満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

スラムドッグ$ミリオネア(DVD)

2010-02-24 | 映画・ドラマ紹介


あの…日本でもお馴染みのクイズ番組「クイズ$ミリオネア」
この番組にインド「ムンバイ」のスラム街で育ったジャマール(デヴ・パテル)が出演し
最終問題まで勝ち進んで行く。
正等な教育を受けた人々が次々と脱落していくなかで
スラム出身でまともな教育すら受けていないジャマールが勝ち進んでいくのだ。

ありえない出来事に不正の匂いを嗅ぎ取った司会者の告発により、
最終問題を前に、ジャマールは警察に逮捕されてしまう
警察の拷問に近い尋問により、クイズの一問、一問の問題の答えに隠されていた
ジャマールのスラムで生き伸びるための人生がつまびらかとなっていく

戦後の日本でもスラム街はあったが…幸いなことにこの時は
日本全土が貧乏でスラム化していた
日本人にも士農工商のランク付けはあったが、既に「元」が付く程度に崩壊もしておった
江戸時代より、勉学第一の気風がある日本の国民はランクの差なく勉強出来る環境もあった
国が世界に開国した時に、外国人が一番驚いたのは文盲率の少なさであった

だから現代のスラムの実態に対し、日本人は疎い。
特にインドのように、生まれた時から階級で分けられ下層階級は学校へも通えず
好きな人と結婚も出来ず、思った職業にもつくことが出来ない状況で育つと言うことが
どういう重い枷なのかは、単なる想像の域から出ない

この映画を作ったイギリス人監督ダニーボイル氏も、やっぱり解らないのだと思う

だからか…この映画は見て見ぬ振りをする人々を批判してはいるが、切り口がニブイ。
逆を言えば…他所の国の出来事が土台なので、
鋭い切り口で批判した映画を作れない現実が…ソコに横たわっているように感じる。

映画の一シーンに、
虐待を受ける子供を救うために100ドル札をポンと渡すアメリカ人観光客が居る
この映画を撮るために、どれだけのドルがばら撒かれたかは解らないが
このシーンが映画を撮る側、見る側の全てを現しているようで
心から離れない

童話ピノキオのお話しの中に、勉強嫌いな悪い子が行く夢の世界が描かれている
好きなだけ遊び、好きなだけ食べると…翌朝ロバの姿になり売り飛ばされるのである
この映画の中でも、そんなシーンがある
ただし、遊びも勉強もその機会すら与えられたことのないスラムの孤児達が集められ
大人のために働かされるのである
働かされるが、屋根のある場所で寝ることも出来るし、食い物もある
スラムの子から見れば、そこは天国のような夢の世界であった

歌の上手な子は目を潰される。そうすると物乞いの成功率が増すからである
ジャマールは歌が上手だったが、兄の機転により目を潰される寸前で逃げる事が出来る
数年後、街中で出会った目を潰された物乞いの歌い手は
「君は運が良かった、僕は運が悪かっただけ」と言う。
そんな彼にジャマールは100ドル札を渡すのだ。

先に見たアメリカ人の観光客がした行為を「おバカ」な行為と見た我々は打ちのめされる

たとえそれが焼け石に水な行為であったとしても、やらないよりやった方がいい。

相手がどうとか考えるより、何かをした事により…自分が一番楽になれる。

そういうモノがドロドロと堆積しても、ガンジスの流れが止まらないのと同じく
物語はスイスイと進み、見ている側の気持ちを洗い流して終わる。

いや~。面白かった(笑)
色々と考えるのが好きな人には、それなりに考える場面もあり
また考えるのが嫌いな人でも、最後はそれなりにスッキリ出来る
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』にアカデミー賞で競り勝ったのも解る
(ベンジャミン・バトンもDVDで見たので後日レビューするだ~)

最後に…なぜかイギリス人の監督が作った作品なのに
総出演陣のインド映画ならではな踊りのシーンがある。
エエね~~~~
国として色々な問題を抱えているけど、このエネルギーがある限り
日本は何時か追い越されるな~(もう既に追い越されている部分もあるが…笑)

面白かったので、機会があれば是非、見て欲しい作品であった

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14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見ました! (ヒコ)
2010-02-24 12:40:13
私は映画館で。
考えるのが“好き”派なので、じっくり考えました(笑)

エグイ場面ありましたよね
同じ“人間”として生まれてきたのに・・・
階級とか、ノルマとかがあまり好きではないので、みんなが一律に、平等に生活できたらいいのに・・・と思ってしまいます。
返信する
見たい! (asami)
2010-02-24 13:14:29
観たいなーって思ってたんですが、もうDVDになったんですね。
早速レンタルしてみようと思います。

ベンジャミン・バトンは私もDVDで観ました。
若いブラピが超~かっこよかった^^
満天さんのレビュー楽しみにしてます♪
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Unknown (ちか)
2010-02-24 14:13:25
アカデミー賞の時に内容以外でも話題になってた…
良くも悪くも、アメリカと言う富みの象徴(今は違っているのかもしれないけど)と、インドと言う戒律と貧困のイメージと(こちらも今は違うのだろうけど…)

私は戦後10年経って生まれた。
すでに食糧事情は良くなっていたと思うが、普通に近所の子沢山の家に余ったおかずを配っていた。
我が家も近所の家も木造平屋で、せいぜい台所に四畳半が二間程度、そこに親子、ばあちゃんも入れて5人や6人で住んでいた。
でもおかずを配りに行った家がある一帯は、もっと…壊れそうな家で着ているものも汚れていた。
そこには用事がある以外はあまり行くなと言われていた。

そこには夜になると男の人たちが稼ぎから帰ってきた。
いわゆるむしろと空き缶、それに白い包帯も仕事の道具だった。

子供がいる事で近所のお母さんたちはおかずが余ったら持っていったが、子供心にも「差別」と言うのは感じていた。
町内の楽しみ事には入ってこなかったし、誘う様子も無かった。

仕事上の、収入上の、出身地上の…どういう理由かはわからないが、たった50年前でも差別はあった。
インドとは比べ物にならないのかもしれないが…


満天どんの記事をみて、忘れていた記憶が蘇りました。
前に満天どんの生い立ちの記事も読みました。
たまには一生懸命に何かを考えるって必要だと思いました。

ちょっと変なレスになってごめん♪
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Unknown (ちか)
2010-02-24 14:16:48
満天どん

読み返して…最後に満天どんの生い立ちと書きましたが、それは内容とは関係が無く、みんなが貧しかった世代を知っているかな?と言う意味です。
もちろん私の方が年上なので世代は少し違いますが。
変な書き方になった事をお詫びします。
返信する
Unknown (asagi)
2010-02-24 14:34:06
娘が入院していた病棟にね、インド人の男の子がいたんです。
その子のお父様は東京の会社に勤めていて、何ヶ国語も話せる人でした。
めちゃめちゃ特権階級なんだろうな~とは思ってたけど…

難病を患っても設備の整った病院で治療を受けられる子どもと、物乞いの為に健康な眼を潰される子ども…
あまりの落差にショックです。
↑こんなこと思うのも、日本みたいな国でぼーっと生きてきた甘ちゃんだからよね~

この映画、タイトルしか知らなくて、観たいなとは思ってたんだけど…
なんか、できれば見ないで済ませたいものまで見えてきそうで、ちょっと怖い(^^;
返信する
ご無沙汰しております。 (長友)
2010-02-24 16:01:54
この映画、息子が良い映画だから
観たらと言ってました。
息子の部屋にあるので借りて今度
観てますね。
「やらないよりやったほうがいい」
同感です。人から自分の優越感のためにと
言われるかもだけど・・・。
何もしないよりは良いと思う。
返信する
ご返事どす~ (ヒコちゃんへ)
2010-02-25 10:40:27

映画を見て、考えるのが好きな人にとっては、
少々物足りない映画だったんじゃないかの~(笑)
なにせ、インドは難しい。民族の数だけ宗教があるしの~
ジャマールのお母さんが殺されたのも宗教だし
カースト制度も宗教だしの
細かいことは全然解らんだ~~(笑)

「私しゃ外国人なんでハッキリしたことは言えんが~、そこの所は汲み取ってね」
ってな監督の声が聞こえてきそうな作品じゃった(笑)

>みんなが一律に、平等に生活できたらいいのに・・・
んだね~。でも、この考えの根本は社会主義になるんよ~(笑)
自由であること。もちろん規律の上での(笑)
ただ、自由であり続けると競争原理が生まれる。そこから差別も生まれるだ。
難しいよね~~~
返信する
ご返事どす~ (asamiどんへ)
2010-02-25 10:46:25

これから見る人の迷惑にならんようにレビューを書いたつもりじゃが…
少々ネタバレ部分もあったでの~大丈夫かの?
(アハハハハハハ)
    ↑
やってしまってから、謝るタイプ(ガハハハハハ)

asamiどんはブラピ好き?
私も…彼の出演映画は…殆ど見ておるだ~~
どっちかって言うとジョニー・デップの方が好みではあるんだが…(ハハハハ)
でも、美しい男性は絵になるの~~~
見ていてドキドキしただよ~(笑)
返信する
ご返事どす~ (ちかどんへ)
2010-02-25 11:07:39

おんや? ちか姉さんってば…不覚にも私の記事で考えちまったかい?
(アハハハハハハハ)

戦後すぐはそういう家ばかりだったけど
戦後から10年も経つと、そこから脱出出来た人と出来なかった人とが
それぞれ分かれた時期もあっただよね~~
ウチの近所にもそういう人が居ただよ
大人は「あいつ等は、働こうという意欲がない」っと怒っておったがの(笑)
ハッキリとした差別を感じたのは民族の違いであったのを覚えておるだ
それは流石に子供心にも、良くない事っと見えただ
子供だったで何も出来なかったがの(笑)

ちかどん。今の日本でも差別はあるだよ~
自由競争の世界こそ、同じ人種でも差別は生まれるだ
ただ、インドの抱えておる差別とは違った種類なんよ
ワシ等は幸いなことに生まれた時から、様々な権利を持っておる
最低限の生活の保障も受けることが出来るだ
それが無いと言うことは、どういう事なのか?てのをインドが教えてくれておる
考えたからって何が出来る訳でもないがの、
知るって事も大事だよってこの映画は言ってるだ

ただ…私は…人は生まれて来た時に既に千差万別である以上「差」ってのはあると思うだ
美人とブスどっちに生まれるかで大きく人生変動を起こすだでの(アハハハハハ)
でも、それらを補うチャンスがあるかないかは大きく国によって違うだ
チャンスがあるなら努力次第で大きく飛躍することも出来るでの
そのチャンスだけはこの地球に生まれた全人類に平等に与えられたらエエな
って思っておるだよ~(笑)
返信する
ご返事どす~② (ちかどんへ)
2010-02-25 11:16:26

>みんなが貧しかった世代を知っているかな?
ん~~。どうじゃろう???
今の若い人は、人伝に聞いておるだけだから
よく解らんのだと思うよん

私も自分が生まれる前の事、特に戦争については話は聞くし映像もあるが
よくは解っておらんと思うもん(笑)

ただ、完璧に理解は出来なくても
あの戦争は二度と起こさないようにしようとか
自分たちがいかに恵まれた状況で生活しているとか
そういうことさえちゃんと解っておれば、それでエエと思うだ
テレビなんぞでは面白がってアホな子ばかりを写しておるがの
そんなに今の若い子とワシ等に違いはないだよ~日本だって捨てたもんじゃないさ~
(んっ?楽観視し過ぎかの?ガハハハハ)

あっ、それと…全然変なコメだと思わんかったぞ~~エエ話が聞けてよかっただよん
ありがとうね~~~
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