あたりが騒々しくなった。誰かが、水の出るところを見つけてきたというのだ。歩ける者たちはうろうろと立ち上がる。身動きのつかぬ亡者たちも、それぞれに反応を示す。
私は幼い子のために、水を飲ませてやりたいと思ったが、私は立つことができなかった。太股までは自分のものであったが、それから下が、太股の太さと変わらぬほどに腫れて、足首がどこやら、ちょうど、黍幹(きびがら)細工でもしたように、丸太棒が不恰好につなぎあわされていた。
「××ちゃん、お昼すぎになったら、××ちゃんの目は薄目が開くだろう。そしたら、このお兄ちゃんの手拭いを持っていって、水に浸しておいで。」苦しい時の人間の知恵は、凄まじいほどに、よく働くのであろうか。この幼い子の了解のよかったことを私は忘れない。
私たちは薄汚れたというより、血痕と膿汁の染みだらけの日本手拭の水分を、端々から互いに吸って、渇を癒した。
手拭いは、すぐからからになった。
私は幼い子のために、水を飲ませてやりたいと思ったが、私は立つことができなかった。太股までは自分のものであったが、それから下が、太股の太さと変わらぬほどに腫れて、足首がどこやら、ちょうど、黍幹(きびがら)細工でもしたように、丸太棒が不恰好につなぎあわされていた。
「××ちゃん、お昼すぎになったら、××ちゃんの目は薄目が開くだろう。そしたら、このお兄ちゃんの手拭いを持っていって、水に浸しておいで。」苦しい時の人間の知恵は、凄まじいほどに、よく働くのであろうか。この幼い子の了解のよかったことを私は忘れない。
私たちは薄汚れたというより、血痕と膿汁の染みだらけの日本手拭の水分を、端々から互いに吸って、渇を癒した。
手拭いは、すぐからからになった。