
タイトル:「Power Print 2013―印刷メディアn源流」
発行:一般社団法人 日本印刷産業連合会/2013年9月月
体裁:B5判/196ページ
多様なメディアが鎬を削っている時代にあって、印刷メディアの価値、強みとする「力」とはどんなものなのか? 新メディアの出現を向かい風と捉えるか追い風と受け止めるか? 「印刷産業にとって、ここ数年が勝負となる」(「はじめに」より)。
そこで本書は、「印刷」の姿を可能なかぎり分析データに基づいて正確に把握することで、印刷産業の将来像を描き出していくという趣旨で編纂された。
全7章からなる本書の構成はこうだ。
①Global Scope 海外の印刷プロモーション活動
②印刷メデイアのサステナビリティー
③印刷メディアの価値提言
④印刷の力-印刷メディアの効果測定から-
⑤クロスメディア時代における印刷
⑥Best Printing
⑦SMATRIX2020再考 RE=PRINTING:再発見・再構築・再構成
これらの序文として、学識者にインタビューを試みた「パワープリントとは? 脳科学者が印刷を考える」という興味を引くページが先導してくれている。
日本印刷産業連合会では2年前に印刷産業ビジョン「SMATRIX2020」を発表し、産業としてのあるべき形を提唱したが、本書では、欧米におけるさまざまな論点を読み取るとともに、日本における印刷メディアの多彩な試みを加味して、印刷がもつ「力」を再発見することに努めた。そして、多様なメディアのなかでの印刷の特性と役割、位置づけを確認することが、産業として成長するうえでの第一歩となるとした。
第7章「印刷産業の再定義・再構成」の項では、今後に向けて成すべき戦略として、
①差別化・差異化への挑戦
②課題解決力の強化
③継続的な新商品・新事業の開発
④ネットビジネスの取り込み
⑤コラボレーション、⑥立ち位置の明確化
を挙げている。
印刷産業人として、もう一度掴み直したい経営課題である。