満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

竹光侍 作:松本大洋

2011-03-08 | 漫画紹介
前回紹介した竹光侍のお話しはコチラからどうぞ~竹光侍1~4巻

今回はその続きの5巻~8巻。とても残念なことに…なんと8巻で終了してしまった。

 
 

巧いんだか、ヘタなんだか解らないような絵だと感じがちだが…
漫画と認識するより、絵画、またはアートっと認識した方が正解かもしれん。
古い漫画を知っている人には「劇画タッチ」っと言った方が解り易いと思う。

なにせ絵が動くように感じる。
原作者は別な人だが、実に見事なほど松本大洋は自分らしさを出している。

主人公の「瀬能宗一郎」は、浮世離れした侍
同じ長屋に住む大工の息子「勘吉」など、子供等に好かれている。
ってことは、悪い人だとは思えんのだが…
だがフっと見せる一面には、何か人知の及ばざる物にとり憑かれている様も見受けられる
それに彼は滅法剣の腕が立つ、それに伴い心も強い。

人は自分の弱さを知っているだけに、強いエネルギーには惹かれる。
でもあまりにも強いエネルギーに接すると、逆に怖さも感じてしまい腰が引ける。
ただ当の本人がノホホ~ンとしているもんだからつい傍に寄って行ってしまうのだが
時々ミョウ~な緊張感をまとう瀬能にドキっとすることしばし(笑)

だから誰もが彼から目が離せない。
ノホホ~ンとした表情と、時折見せる獣のような表情と、
どちらも人を惹きつけてやまないのだ
そんな漫画だから、読んでいる側もたまらん程、瀬能に惹きつけられるのだ(笑)

今回は最終巻を前にし、読みきってしまうのが勿体ないので、
もう一度、一巻から一気に楽しみながら読んだ。

悪を切り、ついでに自分の悪をも断つ。
な~るほど、そういう風に結論を持っていったか・・・
まったく考えていなかった最終回だったが、一度読み終わると
確かにコレしか無いってな終わり方だった。

なにか偉業を遂げた人物、または波乱万丈な人生を送った人の伝説ってのは
こんな風に始まり、こんな風に終わるのかもしれんな
そうして時代とともに脚色され、語り継がれるのかもしれん。

松本大洋の描く人物は、いつも、とてつもない強さを持って登場する
普通は色々とあって経験を積み、強くなる過程を描く話が多い中
いきなりMAXな強さで登場するもんだから、見ている側には安心感どころか
MAXの次は落ちるだろうってなセオリーに捕らわれ、ドキドキの連続となってしまう

それを毎回「そう来たか」ってな落としどころへ持っていく技には感服する
強い主人公を登場させてた作者は、読者にハラハラ・ドキドキ感を持たせるために
次から次へと強い相手を登場させるか…主人公に怪我を負わせて多少弱らせるか…
体は強いが心が弱い…なんぞと話を持っていきがちだが
彼の描く漫画には、そういったセオリーが当てはまる作品は無い。

今回の竹光侍は先にも述べたが原作は永福一成氏である。
この話に松本大洋の絵が見事にハマっているので、大変満足していたが
どうやら永福一成氏の原作が文庫化されているらしい。

ちょっとソソルのは、漫画にはない場面が載っているそうで…読みたいかもっと思った。

しかし…最近、江戸モノに気持ちが持っていかれるのはどうしてだろう。
色々な本や漫画を読んでも、必ず合間合間に江戸モノを手にしてしまう。

士農工商の完全なる封建制度な時代にも関わらず、気持ちが江戸へと飛んでいく(笑)
さて、民主主義に嫌気でもさしているのだろうか?(ハハハハハ)

なにはともかく、松本大洋ファンも、そうでない人も
漫画好きも、漫画なんぞ見ない人も、機会があれば是非見るべし。
きっと訳の解らない幸福感に戸惑うこと確実である(笑)

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