ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

飲み食いカルテット安達太良山麓を歩く

2012-11-01 19:58:02 | 登山(東北南部)

10月27日(土)

昨夜の冷え込みがなかったことと、夜に星が見えなかったことから
すっきりした晴れにはならないだろうと予想していたものの
寝床で聞いた雨音が樹雨によるものだとは想像していなかった。
ぴすけは5時に目が覚め、飲み食いカルテットのメンバーを見ると、皆まだ熟睡中で
なんとなく布団から出でみたものの、その場でボケーっとしていた。
ボケーっとしていたところに、5時20分、くいしんぼう!万才のぽぴさんの持ち物から
「ピピピピッ、ピピピピッ」と、アラームが鳴り始めた
慌てたぽぴさんはアラームを消しに起き上がったが、再び布団にもぐりこんでいる。
7時に朝食と言われていたため、6時30分ごろから皆もぞもぞと動き始めた。

消灯後に灯されるランプが、まだ柔らかい光を放っている。
吾妻小舎の電力はソーラー発電と発電機で賄われているが、消灯後にはランプが灯される。

窓の外を見やると、真っ白。
雨は降っていなかったが、樹雨がまるで雨降りのように屋根を叩いている。
7時に朝御飯をいただき、この日の行動を思案していると
熊爺もカメラマンのKさんも、下りた方が紅葉も綺麗だし晴れているかもしれない
土湯辺りの散策をした方が楽しめるのではないか、との見解だった。
小舎の前で、雅子さんやKさんも交えて写真撮影をし
小屋仕舞いの手伝いをしにみえた吾妻山の会の皆さんにも別れを告げて
万年バロック青年の自動車に乗り込む。
食後にコーヒーや紅茶を飲んだり、のんびりしてしまったこともあって、既に9時
念のため、浄土平まで行ってみるが、思ったより風があったことと
すっぽりと霧に覆われた一切経山から東吾妻山にかけての空を見て
一切経山登山は断念し、ブナの原生林を歩くことに決定。
野地温泉に向かう。

9時30分、野地温泉前の駐車スペースに自動車を停める。
野地温泉前のカエデは、見事な色づきだ。

野地温泉から来た道を少々戻り、新野地温泉の西側の安達太良山登山口を入る。
ここから、万年バロック青年の解説付き野外授業がスタート。
この道は、旧土湯峠を経由して、鬼面山・箕輪山・鉄山を経由し
安達太良山(乳首)へと至る道で、その一部は野地温泉と新野地温泉を結び
「ブナッ子路」と名付けられたブナの原生林を歩くハイキングコースになっている。
万年バロック青年によれば、土湯付近の仁田沼辺りは自然林ではないようで
この「ブナッ子路」の方が、原生林とあって趣があるようだ。

霧によって幽玄な雰囲気が醸し出され、木々の色づきも深まってみえる。
ぴすけは、この季節にここを訪れるのは初めて。
霧という天候もあったが、むしろ落ち着いた散策を楽しめて、言うことなし。

ブナの原生林を進むと、独特の芳香が漂ってくる。
針葉樹の爽やかな香りとは違う、紅茶のような香り。
まさに発酵している腐葉土本来の香りだ。
昨夜も、ワイン同様、発酵食品の奥深さを語り合ったが
ここでも発酵の話をしつつ、万年バロック青年の野外授業は盛り上がる。
くいしんぼう!万才のぽぴさんは
「ワインの表現に『腐葉土のような香り』というのがあるけれど
  こうした天然の腐葉土の香りを嗅いだことがないと、そういう表現は遣えないよね~。
  園芸で使う、市販の腐葉土の香りとは、全然違うよね~。
  あれが腐葉土の香りだと思ったら大間違い。」
と、感激ひとしおだ
「そうだよね。ワインを表現するのには、ワインだけ飲んでいてはだめだってことだよね。
   ワインに限らず、いろいろな経験や体験をしていればこそ、何かの時に生きるんだよね。」
「そう。なにをするにも、それだけやっていればいいってわけではないんだよね~。」

足元は、さまざまな色の落ち葉で敷き詰められ、モザイク画のようだ。

下草の中で目立った真っ赤な葉は、キンポウゲ科の植物のものだろうか。

旧土湯峠は、晴れていれば開けた広場のようになっており
鬼面山から連なる安達太良連峰が見渡せるが、この日は視界不良で何も見えず
安達太良方面から吹いてくる風が、そこそこの強さで吹いていた。
鬼面山に登るのだろうか。
何人かの登山者とすれ違ったが、これでは上でも展望は望めないばかりか
かなりの風で相当寒く感じられるだろう。
野地温泉に向かって緩やかな下りの道に入ると、娘はへっぴり腰に。
下りは、慣れていないと怖いよね。
ぴすけも下りが苦手なので、その気持ちはよくわかるよ

静かで、美しいブナッ子路は、野地温泉から新野地温泉へと歩く人の方が多いようだが
万年バロック青年によると、今回歩いた新野地温泉から野地温泉に向かった方が
下りの際の俯瞰の景色が綺麗だということだった。

11時、野地温泉に下りた我々は、昼食を食べに岳へと向かったのだった。

                                                 (つづく)



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