「突然ですが、えー、今回は趣きを変えまして特別に緊急な報告です!」
「今晩は特報なんだな。突撃レポートだ」
テレビカメラをかついだ死神と、マイクを持って『報道』の腕章をつけた私が、とあるマンションの一室の前に立つ。
カメラが状況の全てを克明に逐一と記録する。
ガン・ガン・ガン!
ドアに全身全霊を込めて、力まかせにノックする。
「内山さん、こんばんはー。木村みのりです!」
ドアから白いシャツとトランクスの男が顔を出した。
男はしてやられたーって顔をして頭を掻いている。
男が問う。
「楽屋落ちの禁を犯してまで、俺に直訴か?」
「当然です。もう連載は100回を超えようと言うのに、物語が全くぜんぜん進行してないじゃないですか!」
「俺だってこんなモンもう止めたいんだ。それに、俺の事は『内山』と呼ぶな。『protozoa』と呼んどくれ」
「なら、protozoaさん。あなたには小説の才能が全くありません! 」
「ごめんなさい」
「いや、素直に謝られても。なら、なんで私たちキャラを産み出したんですか?」
「計算を間違えた」
「何の計算です!」
「安全日」
「キャラの誕生に、排卵とか月経とか関係ないだろ! コラ!」
「コラって、まぁとにかく、いや、君は可愛いね。さすがは俺の産み出した理想の『木村みのり』だ。想像していた以上に可愛い。顔も声も年齢も俺の好みだ!」
「えーと。誉められて嬉しいんですけど、ひとつ疑問が?」
「何?」
「顔と声が好みなのは良いとしましょう。でも、最後の『年齢』ってのに、ひどく引っかかるのですが?」
「あぁ、俺はロリコンだから」
「コラァー!」
「コラコラ言うなよ。俺はコアラか、ユーカリの葉を食いながらマーチするぞ」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます