バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

ポワント・レッスン オン・ポワントで歩く

2012-05-28 11:23:29 | 日記
前回練習したエシャッペ、しっかり床をおして2番ポジシオン・ポワントに立ち上がり、膝を緩めたりしないで5番ポジシオン・ドゥミ・プリエに下りることが出来るようになりましたか?
テンポは少しゆっくりでも構わないのですから、一つ一つのポジシオンを確認しながら丁寧に練習して下さいね。
今回はオン・ポワントで歩く練習をしましょう。とてもシンプルな動きですが、大切なポイントがありますよ。
でははじめましょう。
両手バーで右脚前5番ポジシオン。
ドゥミ・プリエ→8 5番ポジシオン・ルルヴェ→1 右脚1歩右に→2 左後ろ5番ポジシオン・オン・ポワント→3 右脚1歩右に→4 左後ろ5番ポジシオン・オン・ポワント→5 右脚1歩右に→6 左後ろ5番ポジシオン・オン・ポワント→7 右脚1歩右に→8 左後ろ5番ポジシオン・オン・ポワント→…
いかがですか?とてもシンプルでしょう?
パ・ドゥ・ブーレ・スゥィヴィをゆっくりゆっくり進めているようなものです。
さぁ、大事なポイントを確認していきましょう。
プレパラシオンの5番ポジシオン・ルルヴェをしたとき、右脚の膝は右方向を、左脚の膝は左方向を向いていますね。その両脚それぞれの向きを変えることなく横に移動していきます。あとから5番ポジシオンの後ろ側に引きつける脚の膝が、先行する脚と同じ方を向いてはいけませんね。
右に左にと腰が回るように動かないように注意して下さいね。
前側の脚の爪先よりも少しだけ前にアンダー・バストがあるように重心を引き上げましょう。
先行する脚の爪先を押し潰すような立ち方をしてはいけませんね。
はじめはゆっくりのテンポで1歩ずつ確認しながら、そして少しずつテンポを速くして練習しましょう。
こんどは、正面に向かって歩く練習です。
左手バーで5番ポジシオン。
ドゥミ・プリエ→8 5番ポジシオン・ルルヴェ→1 右脚1歩前に→2 左脚1歩前に→3 右脚1歩前に→4 左脚1歩前に→5 右脚1歩前に→6 左脚1歩前に→7 右脚1歩前に→8 左脚1歩前に→… いかがですか?ただ普通に前に向かって歩くだけです。
大事なポイントを確認してみましょうね。
両脚の膝は左右それぞれの方向を向いていますね。歩を進めるうちに股関節のターン・アウトが失われないように気を付けましょう。
1歩前に踏み出したらその脚の爪先の上に重心を引き上げます。後ろ側の脚の上に重心をのこしたままでは膝が緩んでしまったり、カカトが床に落ちたりすることもありますから気を付けましょう。
1歩前に踏み出した脚の爪先よりも少し前にアンダー・バストがあるように、ここでも気を付けて下さいね。

これまでポワント・ワークの基本の“基”ともいうべきレッスンをしてきました。まず真っ直ぐに立つこと、きちんと重心を引き上げること、ドゥミ・ポワントを疎かにしないことなど、どれも今後さまざまなパをポワントで行うときに不可欠な要素です。
ところで、フル・ポワントに立ち上がったとき、足の両くるぶしの間から中足骨にかけての部分、俗に“甲”と呼んでいる部分はどうなっていますか?真っ直ぐですか?それとも緩いアーチ状にカーブしていますか?どちらも間違いではありません。
トウの先端部分をぴったり床につけて立っているのであれば、甲が真っ直ぐでも構わないのです。ポワントのレッスンを始めたばかりの頃は、足のその部分の筋肉がまだ十分に発達していなかったり、小学校高学年くらいであれば体重が軽いのですから足首にかかる負担もそれほど大きくはありません。きちんと正しいレッスンを続けるうちに甲の部分の筋肉が発達し、自然にキレイなカーブを描く甲が育ってきます。また生まれつき肉厚で甲高な足を持っている場合は、はじめからある程度カーブした甲のラインが出るでしょう。
問題なのは、“ポワントで立ったら甲を出さなくては”という見かけに拘りすぎて、無意味な小細工をすることです。
たとえば、一番初めに練習した≪ドゥミ・ポワント→フル・ポワント→ドゥミ・ポワント→ア・テール≫のフル・ポワントのときに、爪先を押し潰すように体重をかけてグイグイ甲を押し出そうとしたり、トゥ・シューズを履く前にソールを折るように必要以上に曲げてしまったり…。このようなことは決して正しいことではありません。
オン・ポワント=ポワントで立つことを“ポワントに乗る”ということがありますが、それはトゥ・シューズの上に乗っかって爪先を押し潰すことではありません。
“甲出し”などといってグイグイ足首を押し出すような無意味なストレッチは避ける方が賢明ですよ。適切なストレッチときちんとしたレッスンを続けていれば、足が強くなってキレイなカーブを描く甲に変わっていきますよ。
ピケ・アラベスクで立った瞬間にその爪先には体重の3倍の圧力がかかる、ともいわれています。それだけの圧力を常に支え続けるために、必然的に足首は強くなり甲も発達するのです。“見せ掛けの甲”に拘って間違った小細工をしてはいけません。

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