バレエ・メソッド アンサンブル・ド・ミューズ スタイル

クラシック・バレエの実際のレッスンをモデルとして、正確に無理なく美しく動き踊るためのヒントやアドバイスをお伝えします。

バー・レッスン vol.8 リンバリング

2011-09-01 09:56:03 | 日記
前回練習したカンブレとパンシェ、安定した動きでトルソーと上げた脚とを支えることが出来るようになりましたか?
綺麗なパンシェやカンブレをするためには、腹筋や背筋の力やしっかりと股関節をターン・アウトすること、そして柔軟性も必要です。
今回はリンバリングの練習をしてみましょう。
リンバリングのLimberには、
①筋肉をしなやかにする
②柔軟体操をする

という意味があります。
以前、バーに脚を載せておこなうストレッチをしましたが、今回は手で脚をもって引き上げるストレッチ=リンバリングをしましょう。
でははじめましょう。
左手バーで右脚前5番ポジシオン、アームスはアン・バからプレパラシオンでアン・ナヴァンを通ってア・ラ・スゴンドへ。
→8 プレパラシオン⇒1 右脚を引き上げて→2 ルティレに→3 アティチュード・ドゥヴァンをしながら→4 左脚ドゥミ・プリエ→5 右足の土踏まずを→6 持って→7 アン・ナヴァンに→8 脚を伸ばす→1 左脚ドゥミ・プリエのまま→2 右脚をトルソーの方に引き寄せる→3 右足の土踏まずをもったまま→4 ア・ラ・スゴンドにドゥミ・ロン・ドゥ→5 脚をトルソーに引き寄せながら→6 ストレッチをすすめ→7 軸脚の膝をの伸ばす→8 ポゼ⇒1 右膝を曲げ→2 その膝を持ってトルソーに引き寄せながら→3 デリエールに→4 ドゥミ・ロン・ドゥ→5 膝を引き上げながら→6 トルソーはパンシェ→7 上げた脚の膝を伸ばして→8 ポゼ⇒1 トルソーを起こしながら→2 脚を下ろして→3 ロン・ドゥ・ジャンブ・パール・テール・アン・ドゥダーン→4 右脚前5番ポジシオン→5 右脚を前に滑らせながら→6 スプリッツ→7 →8 ポゼ→1 トルソーを→2 カンブレ・アン・ナヴァン→3 ポゼ→4 起こす→5 デリエールに→6 カンブレ→7 ポゼ→8 トルソーを起こして両手アン・オーでポゼ→…
いかがですが?これがもっとも一般的なリンバリングの一つです。
では大切なポイントを確認していきましょう。
アティチュード・ドゥヴァンでドゥミ・プリエをしたとき腰が丸くならないように気を付けて、骨盤をまっすぐに支えましょう。
足の土踏まずに手をかけて脚を伸ばしていくとき、股関節のターン・アウトが失われないように気を付けて下さいね。そして脚を伸ばしたときお尻が後ろに出っ張って“お辞儀”のような姿勢にならないよう注意しましょう。
足をもったままア・ラ・スゴンドにドゥミ・ロン・ドゥしていきますが、骨盤が前傾しないように気を付けましょう。骨盤をまっすぐに支えながら、ゆっくり軸脚の膝を伸ばしていきます。
股関節の構造から見ると、一般的には130度前後、およそ肩の高さくらいまでは脚をもってア・ラ・スゴンドに上げることが出来ます。それ以上は生まれながらの股関節の形状や靭帯の柔軟性、脚腰の筋肉の柔軟性といった条件に左右されます。そのような条件に加えて正確なトレーニングの積み重ねによって180度前後まで脚を上げることが出来るようになるのです。でもそれは“誰にでも出来るということではありません”
膝をもってトルソーのほうに引き上げてからデリエールにドゥミ・ロン・ドゥしますが、このときにウエストの後ろを縮めたりお尻を突き出すような姿勢になったりしないように気を付けて下さいね。脚の移動に伴ってトルソーも少しずつ前に移動します。
少しずつ膝を引き上げながらアティチュード・デリエールを高くしていきましょう。このとき腰を痛めないようにトルソーは少しずつパンシェ・アン・ナヴァンをして、最後にしっかり膝を伸ばします。
スプリッツは骨盤の幅よりも外に両脚がはみ出さないように、そして後ろの脚の方に骨盤全体が傾かないように気を付けましょう。また前の脚のほうのお尻の上にトルソーが落っこちて傾かないように気を付けて下さいね。重心はあくまでも両方の脚の真ん中にありますよ。
スプリッツが完成したら、両方の肩の高さが揃っているか、両肩がきちんと正面を向いているか、後ろの脚側のウエストが縮んでいないか、そして後ろ側の脚のターン・アウトが失われていないかなどをチェックするようにしましょう。
スプリッツだけでなくストレッチ(=リンバリング)全般にいえることですが、決して無理に力任せにストレッチをしてはいけません。関節や靭帯、筋肉を傷める原因になってしまいますからね。

ストレッチは関節や靭帯、筋肉の柔軟性を高めるために大切なエクササイズですが、丁寧にストレッチをすることで事故や故障を未然に防ぐことにも繋がり、疲労を溜めないためにも役立ちます。バー・レッスンから始まってセンター・レッスンまですべてのレッスンが終わったあとに、クール・ダウンのためのストレッチをすることも大切ですよ。