


「フロントパネルとキャビネットは、ネジ止めではなく熱溶着されちるため、取外して磨けないのは不満が残る。(←店長、やり過ぎ!)」
と愚痴を洩らしていたところ、このカフェにお立ち寄りいただく I様から次のようなメールをいただいた。
『ところで フロントパネルですが裏から大きめのマイナスドライバーを当てて 木槌で軽く順番に叩くと以外と簡単に外れます。最初はチョットこわいですが、まだ失敗した事はありません。いちどジャンクでためしてみてはどうでしょうか。。』
実は、この Iさんのご出品されている かなりやをボクが落札し、あまりに素晴らしいレストアを施されていた出来ばえに感動し、感想をお送りしたところ、Iさんも当カフェをお読みいただいていることが分かり、お互いにビックリしたという経緯がある。さっそく教えていただいた方法を試みたところ、見事にフロントパネルを取外すことができた♪ Iさん、本当にありがとうございます。
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東芝かなりやシリーズの生産ピークである昭和35~36年(1960~61年)には、同一シャーシと回路を流用し、キャビネットだけを変えて機種名を変更するという販売戦術が用いられた。昭和35年発売の かなりやKSと かなりやLS、翌年発売のかなりやOS、かなりやQなどがそれにあたり、今回は貴重な「箱入り」の かなりやKSをご紹介する。

機能的な差のない真空管ラジオの世界でも、生産・開発コストを抑えた大量生産方式が採用され、中身は同じでもキャビネットの形状やカラーリングの種類を増やすことで、消費者の購買意欲を刺激するには十分な時代だったのではないかと思われる。
先に述べた4機種はいずれも複数のカラーキャビネットがラインアップされるとともに、経済性(低価格)を謳い、高度経済成長の中で新たな都市文化の担い手となった若年労働層、学生、主婦などの個人所有をターゲットとしていることがうかがえる。

入手した かなりやKSは、貴重な『箱入り』である。このキレイに保存されていた元箱に、当時 かなりやKSを購入された方の“思い”が偲ばれる。
昭和30年代の高度経済成長期、地方の学校を卒業後上京し、昼間は働きながら夜間高校に通い、コツコツと貯めた給料で購入された大切なラジオだったのかもしれない。

かなりやKSのキャビネットは、正面から見ると逆台形に緩やかなラウンドを加えたフォルムであり、ホワイト塗装された前面を透明プラスチック素材のフロントパネルで覆った、従来の かなりやシリーズには見られないデザインである。周波数表示インジケーター部分のカバー、右下に並ぶ3つのつまみの装飾をゴールドであしらい、キャビネットとのコンビネーションも洒落ている。また左上に取付けられた七宝焼きの「Toshiba」エンブレムが、低価格の大量生産品でありながらも、ラジオ自体はまだまだ安価とは言えない耐久消費財であったことを物語っているように思え、興味深い。

オークションでも「元箱入り 真空管ラジオ」は、整備済みであれば数万円というかなりの高値で取引されているが、出品期間が短く かなりやコレクターの方々の目に触れなかったせいか、何と!いつもの予算内で落札できた。
メーカー:東京芝浦電気(TOSHIBA) かなりやKS 5YC-491
サイズ : 高さ(約13cm)×幅(約30cm)×奥行き(約11.5cm)
受信周波数 : 中波 530KC~1605KC/短波 3.9MC~12MC
使用真空管 :12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)
宅急便で届いた かなりやKSは、元箱もしっかりしており、キャビネットの損傷、ツマミやエンブレム等の欠損や酷いダメージは見られない。ただ何十年も放置されていたのだろう・・・フロントの透明パネルとキャビネットの間にはたくさんの埃が堆積し、写真では分かりにくいが汚れも酷い。

裏蓋を取外すと、清掃された様子はなく、キャビネット底部やシャーシ上の真空管やIFT、バリコンには埃が大量に堆積しており、この46年間放置されていた かなりやKSの姿に、いわゆる“団塊の世代”と呼ばれる人々が過ごした青春と現在の姿が交錯し、また逆に今、毎日山のような仕事を抱え込んで将来が見えない自分の姿も絡み、いろいろと考えてしまう。

ツマミを抜き、イヤホン端子の止めネジ、シャーシ、スピーカーを順次取り外し、シャーシ内の点検を行なう準備に取りかかった。しかしまぁ、いつものことながら、キャビネットの中はすごい埃と汚れだ。

シャーシーと内部の埃はOAクリーナーで吹き飛ばし、真空管を抜いて平筆を使って丹念に清掃しながら、目視点検を行なった。このくらいキレイになれば気持ちいい。また部屋の中での作業も苦にならない。

シャーシー内部は埃も少なくキレイだが、信頼性の低いペーパーコンデンサーの表面は溶解しており、危険かつ見苦しい。電源を入れる前に、テスターで各種導通をチェックしたところ、とりあえずOK。電源スイッチをONにすると、パイロットランプと真空管のヒーターがオレンジ色の光を放ち、淡く点灯した。30秒ほど経過し、煙も出ないが音もまったく出ません・・・(T_T)

まったく音が出ないのは、出力トランスの1次側の巻線の断線、イヤホンプラグの接点の不良、スピーカー・コイルの断線、出力トランス1次側に並列で付いているコンデンサーのショート等が考えられますが、テスターで調べてもいずれも問題なし。どうしちまったんだろ・・・ シャーシ内の電圧を測定していると、電力増幅管30A5のカソードに電圧が出ていない。どうするべきか・・・ とりあえず真空管を正常な30A5、12AV6に交換してみたが、反応なし・・・。とりあえずB電圧を測定してみたところ97Vあるので問題ないのだろう。12AV6と30A5をつなぐカップリングコンデンサを交換してみたが、やはり音は鳴りません。
各プレート電圧を測ろうとしたところ、テスター棒でショートさせてしまい、PL(パイロットランプ)とヒューズを飛ばす失態ま犯してしまった。朽ちたゴムブッシュとPL、ヒューズを交換し、再度電源を入れると、またパイロットランプが飛んでしまった。どんどん事態は悪化してしまう。(T_T) 整流管35W4は完全に逝ってしまった。

ただでさえ鳴らない かなりやKSに途方に暮れ、読者の方々から暖かいアドバイスを頂戴しながらも、完全に戦意喪失・・・ もう放心状態です。(´Д`)トホホ
ちょうど かなりやHを手に入れたこともあり、かなりやKSの修復は一旦休止。仕事も繁忙期で出張の多い時期とも重なり、敵前逃亡を図っていたのだが、「壊し屋 店長」の窮状を見かねた“音響の匠氏”から救いの手を差し伸べていただき、無事修復することができた。電源回路のショートと30A5につながる抵抗2個の不良、バンド切替スイッチの接触不良が原因だった。

とりあえず無事、鳴くようになった かなりやKSだが、スピーカーからの音が歪む。スピーカーのコーンのエッジに破れはないし、どうしたんだろう・・・? 回路が悪いのか、普段のボクの行いが悪いのか、取り替えるためにジャンクのかなりやから外した楕円形のスピーカーは、見事にコーンが破れている。やっぱボクの普段の行ないが・・・ と凹んでいると、イヤホンジャックに接続してあるはずの黄色の配線が外れている。
ここをハンダ付けすると。。。見事に正常な音で鳴りました♪出力管30A5のカソードバイアス電圧もちゃんと出ています。

ここでようやく掃除屋店長の出番だ。(笑) 希釈したマジックリンとハンドタオルで丁寧に汚れを落とし、乾燥後、樹脂の保護と艶出しのためにプラスチッククリーナーで研磨する。時間はかかるが、プラスチック製キャビネットを痛めないで表面を活性化する一番の方法である。かなりやKSの特長でもある前面を覆った透明プラスチック製フロントパネルは、眼鏡拭き布を使い、丹念に磨く。ただフロントパネルとキャビネットは、ネジ止めではなく熱溶着されちるため、取外して磨けないのは不満が残る。(←店長、やり過ぎ!)

そんな愚痴を洩らしていたところ、このカフェにお立ち寄りいただく I様から次のようなメールをいただいた。
『ところで フロントパネルですが裏から大きめのマイナスドライバーを当てて 木槌で軽く順番に叩くと以外と簡単に外れます。最初はチョットこわいですが、まだ失敗した事はありません。いちどジャンクでためしてみてどうでしょうか。。』
実は、この Iさんのご出品されている かなりやをボクが落札し、あまりに素晴らしいレストアの出来ばえに感動し、感想をお送りしたところ、Iさんも当カフェをお読みいただいていることが分かり、お互いにビックリしたという経緯がある。さっそく教えていただいた方法を試みたところ、見事にフロントパネルを取外すことができた♪ 再度洗浄し、取外したフロントパネル裏側とキャビネットの間やスピーカーグリルに残っていた汚れをキレイに取り除くことができました。Iさん、本当にありがとうございます。

無事に取外したフロントパネルを磨きながら、週末の深夜前、地元の民放ラジオ局で大阪・ABCラジオ(朝日放送)制作のラジオドラマ『流星倶楽部』を聴く。『流星倶楽部』は、小学館発行の青年向け漫画雑誌『ビッグコミックオリジナル』に連載されている弘兼憲史の劇画『黄昏流星群』(たそがれ・りゅうせいぐん)を原作にしたラジオドラマシリーズである。

【店長愛蔵の弘兼憲史作品集】
この作品は40代後半以降の中年・熟年・老年を主役に据え、恋愛を主軸に人生観などを描いた短編漫画集であり、老いゆく過程で光り輝くという意味から、英題は『Like Shooting Stars in the Twilight』。年齢を重ねれば、定年を迎えたり、病気になったり、離婚を考えたり・・・これらを経験することにより、生に対する捉え方は変わり、今この瞬間を生きることの大切さを発見することになるのだろうし、「年を重ねるほど、恋愛も深まり楽しめる!」「こんな恋もあるんだ!!」といずれ自分たちも達するその世代への理解と感動を味わえる作品(番組)である。