ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

『舟越桂 私の中のスフィンクス』展

2015-11-26 17:02:05 | 旅・おでかけ

近年、彫刻を見ることに安らぎを覚えるようになったぴすけ。
2013年10月に群馬県内で2館めの美術館として開館した群馬県立館林美術館
『舟越桂 私の中のスフィンクス』展が開催されていることを知り、出掛けてみた。

館林美術館に行くには、交通の便があまり良くない。
東武伊勢崎線館林駅からは、美術館前に停車するバス・多々良巡回線が運行されているが
1日4本(実際に利用できる時間帯では3本)しかなく
東武伊勢崎線多々良駅から1.2kmの道のりを歩くことにした。

多々良駅から歩くこと20分弱で、館林美術館に到着。
入口を入ると、広いエントランスホールには、係が一人のみの簡素な受付がある。
入場者の多い時は増員されるのだろうかなどと思いながら、チケットを購入する。
入場料は、展示内容によって異なるようだ。
エントランスホール正面に張り出した半円形の展示室1では
『近現代の彫刻Ⅲ』と題して、フランソワ=ポンポンの作品などが展示されている。


『舟越桂 私の中のスフィンクス』展は、展示室2~4で開催されている。
展示は、舟越桂(以下、敬称略)の作品を3期に分け
1章を1980年~1990年代初めの、着衣の人物半身像
2章を1990年代初め~2000年代初めの、胴体が異形の半身像
3章を2000年代初め~現在の、スフィンクスをはじめとする裸体像で構成されている。
そのほかにも、素描や版画も展示されており、展示総数は70点余りに及ぶ。
舟越桂の作品は、木彫・彩色で大理石の瞳を嵌め込んだもので
この日展示されていた木彫作品のうち
1980年作の「『会議」のための習作』のみは、瞳が大理石ではない。
舟越桂は、瞳を嵌め込むとき、視線が鑑賞者と合わないように
瞳の位置を左右に少しずつ開き気味にするそうだ。
たしかに、その結果、どの位置から見ても視線は合わず
作品の人物はどこか遠いところを見ているか、心ここにあらずといった風情である。
作品自体の雰囲気と入館者数がそれほど多くなかったこととも相まって
館内は大変静かで、ゆったりとした時間が流れているようであった。
作品の好みは人それぞれだが、ぴすけは第1章の作品を大いに堪能した。

企画展を鑑賞後は別館へ。
こちらには、「彫刻家のアトリエ」と題して、フランソワ=ポンポンのアトリエを
当時の記録写真を基に雰囲気を再現した展示室がある。
ここには、ポンポンが実際に使っていた家具や道具とともに
写真を基にしたアンティーク品や、ポンポンの作品のレプリカも展示されている。

外壁が茶色の半円形の建物が、展示室1。


今回、舟越桂の作品を調べていて、収穫が2つあった。
一つは、舟越桂の父・舟越保武のことである。
最近彫刻に興味を持ち始めたぴすけは、舟越保武の作品を見たことはあったのだが
それが舟越保武という人の作品だと思って観たことはなかった。
ところが、調べれば調べるほど、舟越桂の作品ではなく
舟越保武の作品に惹かれていくことを自覚したのだ。
ぴすけの場合、音楽にしろ美術にしろ
安らぎの中に光明を見いだせる作品に惹かれるようである。
その光明は、希望の光であり、英知の光であり、慈愛の光であり、活力の光でもある
それを舟越保武の作品に、見いだしたのである。
残念なことに、9月6日まで練馬区立美術館の開館30周年記念展として
『舟越保武彫刻展 まなざしの向こうに』が開催されていたようだが、不明にして知らなかった。
舟越保武の作品は、その故郷・岩手県盛岡市に多くあるようだ。
いずれは盛岡に、その作品の数々を観に行きたいものだと思う。
二つめは、木彫・彩色の彫刻作家といえば、平櫛田中である。
平櫛田中の作品にも、ぴすけは光明を見いだすのである 
そういえばこの時期、東京芸術大学大学美術館
櫛田中の所縁の作品を展示する催しがあったことをすっかり失念していた。
調べてみると、29日(日)までではないか。
28日(土)に飯田橋に所用があるので、ついでに上野に寄って行こう。

 



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