パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 少女強かん被告の兵長が初公判で否認

2024年08月01日 | 平和憲法

  たんぽぽ舎【TMM:No5058】(2024年7月26日)
☆ 1989年以降の米兵性犯罪は全国で166件

「メディア改革」連載第156回
浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 昨年12月、面識のない少女(16歳未満)を車で自宅へ連れ去り、性的暴行を加えたとして、不同意性交などの罪に問われた嘉手納基地所属の空軍兵長(25歳)の初公判が那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で7月12日開かれた。
 兵長は「私は無実。誘拐もしていなければレイプもしていない」と全面否認し、無罪を主張した。
 弁護側は「被告人と少女の間には同意があった」と主張した。
 しかし、不同意性交等罪は、被害者が13歳以上16歳未満で相手が5歳以上年上なら、同意の有無に関係なく罪が成立する。

 兵長は日米地位協定に基づき、起訴後に日本側へ身柄を引き渡されたが、その後、那覇地裁の判断で保釈されている。
 初公判には傍聴券を求めて約260人が列をつくった。次の公判は8月23日に開かれ、被害者少女と母親の証人尋問が予定されている。
https://www.fnn.jp/articles/-/728207

☆ 2023年以降、沖縄県警は米兵事件の広報なし

 昨年のクリスマスイブに起きたこの事件で、沖縄県警は外務省にだけ通知していたが、沖縄県には伝えておらず、外務省は防衛省にも伝えていなかった。また、6月25日には、女性を強かんしようとして負傷させた海兵隊員が5月26日に逮捕され、6月17日に起訴されていたことが地元紙の報道で明らかになった。

 また、林芳正官房長官が3日の記者会見で、昨年以降、在沖縄米兵の性的暴行事件は計5件に上ると説明。2023年から計5件を隠蔽していたことがわかった。
 沖縄では1995年の米兵3人による少女強かん事件があって以降、米兵関係者の性暴力事件で、事件発生、被疑者逮捕(送検)について県警記者クラブで広報(公表ではなくキシャクラブ限定の便宜供与)しておらず、異常な事態だ

 私は兵長の刑事裁判を法廷で取材したいと思い、7月8日、那覇地裁総務課広報係にファクスで、<12日の公判の「記者席」提供のお願い>文書を送った。
 しかし、広報係の吉田氏は公判の前日の11日午後、「記者席の提供はできない」と電話で回答した。理由の説明はなかった。吉田氏は、記者席を与えられた報道機関の社名などの広報も拒んだ。フリーへの記者席提供の有無も「答えない」と断じた。

 外務省、県警などが「被害者のプライバシー」を理由にして、米兵事件の情報を秘匿することは許されない。
 事件が取材報道されていれば、新たな事件の発生を止められたかもしれない。
 沖縄では、性暴力犯罪の取材と報道について、被害者を守り抜く枠組みができている。裁判所も被害者の特定につながる個人情報を伏せてきた。

 日本の中央政府は5日、沖縄県内での同様の事件については、「捜査当局が公表しないものでも可能な範囲で県に情報を伝える運用を始めた」と発表した。県警が今後も米兵による事件の発生、立件に関して広報しないことを前提にしている
 キシャクラブメディアは、従来通り広報するよう要請すべきだが、メディアは沈黙している。在沖米軍では、少女事件の発生を知らない兵士もおり、外出自粛などの指示もないという。なめ切った対応だ。

☆ キシャクラブでの事件広報は警察が判断

 日本ジャーナリスト会議沖縄(JCJ沖縄)は6月29日、抗議声明を公表した。

 <日米首脳会談、エマニュエル駐日大使の石垣・与那国訪問、県議選、沖縄戦慰霊の日の追悼式があった。これらに影響を与えないようにするという意図を当局は否定するが、信じることができない>

 この声明に賛同するが、県警クラブがなぜ、昨年以来の5件の発生・立件をキャッチできなかったのか検証すべきだ。権力監視をサボっているキシャクラブも共犯だ。

 共同通信は18日

<在沖縄米兵の性的暴行事件が相次いで発覚した問題を巡り、青森や神奈川、山口の3県でも2021年以降に計5件の米軍関係者による性的暴行事件の摘発があり、いずれも報道機関に発表されていなかった

 と報じた。
 読売新聞(7月20日)によると、米軍関係者による性犯罪の摘発が1989年以降、今年5月までに全国で計166件に上っていたことがわかった。公表するか否かは各都道府県警の判断だという。
 2014年以降の過去10年間では青森、岩手、埼玉、東京、神奈川、広島、山口、福岡、長崎、沖縄の1都9県の警察で摘発があり、沖縄県警が16件、警視庁が14件、山口県警が4件、神奈川県警が3件などだった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e5205253a2ec0fab950116e50e911d0e4d035e3

 沖縄国際大学教授・前泊博盛教授は25日の東京新聞特報面で、

「在日米軍には『占領軍』という意識があるのだろう」
「国民を犯罪から守るという主権国家としての姿勢のかけらもない」

 と指摘している。
 米軍基地を全面撤去する以外に、米兵事件を防ぐことはできない。
 戦争を準備する兵士たちの暴力性を止めるには、軍隊を解体するしかない。
 敗戦後79年日本を軍事占領している異常に気付くべきだ。

 


コメント    この記事についてブログを書く
« ☆ 書評:『戦雲(いくさふむ... | トップ | ★ 明けない夜はない(269) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事