道草あつめ

日常思いついた由無し事を、気ままに拾い集めています。

躑躅

2007-04-27 22:24:51 | 街中
日本人は桜が好きである。
およそ人の住むところ、日本中至る所に桜が植えられて、
春の訪れとともに鮮やかに花開く。
しかし、私の見たところ、桜と同じくらい或いはそれ以上に多く植えられて、
桜が散り終わるのを待っていたかのように鮮やかに咲き誇る花がある。
――つつじである。

つつじは細い枝が密生しており、手入れすれば形がきれいに整うので、
背の低い壁を作るのに適している。
歩道と車道を分かつのに、
鉄のガードレールを用いれば簡単に乗り越えられてしまうが、
つつじを植えて壁にすればなかなか乗り越え難く、
そして無機質な鉄よりも、温かみがある。

都会ではこのように実用的な用途でつつじがよく用いられている。
桜と異なり、花を咲かせることが第一の目的ではない。
しかし、この時期、つつじはなかなか美しく咲いてくれる。
明るい朱色、艶やかな紫、透き通るような白、
色とりどりの数多の花が、垣根で、街路樹の根元で、
所狭しと鮮やかに咲き乱れている。
桜と違って見上げる必要はない、名所に行く必要もない、
ただ道を歩きさえすれば、美しい花々を見ることができるのである。

桜ほど注目されず、バラのように貴重に扱われもしないが、
すねることもなく、こびることもなく、
春が来ればマイペースで咲き誇る、
そんな鮮やかさがつつじにはある。