墨汁日記

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平成マシンガンズを読んで 13

2006-08-30 21:08:50 | 

「俺はあなたを苦しめるつもりはない。むしろ、同類として優しく取り扱ってあげたいと考えている」

 私は何も答えない事にした。
 まずは、相手の出方を見ておかないと。

「俺が思うに、俺とあなたはそんなに種類の違う人間ではない。むしろ、同類である。だからお願いがあります」

 死神は、帽子をかぶりなおして、右手に凶器を出現させた。

「これは、あなたの凶器です。これで人を撃ちなさい」

 見ると、夜店で売っているようなオモチャのマシンガンだった。

「引き金を引けば、電池で光ってブヨォオンと音がします」

 なにそれ、ただのオモチャじゃない!

「こんな物でも、ちゃんとたーんと人は死にます」

 どういう原理で?

「弾丸は、あなたの憎悪です。あなたの憎悪が弾丸となり、人を撃ち殺します」

 相変わらず、死神の目は穴ぼこのようでまるで操り人形のようだ。いったいどこの誰がこのデクノボウを操っているのだろう。
 私はつい油断してウソを言った。

「バッカみたい。なんで憎悪で人が殺せるのよ。だいたい私は誰も憎んでなんかいないしぃ!」

 そのとたん、死神の目に感情が宿った。

 面白いオモチャを見つけた幼児のようなキラキラした目。

 閉じられていた口は半開きとなり舌なめずりをした。

「俺は、死の安息を平等に分け与える者であり、誰も苦しめるつもりはありません。だが、このマシンガンを受け入れられないのなら、あなたが受け入れなければならない理由をあなたに解き明かさねばならないのです。それは、あなたにとって苦痛を伴う事かもしれませんよ。最後のチャンスです、すなおにマシンガンを受け入れて人を撃ちなさい」

 私は首を横に振った。死神の目に安堵がよこぎる。
 やはり、私をオモチャにして遊ぶつもりだ。
 感情をあらわした死神の目に私はとてつもない恐怖を感じた。


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