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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

平和教育分科会も自主教研も教員の研修として最高レベル

2019年02月21日 | こども危機
 ◆ 日教組第68次教育研究全国集会の報告 (『ひのきみ通信』)
石井 泉(天羽高校分会)


 2月1日(金)~3日(日)、北九州市に於いて日教組全国教研が開催され、全体会と平和教育分科会及び同時期に実施している自主教研第20回「日の丸・君が代」問題全国交流集会に参加した。今年度は千葉高教組からの参加は傍聴者2名だった。
 全体会は、岡島委員長挨拶や清水書記長の基調報告、連合会長や福岡県副知事・北九州市長の来賓挨拶などがあり、記念講演は斎藤一久さん(東京学芸大学准教授)の「憲法改正と教育の未来」だった。参加者は約3000人。
 印象的だったのは、オープニングイベントで、福岡朝鮮歌舞団と九州朝鮮中高級学校生徒会による歌と舞踊だった。日朝友好の思いを込めた『赤とんぼアリラン』や、高校生らによる無償化裁判などの訴えを歌詞にした歌が感動的だった。日教組が全国教研の場で支援する姿勢を明確に出来て良かった。
 平和教育分科会のレポート28本の中では、次の4本のレポートが素晴らしかった。
 一本目は、熊本高教組の『戦争体験者と高校生が伝えあう平和への願い』
 放送部員たちが体験者から、子どもの頃に同居した青年が逃亡など徴兵忌避を繰り返し8/15に自殺した話などを聞き取り、『あなたは息子を戦場に送れますか?』のラジオドキュメントを制作し、地域で「戦争体験者と高校生の意見交流会」まで実施した取り組みは感動的だった。
 二本目は、沖縄県教組の『平和教育を日常的具体的にどう進めつなぎ広げていくか』
 普天間基地に隣接する有名な普天間第二小の先生から、全校集会「12・13(米軍ヘリ窓落下事故)を考える日」・校内職員研修「普天間基地について~戦前の様子と戦後・現在~」等など実施の取り組みが報告された。教職員が児童や保護者と共に基地問題を学習し、行動し続ける努力が、基地被害の深刻さの悲痛な叫びに聞こえた。辺野古埋め立てが強行されているが、決して諦めず「県民投票で反対の意思を圧倒的に示したい」との決意を述べていた。
 三本目は、神奈川高教組の『福島原発事故を語り継ぐ』
 文化祭で公開授業「世界で一番受けたくない授業」を実施し、爆発映像や放射線・事故原因・津波対策・炉心溶融・現在の原発稼働申請状況・世界の地震地図と原発立地などを学ぶ実践である。先生自身が原子力村で働いた経験もあり、確かな資料と興味深い実験映像による授業実践だった。原発問題に関して「教員がデマを生徒に伝えるのはもってのほかだろう」という指摘は心に留めたい。
 四本目は、鹿児島高教組の『「最後の授業」としての平和授業』
 世界史の最後の授業で、ジョンレノン「イマジン」・ボブディラン「風に吹かれて」・欅坂46「サイレントマジョリティー」・ミスチル「タガタメ」の曲を聞いたり、先住民族首長が大統領に宛てたスピーチ「父は空 母は大地」・2004~2005年放映の日清カップヌードルCM「NO BORDER」(の統一テーマ7作品)などの映像を見て歌詞や映像の意味を考え、アンケートや討論授業を行った実践である。生徒が身近な音楽や映像から平和について考えを深める感動的な授業実践だった。
 また、今回、平和分科会で、私の前任校の教え子(10年前の卒業生)と再開できたことは本当に嬉しい限りだった。
 彼女は「初の参加で不安でしたが、高校時代の社会科の先生に再会でき、先生が沖縄修学旅行の事前学習を熱く語っていた思い出があります。その背景に、このような教研活動があることがわかりました」と発言してくれた。
 若い彼女の一生懸命な発表に共同研究者や参加者から応援する発言が多かった。

 そのほか、今年は右翼の街宣車を見かけず、アナウンスも一度も聞くことはなかった。
 しかし、産経新聞は、2月3日朝刊で平和教育分科会を名指しし「日本を侵略国家と印象付けるかのようなリポートがある」「朝鮮出兵は侵略と強調」「例年、政治色の強い発言が目立つ教研集会」と不当な攻撃記事を掲載した。
 2月2日には、自主教研「日の丸・君が代」問題全国交流集会にも参加した。この集会は、1999年国旗国歌法の成立に危機感を抱いた仲間たちが全国教研に集まった機会をとらえて第一回の集会を開催し、以後、毎年の全国教研期間中に開催地で続けてきた集会である。
 今でも学校現場や裁判などで「日の丸・君が代」強制反対の闘いを続けている仲間がいる。日教組が、闘いから事実上、逃げている状況下、仲間を励ます貴重な交流集会である。参加者は20名と少なかったが、大阪や東京・福岡・広島・宮城・千葉など全国の闘いが報告された。
 平和教育分科会も自主教研も毎回刺激を受け、教員の研修として最高レベルだと断言できる。参加しないのはもったいない。是非、青年教職員に伝え広げていきたい。
『ひのきみ通信 216号』(2019年2月16日)
http://hinokimitcb.web.fc2.com/html/19/216.htm
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