップだ。

  メーカー: Hallicrafters社 S-41G (1946)
  サイズ : 高さ(約220mm)×幅(約00mm)×奥行き(約220mm) 4.7kg
  受信周波数 : 中波 540~2000kC/2.0~8.0MC /8.0~30.0MC
  使用真空管 :
  12SA7   (周波数変換用7極メタル管)    局部発振・周波数変換
  12SK7   (リモートカットオフ5極メタル管)  中間周波数増幅
  12SQ7GT (双2極・高μ3極GT管)        検波・初段低周波増幅
  12SQ7GT (双2極・高μ3極GT管)        BFO / ANL
  35L6GT  (ビーム出力GT管)          低周波出力
  35Z5GT  (2極整流GT管)            整 流
  電 源  : AC 115-125V/50-60cycles
  スピーカ: Permanent Magnet Dynamic Loudspeaker (moving coil)

    
    ▲天板を外すと'45当時の真空管とIFT、高周波同調回路が整然と並ぶ
 S-41G "Sky Rider Jr." は、550 kHzから30MHzまでをロータリー・スイッチにより3バンド切替えにてカバーするが、広い帯域の短波を2バンドにしか分割していないため、メイン・チューニングつまみをごくわずか動かしただけで周波数は大きく変化する。その対策として周波数の微調整を行なうためのバンドスプレッド機構を採用し、スムーズな選局が可能となっている・・・・はずだが、バンド・スプレッド用のバリコンが見当たらない・・・!
よく見ると、右側のバンド・スプレッド用ツマミのシャフトに糸掛けと何やらバネで細工が施してある。 これって・・・・??

■次回の記事 ハリクラフターズ ( Hallicrafters ) S-41G "Sky Rider Jr." (2)

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
S-41G (shige)
2008-10-26 09:50:15
はじめまして。
私もハリクラが好きでヤフオクを見ていました。
受信機は、置場所がないので、少数精鋭にしており、ハリクラも、背伸びしてSX-28の1台だけ持っています。
ハリクラは、昔から知っていましたが、赤本、コレクター本等を見てますます好きになってしまいました。
大衆向けからプロ用まで多種類の受信機を製造し、月賦販売のような方法で低所得者のことまで考慮して、短波受信を広めた功績は大きく、しかもデザインがいいので最高と思います。
入手されたS-41Gはいいですね。そのくらいの大きさの受信機を集めたいという願望がありますが、置場のことと沢山の受信機を相手にしてやれないことなどを考えて諦めています。
今後もよろしくお願いします。
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シングルスーパーヘテロダインの最高峰SX-28 (店長)
2008-10-26 19:34:34
今しがた横浜より帰着しました。昨日より高級料理とアルコール漬けだったため、今日は中華街の安くて美味しい"お粥"で、胃を休めました。

shige様
はじめまして、ようこそお立ち寄りいただき、ありがとうございます。
戦前のシングルスーパーヘテロダインの最高峰SX-28スーパースカイライダーをお持ちとは、羨ましい限りです。あの精悍なブラックフェイスと機能美溢れる面構えを見るだけで、ワクワク感が高まります。
仰る様に、ハリクラフターズの魅力は、特徴的なデザインと見かけ倒しでない性能にあると思います。
S-38、S-41Gいずれも、とても5球スーパーとは思えぬ、性能に驚かされました。
技術的な技能を持ち合わせないボクとしては、比較文化論的な切り口で楽しませてもらおうと思っています。
当カフェは、20代の女子大生から60代のマニアのおじ様?(笑)まで、幅広くご参加いただいていますので、ぜひともお立ち寄りください。
よろしければshige様のSX-28のお写真など拝見できれば幸甚です。
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S-41G (ラジオ親父)
2008-10-28 22:13:14
店長殿
ハリクラ病が進行してきているようですね(笑)
実物を見たことはありませんが、EC-1BとS-41Gは構造が同じ様ですね
バンドスプレッドの機構は独特で、局発コイルにコアを出し入れしてスプレッドしています
ダイアルコードに直列にスプリングを入れているので、相当フリクッションロスがあるのでは?
局発だけ可変してスプレッドから思い出すのは、昔スターSR-100の局発にミゼットバリコンを取付けてやっていたことです
江戸時代のお話でした(笑)
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Unknown (赤いコルトプラス)
2008-10-28 23:23:18
みなさんコンバンハ~
ラジオ親父さんのご指摘のように、店長さんはもう病気の世界ですよね~(笑) わたしには理解不能な言葉ばかりで入れませんけれど、「男のロマン」が凝縮された世界だと思います。
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スプレッド (かめ)
2008-10-29 11:03:39
店長&ラジオ親父様

バンドスプレッドは面白い機構ですね。一般的に、日本製はバリコンで周波数を変える物が多かったですが、アメリカ製はコリンズに代表されるようにコイルにダストコアを出し入れするものがありますね。
前に書いたかもしれませんが、コリンズのPTOには不活性ガスが封入され密閉されているとか・・・・いろんな伝説がありましたが、一度Sラインの受信機のPTOを分解して見ました。何も入っていませんでしたし、密閉もされていませんでした。
ただ驚いたのは、コイル(電線)がボビンの内側に巻かれていたことでした。それまでコイルはボビンの外に巻くものと思っていたので、カルチャーショックでした。コイルを内側に巻くのは、ダストコアとコイルの間隔を少なくして、周波数の変化を大きくするためなのでしょうね。コンデンサーも温度補償のためか、何個か組み合わせてありました。
それに、ダストコアの出入りにより、周波数変化の直線性を良くするためにコイルのピッチも変化させてあるようでした。
店長、もうそろそろ「ラジオ博物館」出来るのではないですか?
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ハリクラ病が進行中♪ (店長)
2008-10-29 22:03:01
ラジオ親父様
バリコンをパラにして微調整を行なうという固定概念しかなかったボクは、S-38のメイン/スプレッド一体型バリコンに驚き、今回の局発コイルにコアを出し入れするバンド・スプレッドに仰天しました!
フリクションロスは相当で、S-38の上質な使用感はありません。。。 局発にミゼットバリコンを取付けるタイプもあったとは!!こいつのメリットは何でしょうか?

赤いコルトプラス様
ハリクラ病、進行中の店長です♪
そう、男はいつまでたっても少年なんですよ! だからボクは「生活感が無い・・・」とオネーチャンたちからよく言われるのかも? それって褒め言葉でしょうか??笑

かめ様
宝くじを当てて、観光地の路地裏の民家を改造した"ラジオカフェ"のマスターになるのが夢です。
店の運営は、白い恋人さんや赤いコルトプラスさん、Y根ちゃん他のメンバーにお任せし、自分はラジオに耳を傾けながら、官能小説を執筆&実践する生活をおくりたいですね。。。。 って、妄想族店長でした
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