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2月18日大阪市会「教育子ども常任委員会」<陳情書採択の報告>

2019年02月21日 | こども危機
 2月18日、大阪市議会教育子ども委員会で「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」が自民・公明・共産・いくのの賛成(反対は維新だけ)で採択されました。子どもをテストで追いつめる新制度を断念させるための大きな一歩になりました。
 以下、教育子ども委員会を傍聴された方の報告です。

 ◆ 大阪市議会で「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる
   吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」を採択!


 「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」の陳情書の採択に反対したのは維新、賛成したのは自民、公明、共産、いくのの4会派で、議長の「賛成の方はご起立願います」の声に、維新以外のすべての議員がすっくと立ったのには感動しました。
 市民の会の陳情書については、まず山本教育長が答弁しました。

 山本教育長は、「校長には経年テスト、チャレンジテストの結果を人事評価に反映させるが、教員にはそうではなく、授業力アップに活用する」と、特に下線部に力を込め、当初の市長案よりはましであるかのように強調しました。
 これを受けて維新の杉村議員は「維新が指摘した当初の危惧が解決された」ので「試行案は妥当だ」と、試行案を支持しました。
 自民党の西川議員は主に大森特別顧問について追及しました。
 「大森特別顧問は教育委員長時代に学力偏重主義が目に余り、現場に混乱を招いた」「総合教育会議で大森特別顧問には提案権がないのに提案している」ことを批判しました。
 これに対して教育委員会事務局は「大森特別顧問は市長の指示に従ってやっている」ので問題はないと答弁し、山本教育長も「大森特別顧問は教育委員長在任中から精力的にやってくれた」「総合教育会議は市長権限でやっている」ので問題はないと大森特別顧問を擁護しました。
 また西川議員は福井県議会の意見書を引用して「意見書は良いことを言っている」「試行案は数値目標のみを追うことになっていないか」と試行案を批判しました。
 自民党の前田議員は「家庭や経済力が学力に及ぼす面を排除できず、教員には適用できなかった」が、「校長にも同じことが言える」と校長の人事評価に適用することも批判しました。
 また前田議員は「特色ある学校づくりのための校長経営支援戦略予算を6年間やったが、これへのPDCAをやっていない。総括もしていないのになぜ現行をやめるのか」「6年間申請し続けても1回も取れなかった学校もある。インセンティブがかえってモチベーションを下げることもあるのではないか」と、厳しく批判しました。
 これに対して山本教育長は「振り返りをちゃんとやってこなかった」と認め、「今後は議会の指摘に応えていく」と表明しました。
 公明党の佐々木議員は「教員には参考にするだけのように言われているが、教員にも大きな影響を及ぼすのではないか」と懸念を表明しました。また「傾向と対策を徹底し、点数の出ない生徒を受けさせなければ見せかけの点数は上がる」「禁断の果実をぶら下げることにしかならないのではないか」と批判したのに対して、事務局は「委員の指摘のようなことが起こらないようにする」としか答弁できませんでした。
 山本教育長も「大阪市の子どもは学校の授業以外での学習時間が少ないという調査結果が出ているが、家庭状況の詳細な分析はできていない」と認め、「大阪市は全国平均に遠いので、今やれることをやる。一人一人を去年よりどう伸ばすか、明確な目標を決める」としか言えませんでした。
 試行案が学力向上とは程遠い、全国学力テスト対策でしかないことが透けて見えるような答弁でした。
 共産党の井上議員は「学校現場は講師が足りないとか多忙化で、教員が子どもに寄り添えなくなっている。優先すべきはこっちで、少人数学級などをやるべきだ。学力の高いところはすでにやっているのではないか」と指摘しました。また「チームには教育委員会も入る。評価するなら教育長は学校に責任を押しつけるのではなく、教育委員会がまず責任を取るべきではないか」「試行案は実害しかない。撤回すべきだ」と厳しく批判しました。
 これらの議論の末に陳情書は採択されました
 議会が試行案を徹底的に批判し、明確にノーを突きつけたのは大きな力です。
 今の大阪市教育委員会には吉村市長の強引な教育への介入に抵抗する気概も力もありません。考えているのは「公務員人事の公平性」の原則に抵触しないか、裁判に訴えられないようにどうするかという保身だけです。
 したがって今後とも私たちは議会と連携して、この施策を徹底批判して世論を作り、阻止するしかありません。頑張りましょう。
◎ 学力テストの結果を教員給与などへ反映させる
吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書

 大阪市会議長 角谷 庄一 様
子どもをテストで追いつめるな!市民の会

 [陳情趣旨]
 昨年8月2日、吉村大阪市長は、昨年4月に行われた「全国学力テスト」の大阪市の結果が政令指定都市で最下位になったことを問題視し、「全国学力テスト」の数値目標を決め、結果を教員・校長の人事評価、勤勉手当、さらには学校予算にまで反映させることを表明しました。
 これを受けて9月14日、大阪市総合教育会議で大森不二雄特別顧問が新提案をおこない、それを基にして大阪市教育委員会が制度設計を進め、来年度から試行しようとしています。
 これまでも大阪市では、小3~小6に大阪市経年テスト、中1~中3に大阪府チャレンジテスト、中3は大阪市中学校統一テストを実施してきました。
 今後はそれらのテスト結果を大阪市教委にビッグデータとして集積し、「前年度の同じ児童生徒たちの学力と比べてどれだけ向上させたかを測定する」「教員別学力向上指標」の開発をするというのが大森特別顧問の提案です。
 これは、吉村市長が「全国学力テスト結果を人事評価に活用する」とした当初の提案をもとに、より広くより深く学校教育全体をテスト重視に転換させていくものに他なりません。
 子どもの成績と子どもの家庭の経済情況に相関関係が見られることは各種の調査でも明らかです。沖縄に次いで子どもの貧困率の高い大阪市は、生活保護率、就学援助率ともに全国一です。
 「全国学力テスト」における大阪市の子どもたちの結果は、経済情況の反映とも考えられます。ならば、大阪市で最も必要なことは、まずもって子どもの生活基盤を安定させることであり、それは学校内部だけでできることではありません。
 さらに現在の大阪市が取り組むべき課題は、教育する側の豊かな体勢作りです。教員の育成を可能にする適切な研修体制、子どもたちへ個別に働きかける時間的な余裕こそが必要です。
 その上で、経済的・家庭的に困難な子どもたちに対し、よりきめ細かな状況把握をし、子どもが落ち着いて学習できるような条件を整えるべきです。
 もとより私たちは「学力」の向上を否定するものではなく、むしろ望んでいることです。しかしその「学力」とは、将来子どもたちが生きていくうえで真に必要な知識や考える力です。そのために子どもを育てる環境整備に行政はまず力を注ぎ、困難な学校にこそ予算をつけて教員を配置すべきではないでしょうか?
 「学力テスト」の点数によって教員待遇のみならず学校予算にまで格差をつけ、教員と学校を競争させることは、テスト対策の増加やテスト対象教科の時数拡大などを招き、教育内容に歪みを生じさせる可能性が大です。
 その結果、子どもの教員不信が増し、テストに対する不安やストレスが増すことによって学校嫌いになり、かえっていじめや不登校が増えることが懸念されます。
 かりに、テスト対策の強化により、学力テストの順位が上がったとして、その時、小中学校の不登校率も上昇していたとすれば、市長や市教委はその責任をとってくれるのでしょうか。
 昨年12月22日に私たちが開いた「子どもをテストで追いつめるな!大阪集会」では、先行して同様の施策が行われたアメリでの失敗例が具体的に紹介されました。
 また大森氏や教育委員会が提案している「数値目標の設定方法」が、統計学の専門家の見地からもデタラメであるという批判もなされました。
 さらに、障がいを持つ子どもの保護者や不登校の子どもの保護者からは、学校がいっそうストレスをためる場になるのではないかと強い懸念が表明され、教育の場、学校が「子どもが人間として尊重される場になってほしい」という切なる願いが次々と発せられました。
 どのように考えても大阪市教育委員会がやろうとしていることには無理があり、避けるべき非教育的な政策です。大阪市の教育をこれ以上歪め、壊すのはやめてください。
 [陳情項目]
 吉村市長・大阪市教育委員会は、学力テストの結果を教員給与などに反映させる方針を見直し、真の学力向上のための施策へと練り直してください。
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