墨汁日記

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平成マシンガンズを読んで 219

2006-12-31 21:16:12 | 

「話がずれてきたけど、『本当の愛』は間違ってるという話だったな」

「で、結局まちがってんの?」

「間違っている事を証明したくてこうやって話してきたんだ。なんとか頑張って間違いを証明しよう。
 まず『本当』を語るなら『偽物』がないといけない。偽物もないのに本物だけがあるなんて明らかにおかしいだろ?」

「それはね」

「『偽物』が存在する事を『本物』が存在する事の第1の前提とする。すると、本物も偽物も存在しないモノに『本物』はないとなる。
 そうなると、この世に1つしかないモノには本物も偽物もない。
 1つしかないんだから偽物と本物に区別する事は不可能だ。これによって、この世に1つしかない地球や自分に『本当』は無いとなる。
 『本当の地球』や『本当の自分』という言い方は誤りである」

「『本当の自分』は言葉の誤用から生まれた勘違いかもしれないって事だね」

「次に、人の感覚や気持ちに偽物はあるか?
 これは本人以外は誰にも証明出来ない。
 偽を証明しようにも、どうやっても証明できないなら、偽なんかないのと同じだ。
 確かに本人なら嘘はつける。
 だが他人の痛さや楽しさは、本人の自己申告であり認めるしかない。
 他人の感覚や気持ちなどの嘘をある程度は見抜く事ができる。だが、完璧ウソだとは証明できない。もし、他人の嘘が証明できると考える人間がいるなら、その人間は人格に障害でも負っているんじゃないかな?
 この事から、他人の痛さに対して『本当の痛さ』などと言うのは無意味だとなる」

「まぁね、へ理屈だけど」

「この考証から、偽を証明できないモノの『本当』を語るのも無意味であるという第2の前提を導く。
 その前提を下敷きに考える。すると、『本当のブス』ならなんとなく意味が通じるのに、『偽物のブス』って何の事なのかが全く分からない。
 ブスの偽物だから少なくてもブスそのものであるはずはない。てかブスじゃないからブス呼ばわりできなくて『偽のブス』なんだよな。それってどんな状態なんだ?
 そんなワケ分かんないもんについて考えても時間の無駄だ。無意味である。
 よって、偽が証明できない『本当のブス』も間違った表現だと考えられる。さらに俺は『ブス』じたいも単なる気のせいだろうと思っているが」

「うーん」

「『本当』について熟慮してきた。
 そして、最後の難関である『本当の愛』を陥落させようと思う。
 だけど、これが難しいんだ」

「むずいの?」

「だって、愛って人それぞれじゃん。 
 なら人の数だけ愛はある。
 すると愛は無数にあるってことで1つではない。
 そして、『愛してる』なら気持ちなんだけど、『愛』は概念だ。
 感覚や気持ちなら他人の事は証明できないからと逃げられるけど、概念だとそうもいかない。
 次に『本当の愛』の反対である『偽の愛』という言葉を言ってみる」

「にせのあい、か。
 まぁ、『偽の愛』は十分にありそう。『偽のブス』なんかより普通にありそうだよ!」

「ありそうだろ? ありそうだから困ってんだよ」

「なんだよ死神らしくないじゃん。得意のへ理屈でチャチャチャッと『本当の愛』ぐらい否定しちまいなよ!」

「それがけっこう難攻不落なのだ。まさに『本当の愛』は鉄壁の要塞だ。
 かんじスゲー嘘くさいのに、なかなか嘘を見破れない」

「だめじゃん。頑張れよ!」

「うん、やってみる」


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