絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

ジュピターC編「ボックスアートを楽しむ:輝くJohn Steelの世界」

2006年10月23日 | プラモデル



野次馬考古学主任教授のオイゲンじゃ!
呼ぶときは、敬称を忘れるでないゾ 喝!

今回の発掘品は『Kit No1819 ジュピターC 1958年製』です。


ドイツレベル創業50周年記念の限定バージョンを、早速入手しましたので、これを見ていきたいと思います。
過去に、ヒストリーメーカーシリーズで再版されたことがありますが、それから10年近い年月を経ての再登場です。
今回は、初版発売当時のボックスアート(ヒストリーメーカーシリーズは、キットの完成写真でした)でリリースされているので、野次馬考古学担当にとって、涙、なみだのキットとなりました。だって、1950年代後半の香りが、プンプンしてくるんですから!

テーマ 「ボックスアートを楽しむ:輝くJohn Steelの世界」


キーワードは「幻想的」、「」、「月の光」、「スパイ」。

このボックスアートは、なんて「幻想的」なんでしょうか。
夜を効果的に描いた、John Steel氏の力量が光ります。

エクスプローラー1号を搭載したジュピターCは、夜間打ち上げられたので、イメージ的には当時と同じ状況を、再現しているのだと思います。
ただ、そこにはこの絵を劇的に盛り上げる、ある要素が加味されていました。
それは‥‥「山」と「月の光」です。
夜の山肌を照らす月の光、それによって浮かび上がる山。
このふたつの相乗効果が、見る者を幻想的な世界に引き込みます。
同氏は、背景の山と月の光に照らされた山肌を丁寧に描くことによって、このジュピターCをより効果的に描き出すことに成功しています。
背景が山の場合、平地の場合、同じ「夜」、「月の光」で条件設定してみると、山があった方が、平地の場合より見る側に強い印象を残すと思いますが、いかがでしょうか。
また、ボックスアートには山に囲まれた秘密基地っぽいイメージもそれとなく描かれており、この幻想的な雰囲気をかもしだすのに、十分効果をあげています。

それから、このボックスアートは、画面構成上原画の一部をカットしています。
ノーカットでそのままボックスアートにしたら、多少印象が違ってきたでしょう(原画は組立図に掲載されています)。

原画





原画には、ボックスアートにも一部見えていますが、左側にロケット運搬用のトレーラーが位置し、トレーラー自体はロケット据付のため、引き起こされた状態のなっています。
発射準備が、順調にすすめられて間もなく発射されるのでしょう。

でも、ちょっと待ってください。
スパイが覗いていますよ。気をつけて!

わかりにくいかもしれませんが、原画の左下端に岩らしきものが少し見えます。
これに注目してください。
どういう状況なのかというと、あなたが月明かりの荒野を歩いているとします。
すると、岩陰から作業灯のあかりが見えてきました。周囲は何となく騒がしい。

何だろう?

岩陰から、こっそり覗いてみると‥‥
そこは、ジュピターCの発射現場だったのです。
そうです。スパイは、あなただったのです。
原画には、ビックリするようなどんでん返しが盛り込まれていたのです。


なお、下はヒストリーメーカーズで再版されたときのパッケージで、キットの完成写真になっています。



ガントリータワーは、なんとなくレトロな雰囲気。現在の複雑な構造の整備塔に比較すれば、いたってシンプル。時代を感じさせます。



続く


「次回は、ジュピターCの側面ボックスアートを取り上げます。

よろしく!」




次回のチラリズム

側面ボックスアートは、こんな感じ。



原子力潜水艦ノーチラスがあるではないですか!
日本のプラモデル史上、ノーチラスは切っても切れない関係です。