ツツツッ。て、湧き水を貯えちゃった竹があたまを下げる。
ガコンッ!
静寂の中、鹿おどしの音が室内に響き渡る。
時は、西暦2007年の2月で21日。
すなわち『今日』。
場所は東京都立川市にあるマンションの一室。
すなわち protozoa 邸。
ガチャン!
頭に包帯を巻いた protozoa が、CDラジカセの停止ボタンを押した。
そのとたん、小川のせせらぎの音や鹿おどしの音は消え、辺りは本当の静寂に包まれる。
聞こえるは Power Mac のファン音だけ。
「口惜しや。口惜しいぞ。死神!」
なんと言う事であろうか。
死神にバットで頭を殴打されて、殴り殺されたはずの protozoa は生存していたのだ。
なんという生命力、なんという諦めの悪さであろう!
素直に死ねばいいのに。
「マダムよ、マダムはおるか?」
protozoa が呼ぶと、即座に闇から湧き出るようにして豊満な肉体を持つ女が現れた。女は、たわわにプルルンとプリンのような怪しい色香を放っている。
「はーい。マダムでーす!」
このマダムという女は、protozoa の半身である。
女という性を与えらえた protozoa 自身の分身。
これも protozoa の妄想が産んだ、怪しき技の結果である。
マダムの性格は protozoa の生き写し。そのせいで根性は曲がっている。だが、見た目だけはもの凄い美女である。なぜなら、それが protozoa の趣味だからだ。
protozoa の恐ろしい妄執が産んだ、毒舌の絶世の美女。それがこの女『マダム』である。
「儂は常に前向きに生きねばならんと思っている」
「はぁ?」
「世間的に見れば後ろ向きに見えても、気持ちだけはいつでもポジティブ・シンキングなのだ。そう生きろと『ミンキー・モモ』が教えてくれた」
「はぁー?」
「行けマダム!」
「ごめんなさい。どこへ?」
「死神のもとへ!」
「ナニしにですかぁ?」
「殺せ!」
「えー。統合すると『死神を殺してこい!』というオーダーでよろしいんでしょうか?」
残忍な笑みを浮かべ protozoa は、満足げに頷いた。
「では、さっそく!」
女は共のこうさぎ『おいし』と一緒に闇に消える。
「ククク、死神め。
儂の分身の1人でありながら裏切りおって。
だが、儂にバット向けたことを地獄で後悔させてやる!
そして、死神なき後は、みのりタンは儂のもの!
ハァハァ!!
みのりたーん!」
作者である protozoa の、死神への暗殺指令。
もはや、作者と死神は別人格である!
物語は、木村みのりの争奪戦という新たな局面を迎えながらも、適当に進む。
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