絶版プラモデルやじ馬考古学・ボックスアート美術館(なつかしき50~60年代アメリカプラモの世界)

古き良き時代の絶版プラモを発掘する、インターネット考古学。現在、・ボックスアート美術館にてエレール特別展を開催中!

ジュピターC編「組立図を楽しむ:その凝縮された存在感」

2006年11月06日 | プラモデル



どうじゃ。考古学の授業は楽しいかね。
ワシのような立派な人物になりたければ、
しっかり勉強することじゃ。
喝!

プラモデル野次馬考古学


「組立図を楽しむ:その凝縮された存在感」


ジュピターCは、アメリカにとって特別な存在です。
ソ連による人類史上初の人工衛星打ち上げ成功で、アメリカのメンツは丸つぶれ状態。
これをなんとか挽回するピンチヒッターが、ジュピターCだったのです。ジュピターCは陸軍のレッドストーンがベースになっていますが、人工衛星打ち上げに関して、当初アメリカ政府はレッドストーンの使用に消極的でした。
一説には、人工衛星の打ち上げは平和利用のため、ということを強くアピールしたいため、ミサイルであるレッドストーンの使用をひかえた、とか旧敵国のドイツ人(フォン・ブラウンがそうです)が開発に関与したミサイルなど使いたくない、という愛国的(?)理由があったとかいわれています。
ただ、打上用ロケットのバンガード(海軍が開発)が失敗したため、急きょ陸軍に打ち上げの指令が下された、というドタバタ劇を経て、ようやく人工衛星打ち上げに成功したわけです。
そんな経緯があって、ジュピターCはアメリカの威信を守ったロケットとして、アメリカ人の記憶に永く残ることになったのです。



組立図を見ると、ガントリータワーに圧倒されます。
主役はジュピターC本体より、ガントリータワーです。

ミサイルキットについていえば、ミサイル本体は単純な形なので、発射台や整備塔、トレーラー等、周辺施設をいかに効果的に再現するかが、勝負どころです。
このジュピターCは、ガントリータワーを付属させたことにより、その圧倒的な存在感をうまく誇示することに成功しています。




上左側は、ジュピターCの原画。
原画左部分に描かれているトレーラーが、ボックスアートではカットされています。
右はジュピターC本体の組み立て。いたってカンタン。先端部分以外は、同社レッドストーンと同じことがわかります。







上は、ガントリータワー基部のパワープラント部分組み立ての図。






ガントリータワー組み立ての図。なんだか、東京タワーのキットを作るような感覚です。





いよいよ、フィニッシュ。ここまでくれば、ほぼ完成したようなもの。
このワクワク感がたまらないのです。
地上には、作業員の姿が描かれ、臨場感タップリ。

ところで、みなさん。一連の組立図を見て、何か気がつきませんでしたか。
もし、このジュピターCを作ろうとした場合、自分がすべき作業が確実にイメージできたのではないでしょうか。さらに、そのステップそのステップごとに、出来上がっていくキットの様子を、あたかも写真を見るような感覚で認識できたのではないでしょうか。
この組立図は、誰が描いたのかわかりませんが、作り手の心理をしっかり把握しています。
リアルな図は、キット完成後の姿を作り手にイメージさせ、作ることをけっして途中で放棄させない仕組みになっています。
「途中でギブアップさせない」、これはきわめて重要な点で、部品数が多く、工数や手間がかかるキットほど、組立図がうまく作り込まれています。
レベルの組立図には、こうしたマジックが隠されています。

とにかく、このガントリータワーの存在感は、スゴイ!(本来、主役であるべきののジュピターCを完全に喰ってる)
また、パーツのボリューム感も、スゴイ!!
スゴイ、スゴイ、スゴイの連発です。

組立図を見ると、タワーは可倒式ということがわかります(中央部A図参照)。






上は、レベルの広告。
レッドストーンの組立図に掲載されていたものと、中身はまったく同じです。

続く



「次回は、ジュピターCのパーツ編です。

皆さんは、このキットをGETしたくなったでしょ?

探せば、まだ残っていますよ。

さあ、モケイ店へ進撃しましょ」

※BGMには、「コンバット」のマーチでも流したいところですネ。




次回のチラリズム

ドイツレベルのパーツは、ハデハデの赤。
ジュピターC本体がなければ、東京タワーのプラモデルと間違えそう。
過去にリリースされたアメリカ版だと、グレーになっていました。




オマケの予告

マルサン/ラベール(私のようなオジさんには、懐かしい響きです。)誕生の秘密がわかる記事もつけちゃいます。

キーワードは、

グンゼ/レベル以前にレベルの国内生産品があった

レベルの金型は Made in Japan

マルサン/ラベール提携品は、これまた Made in Japan 」



                           プラモデル野次馬考古学



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1 コメント

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日本のロケットは成功 (ミサイルマン)
2008-02-04 17:08:14
アイゼンアワー大統領が1957年に始まる地球観測年IGYに軍事ロケットでなくナチスドイツ人捕虜フォン・ブラウンの力を借りずにアメリカ人だけの力でバンガード人工衛星重さ1500グラムを打ち上げて国家の宣伝に利用した買ったと書いてありました.敵対するフルシチョフ書記長にブドウの種みたいなチビ衛星とこけにされた上、失敗続きでした
日本のカッパ-6ロケットは60kmあがり成功でした
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