満天横丁に住まう妖怪のひとり言

満天横丁に住む満天と申します
最近、猫妖怪化してきており更新は不定期ですが…
ひとり言にお付き合い頂ければ幸いです。

山下和美短編集

2008-06-10 | 漫画紹介

講談社 モーニングKCから出版されている山下和美さんの短編集です
発行を見ると2002年4月23日となっています
「ラッキーだ!
こんな面白い漫画が手に入ったなんて~!」

ってな気分で一杯です(笑)
短編の一つ「ROCKS」のみ少年誌で描かれたもので
あとの「ガラクタ星人宙(ソラ)を駆ける」
「ブルー・スパイス」「プライベートガーデン」
「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」は少女誌で発表されたモノらしい

この人ほど少年誌でも少女誌でも
どちらでも同じ様に面白く描ける人は居ないと思う
って言うか…少年誌だからとか、少女誌だからといって
内容をソレ向けにしないので…実に話が面白い(笑)
つまり老若男女、誰が見ても面白く感じる気宇な漫画であると思う

短編の一つ「ROCKS」なんぞは読んでいて胸を打たれた

現在中年と呼ばれる年齢に達した人も過去には若かった
現在青年と呼ばれる年齢である人も将来は老ける

青年諸君は今、心の中で思っていると思う
「ハゲでデブでヤル気のない中年なんかに絶対になりたくない!」っと…
しかし…残念なお知らせだが…絶対になる。
なりたくないっと思っていればいるほど
「絶対になる!」
そりゃ~努力と根性でなるのを遅らせることは出来る
んでも30代や40代で既になっている人も現に居るし
50代・60代っと年齢を重ねると、そのリスクは努力と根性だけでは補えない
その時、その時に襲ってくるあらゆる出来事に君は勝てない(笑)

子供、仕事、人間関係…諸々の出来事に気を取られたら最後…
気が付いたらバーコード頭に腹がデップリと出た中年になっているのだ~

本編出演の垂水部長もそうだ
スダレの頭にタルンだ腹、おまけに会社をリストラまでされた
息子からみたら彼は最低最悪に将来なりたくないNO.1の人物だ
しかもその息子は、最低最悪の人物の遺伝子を確実に引き継いでいる
多分、自分が将来なるであろう人物を毎日目の前に見て
息子は自分の人生にイライラしていた

でも、垂水部長は実は見かけとは違っていた
仕事に気を取られ見かけはユルんだ中年男だが
心の中には以前やっていた「ロック」の魂が眠っていたのだ~(笑)

短編集なのに連載で4話続く「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」の
明子は金持ちの家に生まれた
偏差値の高い大学も行き、将来は親の会社を継ぐ予定だった
その輝かしい未来を蹴って、両親の反対を押し切り
役者くずれの男と結婚し親から勘当されてしまった
現在、4人の子持ちの幸せな主婦である

が、本当にコレが私の人生なのだろうか?
毎日戦争のような子育てに目が回りそうだけど充実しているわ!
でも…もしあの時…
感情に流されずに理論的に行動をしていたら、どんな人生があったのかしら…

ってな状況がパソコンの画面から覗けたらアナタはどうする?

どちらのお話も人生のターニングポイントを捉えている話である
人は人生で何度か必ず分岐点に出会う

バーコード頭の垂水部長はロックを諦めて会社員の道を自分で選らんだ

4人の子持ちの明子も輝かしい会社経営者の道を蹴って男に走った

どちらも自分で決めて自分で歩んだ人生だから
ギリのトコロで自分に負けないし、グチも言わない
だからどんなに子育てに疲れていようと
バーコード頭の中年であろうとも、どちらも輝いている

人の判断に任せて歩いた人生は挫折した時にも人に責任を擦り付ける
グチも多いしウソも多い

そりゃ~時間と金があれば、幾らでも見かけの年なんざぁ~誤魔化せる
ほいでも誤魔化しは何時か化けの皮が剥がれるもんである
整形を繰り返すだけの財力があれば、そんな人生もよかろう
しかし、見かけだけ小綺麗にして中身をちゃんと育てなかった人間は
何時かはバランスが崩れる

あがいたって…明日がくれば年は取る(笑)
最後に笑うのはキチンと自分の人生を生きた人間なんである
ちゃんと生きた人間のシワのなんと美しいことか
バーコード毛髪だって輝いて見える
下腹の揺れ具合だって可愛らしい(ハハハハハハハ)

「そんな輝いた中年なんぞ周りにいね~」っと思った青年諸君
んじゃ~アンタがなればいい
あんな大人になりたくね~って言っているアンタがどれだけ出来るのか
見極めてやろうじゃないか?(笑)

山下和美の描く漫画の登場人物達は皆信念を持っているので
見ていて清々しい

若者達よ、世間にはびこる中年男女を見かけで判断してはいけない
君たちが思っている以上に中年男女の心は熱い(笑)
だいたい心の奥を分ち合うほど話てないじゃろう(ハハハハハハ)

君たちが我らと同じ年齢になった時に必ず思うだろう
「あれ?思ったほど…」って
何があれ?なのかは、中年になった時のお楽しみである(笑)

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