墨汁日記

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朝の通勤風景

2005-06-30 21:46:17 | まち歩き
 朝の五時半すぎに通勤の為に立川駅に着く、定期を自動改札機に飲み込ませて改札を抜ける。

 カップルと同じ階段で、同じホームに下りる。
 男は帽子に色眼鏡で黒のパンツ。女はしゃれた可愛い上着にジーパン。二人ともやや気負い気味のおしゃれな格好をしている。これから、どこかに出かけるのか、それとも昨夜が特別なナイトだったのか。

 中央線に乗りシートに座ると、一人分だけ席を空けて左隣に若い男が座る。
 中学生?高校生であろうか?とにかく若い。
 若い男は、シートに腰をおろしたとたん、カバンからクロッキー帳とシャーペンを取り出してなにか絵を描き出した。
 左手で不器用にシャーペンを握りしめ、何らかのラインを引いて行く。なにを描いているのかは俺はすぐにピンときた。
 かお。おっぱい。おしり。
 女性の立ち姿だ。
 彼の、女の絵は一直線なアニメ系の線で、美術教育を受けた経験はないらしい。
 だが、しかし。それなりにまとまってはいる。
 きっと横から俺がココのデッサンが狂ってるよとか口を出したら、彼は真剣にくらいついてくるはずだ。まぁ、出しはしないが。
 彼は彼の世界観を確立しようと人目もはばからず己と格闘中なのだ。中途半端で投げ出した俺にアドバイス出来る事はなにもない。
 もはや、俺はこういう熱意をまったく失った。彼はきっと、女のラインを休むことなく引き続ける事を自分に課しているのだろう。

 中央線から西武線に乗り換えると、例のカップルがついてきて、同じ車両に乗り込んだ。俺は毎朝の儀式の携帯メールを「日記」に送信して携帯をたたむ。
 走る電車の中で、女はえんえんと自分が好きな小説だか、映画だかの物語を語り続ける。男は始終無言。
 一駅で目的地に着く。
 カップルは立ち上がり扉に近づく。俺も下りる為に立ち上がる。
 そのとたん、女は驚いたような非難するような目つきで俺を睨みつける。同じ駅で電車に乗り同じ駅で電車を降りる俺がうとましいらしい。
 なんで私らの後をつけて来るんだという顔だ。

 俺から言わせりゃ、俺は毎朝、立川で電車に乗って、ここでおりてるんだ。文句を言われる覚えはない。だが、女にはこんな偶然が気持ち悪く感じられ、俺がうざいんだろう。

 女性の本能的とも思える被害者意識には、いささかウンザリさせられる。 


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