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墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 218

2006-12-30 20:37:54 | 

「あのさ、死神は人間を憎んでいるの?」

「いじめは自分が誰かより優れているはずだという勘違いから生まれる。いじめっ子は特別な人間ではない。
 分かるという事は分ける事。コレとコレは違う。燃えるゴミは火曜日に出す。あるいは、この記号とその記号の意味は違う。この音符とあの音符は音が違う。などなど、物事を理解する為にはきちんと分けなくてはならないし、分けなきゃ分からない」

「質問に答えてないよ」

「待て。順を追って答える。
 そして、人は対人関係においても分けるという方法で他人を理解する。そういう理解の仕方でしか他人を人間は理解できない。
 他人を分ける時には、共同体の中での自分の立ち位置が最も重要となる。自分が共同体でどういう位置にいるかが全ての基準となるのだ。共同体に属する人間は自分の立ち位置を基準として、他人を分ける。
 共同体での立ち位置は、男とか女とかの性別、学歴、人望、仕事ができるできないとか、共同体に何年も属しているなどとかで変わる。
 共同体での地位など普遍的な絶対基準であるわけないが、その共同体内では絶対の基準となる。
 分けなきゃ分からない。
 ここに誤解のワナがある。
 分けたから分かったような気になる。
 ところが、その分け方が間違いであったならどうしよう?
 だが、人間はきれいに分けられてると分かったような気がしてしまう生物なのだ。分け方そのものが正しくなくても、分類が成されてると分かったような気がしてしまうのだ。
 だから、人間は誰かが誰かより偉いなんて事はあり得ないかもしれないのに平気で他人を自分より下の人間だと位置づける。
 自分より下のランクに見える他人は、共同体内で下位に属しているだけの人間にすぎない。共同体のみんながその人間を劣っていると暗黙に決めつけているから、自分もそれに乗っかって自分の地位に満足しているだけで、本当に劣っているかどうかは問題となりにくい。
 ブスや馬鹿。
 ニートに身体障害者。
 路上生活者に狂信者。
 分けられるなら簡単に自分と違うと分け、自分より劣っていると決めつける。何がどれだけ違うのか。少なくとも同じ人間だ。
 最後に質問に答えるなら、俺は人間は嫌いだ。俺も含めて人間は全て救いようもない馬鹿だと思う。だからこそ死が救いとなる。だから人間でありながら死神となった」


平成マシンガンズを読んで 217

2006-12-29 20:19:59 | 

「ちょっと話がそれるけど、いじめ問題の本質がどこにあるか知っているか?」

「知らない」

「お前の心の中にある!」

「たしかに、私はいじめを見て見ぬフリしたことある。
 でも、誰かをいじめた事はないよ」

「いやいや、お前が気に病む問題じゃない。
 いいか、いじめの本質は、全ての人間が基本的にいじめっ子体質だからというそれだけの話だ。
 いじめっ子が特に残虐なワケじゃない。
 基本的に人間は弱者をいじめるのが好きなんだよ。
 だからいじめがなくなるはずもない」

「私はいじめたことない」

「いいんだよ。
 あんた個人を責めてるワケじゃない。
 だが、そうは言うが、いじめっ子のいじめる子を見て、こいつならいじめられても当然だよなと思った事はないか?
 その感性は、むしろ、いじめっ子に近くはないだろうか?
 いじめたかいじめなかったかの差だけじゃないのか?」

「あぅー」

「クラスに、あるいは学年に1人はいるよな。
 こんな奴がクラスメイトや学友なのが気に食わない明らかに自分より劣っている奴。
 こんな奴とだけは友達だと思われたくない、こんなのと同類だと思われるだけでうちらの恥。クラスにいるだけで、クラス全体の評価が落ちてしまうと思えてしまえるような奴」

「まぁ、いないとも言い切れない」

「いるなら、自分がそんな奴と同類の人間だと他人から思われる事は、あまり喜ばしい事ではない。出来ればさけたい。
 もともと居てくれなかった方がありがたいと思えるような奴は確実にいる。なれなれしく近寄るなと悲鳴を上げたくなる。絶対に自分と同じ人間だと認めたくない」

「うー」

「そんな奴は自分より格下であって当然だと思わないか?」

「うー」

「せめて、うちらの中でも特例の奇妙な人間で、本来のうちらとは別種なんですよと示したくはならないか?」

「うー」

「例えば、そんな奴が馴れ馴れしく友達面して会話の中に入ってきたらどうする?」

「えー」

「シカトしたくはならないか?
 だからシカトした、だが効果はなく、まだ奴はうちらと同類だと思っている。こんな身の程を知らない馬鹿には制裁を加えたくはならないか?」

「あー」

「ただの実力行使がいじめだ」

「むー」

「猿山のサルや、群れに属するオオカミと同じで、集団で生活するほ乳類である人間には本能的に『序列』という意識がある。
 序列の意識は、クラスメイトはみんな平等という民主主義とは反する。
 こいつより自分の方が上等の人間であると言う意識がいじめを生む。
 自分より劣っている他人は必ずいるのだという考え方は、集団を成り立たせる為には自然な考え方だ。上下関係は命令の徹底に有利な手段だ。その根は猿山のサルの序列と同じだが。
 過去に発達した多くの文明には『身分制度』が存在した。
 意外と身分制度のほうが民主主義より、人間の素直な感性にフィットするのかもしれん」


平成マシンガンズを読んで 216

2006-12-29 19:17:05 | 

「まぁ、ブスがいないとまで断言すると言いすぎだな。
 世間にはブスというカテゴリに分類されてしまう容姿の女は確かにいる。
 でも『本当のブス』と言うなら、それは明らかに『言葉』の誤用だ。ブスに嘘も本当もない。
 それに俺が思うに、ブスなんて単なる気のせいだ。
 お前らが馬鹿だから世間の価値観にだまされて他人をブスよばわりしているだけなんだよ。
 例えば俺が、本当のブスなんかいないと言う。
 すると、じゃぁお前は本当のブスとセックス出来るのか?
 キス出来んのか?
 チンチンたつのか?
 とか嬉しそうに反論する馬鹿がいるけど、そんな反論は馬鹿らしいだけだ。
 あんたらがブスと決めつけている女だって意思のある1人の人間で、意思のある女がこんな死神の俺とセックスしたがるワケもない。
 相手が俺とのセックスを望んでいる状況があってこそはじめて成り立つ反論など、反論として成り立たない。まず、俺とセックスしたがっているブスをここに呼んで来い。話はそれからだ。
 ブスが嫌がってんのにキスしたりセックスしたなら、ただの強姦だ。ブス相手にチンチンがたつとかたたないとかの問題じゃないんだよ。嬉しそうに下らない反論などする前に、そんな反論を思いついた自分を恥じよ。
 ブスは誰にでも股を開く公衆便所か?
 違う、お前らがブス呼ばわりする女性だってただの1人の人間だ!
 たかが彼女の容姿が世間の価値観にあってないだけの女性をブス呼ばわりする権利は誰にもない。
 そんな事を言う奴の精神の方がよほど不細工で、ブスとか言う奴の方が狂っている。
 ブスなんていない。気のせいだ!」


平成マシンガンズを読んで 215

2006-12-28 21:02:50 | 

「手の届かない美女より、お買い得なブスの方が都合が良いってこと?」

「いや、俺だって手の届く美女の方が好きだし、お高いブスは困りモンだ。
 てか、そういう問題じゃない。
 確かにブスと認識される女はいる。
 だが、その認識は正しい物なのか?
 正しくない可能性だってある。
 ちゅーか、正しくないよ。
 容姿と人間性は関係ないと思う。
 俺に言わせるなら誰もが平等に醜い。
 人間なんか平等に醜いんだよ、例外なく!
 容姿をどうこう言うのは下らない。
 花柄の便座カバーが、トレペの芯を笑うようなもんだ」


平成マシンガンズを読んで 214

2006-12-28 20:43:52 | 

「仮に、人間に目がなきゃブスなんていないんだよ。
 メクラだけの世界にブスは確実にいない。
 顔の造形なんて差異だよ。差異。微妙に違うかなってもんだ。しょせんは人間なんてナマコと同じ糞袋だ。人間なんかクソの生産機械だ。たまに繁殖とかするけど。根本的に区別するほど違っちゃいない!」

「そんな。
 でも、美女に愛の告白をされたら死神だって嬉しいでしょ。
 それに。
 死神はブスを本当に愛せるの?」

「すまんな。
 俺は愛の概念が人と違うもんで、そもそも人を愛さない。
 俺の対人関係は損得勘定だけだ」