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墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

サンバ

2005-07-03 23:08:55 | まち歩き
 商店街のお祭りを見学しているうちにメインのサンバの行進が通りの向こうから笛や太鼓を鳴らしてやってきた。

 時間は夕方の四時半。サンバがはじまる少し前の四時すぎになると、いつの間にか街は人でいっぱいになっていた。ほとんどが家族連れか老人や子供で、俺みたいなただの男が一人で見学というのは珍しい。中学生以上の若い人の姿もほとんどない。
 若い人がわざわざ時間をつぶしてまで見学するものではないらしいな。いわゆる商店街のお祭りで、いけてないんだろう。
 
 いよいよサンバがはじまる直前になると、警備員や実行委員会の人が道の中央を開けさせる。ただでさえ多い人々は道の両側に圧縮させられて、とうとう身動きができなくなる。

 ピーッピーッと笛が鳴り響く、打楽器を打ち叩き鳴らしながらサンバのリズムとともに行進が現れた。
 まずは、派手な衣装に身をつつんだ男女二人が旗を手に行進の先頭に立つ。踊りながら投げキッスを沿道で見学している人に投げつける。二人とも、踊りが上手でパフォーマンスもうまい。
 その後ろを若い女の子達がビキニスタイルの半裸で続く。
 恥ずかしいって言ってたものの正体はこれだな。あきらかにおどりも前の二人に比べると下手で、白い肌のみがなまめかしく目立つ。近所の大学の学生なんだろうが、やってる本人達が恥ずかしがってんじゃ見てるこっちまで恥ずかしくなる。
 そして楽団の行進。
 打楽器、打楽器、打楽器。打楽器の行進。
 あー。生の打楽器や肉声は迫力あるな。腹に響く、便秘もなおりそうだ。
 派手なロボットアニメみたいな肩飾りをつけ、シャーみたいな帽子をかぶり、それぞれが手にした楽器を打ち叩く。
 ある者は恍惚としながら、ある者はぼうぜんと、ある者は必死で、ある者は観客に愛想をふりまきながら。ブラスバンドと違って向いてる方向もてんでばらばら。とにかく手にした楽器を打ち叩きながら歩いている。

 ビデオを撮影する人を最後に行進は終わった。

 見るもんは見た、もう十分だ。俺は人ごみをかきわけて駅に向かう。
 駅に着いたとたん、街は平常のいつもどおりの時間が流れていた。


商店街のお祭り

2005-07-03 13:28:11 | まち歩き
 サンバカーニバルを見学する。

 行き止りの路地にゴザをひいて、ちゃぶ台を並べて「簡易休憩所」が出来ている。そこに小学生やおばあちゃんが座り込んで、お茶や菓子を食べながらたむろしている。
 どこの店も、店頭に臨時露店を拡張し、焼きそばやらフランクフルトやら、ビールとかジュースなんかを販売している。売り子は大声で「いらっしゃいませ!おいしいよ!」と客を呼び寄せている。
 景品におもちゃがもらえるゲームコーナーや金魚すくいも出店している。ゲームコーナーはパターゴルフに、ダーツ。的に当てたり入れたりして、景品に当たると野球ゲームや光線中がもらえる。あと、虫のおもちゃももらえる。
 最近は虫のおもちゃが男の子の間ではやっているようだ。擬人化された、いや。擬人化はされてないか。メカ風にデフォルメされた甲虫。クワガタやらカブトムシとかのおもちゃを手に持ったガキが多い。このおもちゃが今はやりの「ムシキング」とかいうやつなんだろうか?「ムテキング」なら知ってんだけどね。
 女の子はおめかしと食い物だ。ゆかたを着て、両手に屋台で買った食い物を持って友達とつるんで歩いている。女の子達は祭りの雰囲気に影響され、ハイテンションになり仲間と大声で歌を歌いながら歩く。超スピードで「チョウチョチョウチョナノハニトマレ!」と体を前後にゆさぶりながらヤケグソ気味に歌いまくっている。楽しくて楽しくて仕方がないようだ。

 けっこう近所の小学生達はこのサンバカーニバルを楽しみにしていたようだ。雨にならなくて良かったねと思う。


朝の通勤風景

2005-06-30 21:46:17 | まち歩き
 朝の五時半すぎに通勤の為に立川駅に着く、定期を自動改札機に飲み込ませて改札を抜ける。

 カップルと同じ階段で、同じホームに下りる。
 男は帽子に色眼鏡で黒のパンツ。女はしゃれた可愛い上着にジーパン。二人ともやや気負い気味のおしゃれな格好をしている。これから、どこかに出かけるのか、それとも昨夜が特別なナイトだったのか。

 中央線に乗りシートに座ると、一人分だけ席を空けて左隣に若い男が座る。
 中学生?高校生であろうか?とにかく若い。
 若い男は、シートに腰をおろしたとたん、カバンからクロッキー帳とシャーペンを取り出してなにか絵を描き出した。
 左手で不器用にシャーペンを握りしめ、何らかのラインを引いて行く。なにを描いているのかは俺はすぐにピンときた。
 かお。おっぱい。おしり。
 女性の立ち姿だ。
 彼の、女の絵は一直線なアニメ系の線で、美術教育を受けた経験はないらしい。
 だが、しかし。それなりにまとまってはいる。
 きっと横から俺がココのデッサンが狂ってるよとか口を出したら、彼は真剣にくらいついてくるはずだ。まぁ、出しはしないが。
 彼は彼の世界観を確立しようと人目もはばからず己と格闘中なのだ。中途半端で投げ出した俺にアドバイス出来る事はなにもない。
 もはや、俺はこういう熱意をまったく失った。彼はきっと、女のラインを休むことなく引き続ける事を自分に課しているのだろう。

 中央線から西武線に乗り換えると、例のカップルがついてきて、同じ車両に乗り込んだ。俺は毎朝の儀式の携帯メールを「日記」に送信して携帯をたたむ。
 走る電車の中で、女はえんえんと自分が好きな小説だか、映画だかの物語を語り続ける。男は始終無言。
 一駅で目的地に着く。
 カップルは立ち上がり扉に近づく。俺も下りる為に立ち上がる。
 そのとたん、女は驚いたような非難するような目つきで俺を睨みつける。同じ駅で電車に乗り同じ駅で電車を降りる俺がうとましいらしい。
 なんで私らの後をつけて来るんだという顔だ。

 俺から言わせりゃ、俺は毎朝、立川で電車に乗って、ここでおりてるんだ。文句を言われる覚えはない。だが、女にはこんな偶然が気持ち悪く感じられ、俺がうざいんだろう。

 女性の本能的とも思える被害者意識には、いささかウンザリさせられる。 


トンビに油揚げならぬカラスに厚揚げ

2005-06-29 20:53:51 | まち歩き
 パン屋のバイトを早めに終えて、次のバイト先へ向かう。

 今日は時間に余裕がある。Asahiの自昄でワンダを買い、鳩のふんだらけの駅前の公園で一服する。
 ベンチに座る前に、鳩の生糞が落ちていないか確認してから腰を下ろす。

 タバコを二本吸い、ワンダを飲み終えて、携帯で時間を確認して席を立つ。
 
 しばらく歩くと、カラスがごみの集積所でエサをあさっていた。
 ゴミ袋から、小さめのビニール袋をほじくりだし、その中からきつね色の何かをほじくりだしつついている。
 俺が近づくとカラスはあわててきつね色の大きな破片をクチバシにくわえて飛び立った。

 ナニをつついてたんだ。

 気になって、ゴミ袋を覗き込む。

 厚揚げ。

 なんだ、厚揚げか。豆腐系は暑さに弱いからな。
 古くなった厚揚げを近所のヒトが捨てたんだろう。 


生ザリ

2005-06-26 13:41:01 | まち歩き
 朝からずっとコンピュータの前に居座っていたが、タバコも切れたので八時半頃から散歩に出かける事にした。
 いつの間にか外は晴れている。今日は非常に蒸し暑くて歩いているだけで額や背中からジットリと汗がしみでてくる。
 歩きながらどこへ散歩にいくかなんてまったく考えない。足は勝手に毎週日曜の休みの度に散歩に行く近所の矢川緑地に向かっている。まるで自分で自分に毎週の矢川緑地もうでを課しているかのように迷わず歩く。途中の自動販売機でハイライトを購入する。

 本来は湿地であるはずの矢川緑地は、今年の4月5月に雨量が少なかったため、乾燥して水たまりがずっと消滅していた。しかし、梅雨に入り雨量が増えて先週ぐらいから水たまりが復活してきた。
 矢川緑地に着いた。地面の上に橋のようにかけられている木製の歩道を歩いて、歩道の曲がり角にある、水たまりのところまで行ってみる。

 木製の歩道の土台部分の日陰の水の中に二匹のザリガニがいる。
 今年はじめて見る生きたザリガニだ。
 俺が近づくと振動を感じたのか、ザリガニはガレキの下にかくれてしまった。水中には、まだ色が白い子供のザリガニもいる。
 水たまりが本格的に復活したのはつい先週。ほんの少しの期間でザリガニどもは繁殖まで果たしてしまったらしい。
 今年は、へんな陽気で水棲動物にはずいぶん住みづらいんじゃないだろうかと勝手に心配してやっていたが、どうやら確実に大きなお世話であるらしい。住みづらいなら住みづらいなりに生物は勝手に適応してなんとかやっていく。
 むしろ、反対に俺の方がザリガニに心配でもしてもらわなきゃならないのかもしれないな。