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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教員組合と市民の草の根運動で「公教育」を守る

2016年12月16日 | 平和憲法
  《アジア@世界 『労働情報』》
 ★ 住民投票でチャーター校の拡大が否決(米国)
        喜多幡 佳秀(APWSL日本)


 マサチューセッツ州で大統領選挙と同時に実施された住民投票チャータースクール(公設民営校)の拡大案が大差で否決された。
 同州ではチャーター校の数が120校に制限されており、学校区ごとに上限が定められている(学力テストの成績が低い学校区に、より多くの数が割り当てられている)。
 州全体の認可数はまだ制限に達していないが、ボストン、スプリングフィールドなどの都市部では上限に近付いている。今回の導入の住民投票では、「質問2」として、チャーター校を毎年12校まで増やすことができるようにするという提案への賛否が問われた。
 チャーター校の推進勢力はこの住民投票に2400万ドルを投入した。

 ウォルトン一族(ウォルマートの所有者)、ブルームバーグ前ニューヨーク市長や、「卓越した教育を求める家族たち」という市民団体のほか、州内の金融機関、ヘッジファンドの投資家などが巨額の資金を提供した。
 これに対して州の教員組合(MTA、11万人)は、「民主的組合を求める教員(EDU)」の主導の下で、5月の年次大会で草の根の運動で阻止する方針を決定した。
 チャーター校の拡大は公立学校の予算削減をもたらし、教育に対する民主的コントロールを弱めることを電話作戦や戸別訪問で訴えた。
 親たちのグループや地域の種々のグループが結集した「公教育を守ろう」連合が組織された。
 同州では12年に「子どもたちのために立ち上がれ」という市民団体が州議会に対して教員の団体交渉権の制限を求める運動を起こし、州議会議員と組合の間で、この問題での住民投票を回避するために、組合が業績を基準とするレイオフを認めるという妥協が行われた。
 EDUはこの妥協を批判し、MTAの委員長選挙に勝利した後、妥協ではなく草の根の力で攻撃をはね返すという方針を打ち出した。
 MTAを中心とする運動は民主党の有力者からの支持も受けた。チャーター校の推進に賛成してきたボストン市長も、今回の拡大案には反対した。
 上院議員のバーニー・サンダースやエリザベス・ワレンの応援もこの運動の士気を高めた。10月6日にはボストン市内の115校で、教員と親、生徒たちが公立学校の予算確保を求めるデモを行い、住民投票への関心を高めた。
 2月時点での調査では賛成が50%以上だったが、8日の投票結果は反対が62%、賛成が38%だった。
 「巨大な企業を相手にして私たちは勝ちました。古いやり方でしたが、組織し、人々との関係を作り上げることによってです」とMTAコンコード支部のメリー・ナジミー委員長は語っている(「レイバーノーツ」誌、11月12日付より)。
 このほかに、アリゾナ、コロラド、メイン、ワシントンの各州で州最低賃金引き上げの住民投票が行われ、ワシントンでは2020年までに13.5ドル、他3州で12ドルへの引き上げが可決された。
『労働情報 948号』(2016/12/1)
http://www.rodojoho.org/asia948.html
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