ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

“X-MEN DAYS OF FUTURE PAST”

2014-06-25 20:56:59 | 映画

“X-MEN DAYS OF FUTURE PAST”(邦題『X-MEN フューチャー&パスト』)を観に行った。
実は、これが2度め。
本当はもう何度か見たいと思っていたのだが、なかなか時間が取れずに、やっと2度めの鑑賞。 
あらすじを簡単に説明すると…

突然変異によって超人的能力を持って生まれたミュータントを抹殺するために開発された
バイオメカニカル・ロボットの「センチネル」によって、2023年の地球は滅亡へと向かっていた。
センチネルは、ミュータントのみならず人類までも攻撃の対象としていたのである。
プロフェッサーXは、宿敵のマグニートーと手を結び、センチネルの開発が始まった1973年で
その根源を断とうと考え、ウルヴァリンの魂を過去に送り込む。
『X-MEN ファースト・ジェネレーション』で描かれたキューバ危機後のミュータントは
センチネル開発者のトラスクによる人体実験の犠牲となったり
友人・エリック(若かりしマグニートー)や妹として共に育ったレイブン(ミスティーク)が
考え方の違いから、チャールズ=エグゼビア(若かりしプロフェッサーX)のもとから去って行った。
チャールズがミュータントの子供達ために開校した学園も
生徒がベトナム戦争に徴兵されたりしたことで閉鎖に追い込まれ
深く傷ついたチャールズは酒と薬に依存した、世捨て人さながらの生活を送っていた。
2023年から送り込まれたウルヴァリンの魂は1973年の肉体に宿り
未来の地球を救うために、任務を遂行することになったが…

という内容である。
この映画を観るのなら、まず『X-MEN ファースト・ジェネレーション』の予習は必須だ。
そうしないと、少々わかりづらい部分もあるかもしれない。
好みもあるかと思うが、私は本作より前作の方が好みだし、楽しめた。
本作も、JFK暗殺からベトナム戦争という史実をからめてはいるが
前作のキューバ危機の方がスケールの大きさを感じられた。
キューバ危機を起こそうとしているのが、人間を操るミュータントで、対立軸が
ミュータント(ヘルファイアークラブ)対人間対ミュータント・人間(X-MENチーム)という三つ巴であったこと
また、異端者であることに苦悩する若きX-MENの姿に大いに共感が持てたことなど
私が面白いと感じる要素が詰まっていたのだろう。
本作は、前作と比べて、異端者としてのミュータント自身の葛藤はあまり描かれず
異端者・ミュータント対人間(異端者を弾圧する者)という構図になってしまったこと
共感できる登場人物を見つけることができなかったことも
私としてはちょっと冷めた感じになってしまったのかもしれない。
音楽も、2回めで「ああ、そういえばこんな曲があったな」とは思ったものの
既に思い出せなくなっている。
前作の音楽は、場面場面を引き立たせ、記憶にも鮮明に残る秀作だった。


X-MENの原作は、人種差別問題や公民権運動、LGBT問題などに立脚していると言われている。
この映画を観て、私は、なぜか以下の2冊の本を思い浮かべずにはいられなかった。

なだいなだ著『民族という名の宗教 ―人をまとめる原理・排除する原理―』
この本のなかで、なだいなだはこう書いている。
(引用開始)
「じゃあ、「同じ…」意識を持った人間は、外国人のように違った文化をもつ人間に対してどうしても差別的になるんじゃないですか」
「論理的にはそうなるね。そして現実は?」
「やはり、差別的です。」

「民俗は現実だけど、民族はフィクションだ。日本国民は現実だけど日本民族はフィクションなんだ。国民性論議なんてそのフィクションの上に載った論議なのだ。言葉を気をつけて使おう。」
(引用終了)



山井教雄著『まんが パレスチナ問題』
この本のなかでも、差異=民族として、以下のように書かれている。
(引用開始)
それ(民族:筆者注)がまるで歴史的事実で、人の力ではどうにもならないもののように思われてる。だから、世界のどこかで民族紛争が起きると、「つまらない民族意識なんか捨てて共存しよう」っていう解決法には向かわないで、壁を作るとか、国をふたつに分けるとか、ふたつの民族を引き離すことしか考えない。

民族を意識しなかったときは、友人や夫婦でいられた人たちが、民族意識が高まるにつれ、憎しみ合い、果ては殺し合いました。
(引用終了)

この映画を観た人は、ミュータントを弾圧する人類の目で観ているのだろうか。
それとも、弾圧されるミュータントの目で観ているのだろうか。
はたまた、人類と共存しようとするX-MENに共感するのだろうか。
弾圧する人類に憎しみの炎を燃やすマグニートー率いるブラザーフッドに共感するのだろうか。



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2 コメント

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Unknown (にこにゃん)
2014-06-27 09:50:49
もし私に能力がなかったら、X-MENを守るために人間として戦うでしょう。
もし私に能力があったら、きっとチャールズにいろんなことを教わらないと、
自分を受け入れきれずに戦えないでしょう。

現代では能力者はいません。
でも、異端者と呼ばれる人たちはいるでしょう。
そうなると私は人間に備わった最大の能力を信じて生きていく側です。
そして強くなって自分と同じかそれ以上の苦しみを味わった人たちを救える力になれば。
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いつか救う側として (ぴすけ)
2014-06-27 18:41:48
にこにゃんさん、海底温泉で傷をいやすガメラのように、今は療養の時かもしれません。
あせらず、療養してください。
いつの日か、きっと救う側に、あなたがいることでしょう。
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