墨汁日記

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俺は情けない

2004-11-04 18:50:38 | 駄目
 彼女には知られたくない過去の一つや二つは男なら誰でもあるだろう。俺もある、俺のもっとも知られたくない情けない過去の一つは、彼女いない歴35年だ。いや、正確には誕生日前にぎりぎり彼女が現れたんで、34年か。なんにしろ自慢出来る様な事では全然ない。
 過去の華やかな女性関係は現在では恥ではない。むしろ、男にとり誇りにしていい事だろう。それは女性でも同じ事だ。異性とつきあった過去は現在では海外旅行の回数に並ぶ、誇るべき行為だ。そういう時流なのだ。

 一度も素人とやった事ありませんなんてのは、恥以外のなにものでもない。その上に収入もなけりゃ、車もない。特別かっこいいわけでもなく、夢すらないし若いわけでもない。女の子にしてみりゃ「気色悪い親父」の一言ですますべき男だ。
 要するに俺は女性が彼氏として連れて歩いて、お得感のある男では全くないという事だ。下手すりゃ、俺が彼氏と言うだけで、対外的には不利益であるかもしれない。

 まっとうな感覚の女性なら、俺の存在は無視すべき対象である。かかわってはいけない。

 だが、その日の彼女は、しつこく自分の過去の男性経験を語った。俺には真意がつかめない。彼女は俺に嫉妬してもらいたいのであろうか。はたまた、自分の豊かな過去を自慢しているだけなのだろうか。

 そして、最後に聞かれた。

「うっちーの最初の彼女ってどんな人?」

 ついにきてしまった。俺は最強にもてなかった過去を告白せざるえない状況においこまれてしまったのだ。これはなんなんだ。子供が自分の持ってないポケモンカードを「みせてよ」と転校生にねだるのに似ているのか?だが、俺にはカードなんてない。はじめからゲームに参加する資格すらなかったのだ。

 俺は告白せざるえない。彼女なんて人はいなかったことを。

「じゃあ、私が最初の彼女なんだね。」

 すまない。そのとうりだ。あんたらの流儀にはかなり反している。俺にはカードなんて一枚もない。恋愛ゲームの相手としては、かなり役不足だ。いや、本来は無視すべき相手だ。

 俺が彼女にあげられるのは俺の心と体と俺の時間以外にない。それ以外はなに一つ、彼女には与えられない。

 俺は情けない。俺は馬鹿だ。俺は風俗で何回も抜いた。一つとして、あんたらの価値観と通じる物はない。俺はあんたとは異星人だ。

 ただ今となっては、失う事のみが怖い。彼女を失わないで済むならなんでもする。彼女の声と体温のみが、俺の価値ある物である。まさに愛だ。愛がこんなに悲しく、情けなく、自分勝手な物だとは知らなかった。