『平成マシンガンズ』の主役は「内田朋美」という中学1年生の少女だ。
彼女はイジメにおびえつつも、クラスメイトから孤立することを怖れて付かず離れずで学校生活を送るごく普通の中学生女子。
小説には、クラスのなかで少しでも有利な立場をと友達同士が探り合い牽制しあう様子や、教室のなんとも言えない圧迫感などが良く描かれている。
友達同士で監視しあい束縛しあうやりきれないかんじに女子の友情ってなんなのだろうと考えさせられる。
そして、彼女にとって家すらもまた安住の住処ではない。家庭から逃げ出した母に、自分のことを見てくれようともしない父。そして、その父の愛人。
狭く閉じた、そう、いま中学2年生の私とおんなじに、彼女には家と学校しか居る場所はない。なのに、その両方が些細な事やあるいは決定的な事で徐々に壊れ始め、ついには彼女は行き場を失う。
この小説の主人公に私はすごく共感した。
なぜなら、過去に「赤毛のアン」なんか愛読していたから、日本的な中学校学級の女子的な友情のあり方に疑問を抱きながらも、流れに逆らわないよう安穏に生きている自分が嫌いだったからだ。私のダイアナはどこにいるのって叫びたいような気分だったのだ。
でも、もうダイアナはいらない。私はこれから「内田朋美」を友としたい。いや、本音を言うなら「内田朋美」をつくりだした作者の「三並 夏」と友達になりたいのだが、それは叶わぬ夢なので寝言はやめとこう。しかし、こんなにも作者と友達になりたいとまで思えるほどの本は今までにはなかった。
ちなみに、「内田朋美」の夢には「死神」が登場する。死神は彼女にマシンガンを手渡して言うのだ。
「これはお前のものだ。誰でもいいから撃ってみろ」
復讐なんだと私は思う。夢の中での親や学校への復讐だ。
現在の中学生女子が望むのは、「白馬の王子様」などではない。復讐を叶えさせてくれる力をくれ、その復讐を認めてくれる「死神」だ。
誰もが誰かをしばり、互いに足を引っ張りあう。
競争と遠慮とストレス。息が詰まる。
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