ちょっとピンぼけ/倉敷界隈

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おチビの大冒険(警察出動大騒動編)

2012年03月10日 10時46分06秒 | 日記

写真は関係ありません 

これは実話である。 

 子どもが気づいた。チビ用のミルクが切れている。近所に買いに行こうと思ったが、チビは「一緒に行かない」とダダをこねる。まぁ近所だしすぐ帰るからと玄関やあちこちに施錠して出かけた。 

 帰宅すると玄関の鍵が開いている。中にはいるとクローゼットは開きっぱなし、庭に面したガラス戸は全開、タンスには物色したあとがある。チビの姿はどこにもない。靴もそのまま置いてある。まさか素足で外に出ることはないだろう。子どもはパニクった。 

 最近チビは自分でドアの鍵を開け外に出ることがあった。出て二階のお友だちの家で遊んだり団地内の公園に行ったりしていた。またそこかと二階に上がると、アパートの住人は外出中らしい。車がないから間違いない。公園にもいない。近所を探し回っても見つからない。考えたくないが、連れ去られたと子どもは判断した。110番すると、警察は「すぐ出動します」。不安な子どもは実家に電話しようとした。 

 その頃、実家にピンポンの音がした。家人が出ると、『ばぁーばぁー!!』明るい声が聞こえる。チビはピンポンに届かないから自分では押せない。あぁ娘がチビを連れてきたのだなと思って玄関に出ていくと、チビは『ここからは入っちゃダメ。ここはばぁーばぁーのおうちだから』なんて言っている。いつも散歩しているお年寄りが傍らにいて、まぁしっかりしたお孫さんですねぇなんて言いながら通り過ぎていった。家人が周りを見回しても子どもはいない。あれ、何でチビだけがいるの?? それに夏のような薄いトレーナー(寝間着用)一枚で、同じく夏の帽子とサンダルばき。足も手も凍えるように冷たい。チビはそんなことに頓着せず楽しく笑っている。子どもに電話すると、驚いたようなホッとしたような声が帰ってくる。すぐ警察に電話して「実家に一人で行ってました。大丈夫です・・。」と平謝り。 

 子どもの住まいから我が家までは、自転車で10分ほど。大人が歩けば20分から30分弱だろうか。歩くにはちょっと遠いかなぐらいの距離だ。そこを一人で歩いてきたらしい。 

 ママが出かけてしばらくはいい子していたようだが、庭で砂堀しているうちに実家に来たくなったのだろう。クローゼットを開け、踏み台を持ってきて帽子を探し、夏のを発見してそれをかぶると、庭にあったサンダルを履いて家を出たらしい。今まで歩いてきたことはなかった。いつも自転車に乗せられていた道だ。それをたぶん数十分かけて歩いたのではないか。子どもは案外速く歩くから、大人と同じぐらいの時間だったかもしれない。それでも30分ぐらいはかかるだろう。裏道を通れば信号はないが、間違いなく踏切は通らないといけない。最近信号を見て『赤だ。渡っちゃダメ。青になった。渡りましょ!』なんて言っていたから、信号は守れたのかもしれない。しかしいったいどこを通ってどうやって一人できたのか、未だに不明である。 

 後で「信号は渡ったの?」と訊くと、『信号無いから』と言う。と言うことは裏道を通り、踏切を渡ってきたのだろう。『ケーキ屋さんの前も通らなかった』と言うから、広い道に面した道も通ってないのだろう(チビの言葉を信じればだが)。ホント、よく事故にも遭わず、悪い人に連れ去られずに終わったものだと胸をなで下ろしている。 

 子どもの話によると、後で警察から電話があり、「(誘拐されて)身代金を請求されたから「大丈夫」と連絡したんじゃないの」と何度も訊かれたそうだ。子どもが本当に違うんですと平謝りして、出動が取り消されたらしい。警察の対応には感謝している。ありがたいことだし、そのような心配り、チェックをしてくれるのは、さすが専門家と言うことか。

 しかし子どもの能力というのはすさまじいものだ。誕生日が近いとは言え、まだ二歳だ。自転車に乗せられて上から見た風景と自分の目線の風景は随分違うだろうに、そこを迷いもせず一人でやってきて、知らないおばあさんに頼んで呼び鈴を押してもらって入ろうとするなど、いったい誰が想像できるだろうか。この歳だからこんなことは出来ないはずってのは絶対にないことだと改めてわかった。

 しかし本当に無事でよかったと神様に感謝している。ものすごい事件だった。

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