◎ 自由権規約に背を向ける東京都教育委員会
要請:東京・教育の自由裁判をすすめる会国際人権プロジェクトチーム(2022年3月28日)
回答:東京都教育委員会(令和4年4月26日)
回答:東京都教育委員会(令和4年4月26日)
● 要請1.
外務省は、「自由権規約が定める義務については、東京都教育委員会を含め、日本国内において、遵守される必要があります」と、東京都教育委員会には自由権規約が定める義務について遵守する義務があるとの見解を示しています。この政府見解に異議を唱えるのでなければ、政府見解に従って自由権規約が定める義務を東京都教育委員会は遵守して下さい。【資料1参照】
<回答1.>
都教育委員会は、締約国の地方公共団体として、国際人権規約について答える立場にありません。(所管:総務部教育政策課)
【コメント】
外務省が、「東京都教育委員会」に自由権規約の遵守義務があると、名指しで見解を示しているのに、堂々と無視するのはどういう神経か。
外務省総合外交政策局人権人道課主査宮川光國氏の顔に泥を塗って平然としている。
教育庁総務部教育政策課は、国際人権の基本中の基本に無知であるだけでなく、恥知らずである。
● 要請2.
前回要請項目2.のご回答が、「自由権規約に関するNGOとの協議は、政府から連絡がなければやらなくてよい」との趣旨だとするとそれは誤りです。そこで、以下、再要請します。【資料2参照】
(1)地方自治の本旨から、地方自治体は国の下請け機関ではなく、政府からの連絡がなくても、都民と協議することは、自治体の判断で行えるはずです。「都民の人権保障」は、国家としての存立に関わる事務でもなければ、全国的に統一して定めることが望ましい諸活動でもないことは明白です(地方自治法第1条の二)。住民の人権を保障する責務は国のみならず地方自治体にもあるのはいうまでもありません。国の判断を待つことなく都の判断で都民との協議に応じて下さい。
(2)しかも、この「第6回自由権規約日本審査最終見解」(2014/8/20)について、国から連絡を受けたことは貴庁自身が認めていることです。思い出して下さい。以下、当時の記録を再録します(下線部は引用者)。
[要請]五者卒業式・入学式対策本部(2016/3/15)この記録から、以下の事実が確認できます。
同勧告(引用者注:第6回自由権規約日本審査最終見解のこと)に関して、外務省から、東京都総務局人権部に送付され、教育庁総務部教育政策課が受け取ったとされる文書に指示されている「人権の一層の保護・推進に向けた施策として活用するように」、に基づいて行われた施策があれば、示していただきたい。
[回答]教育庁総務部教育政策課(2016/4/18)
外務省総合外交政策局人権人道課長から、都道府県人権主管部局長あてに発出された文書(平成26年10月3日付総人合第1029号)には、「この『最終見解』を広く関係者に周知するとともに、一層の人権の保護・促進に向けてた施策を実施するに当たって参考としていただき、活用願います」と記載されています。都教育委員会は、これまでも人権教育を推進しており、今後とも国が策定した「人権教育・啓発に関する基本計画」を踏まえると共に、「東京都人権施策推進指針」等に基づき、施策を実施していきます。
①自由権規約に関する連絡が、国から都に来ている。受け取ったことを総務部教育政策課が認めている。
②国からの連絡の内容は、自由権規約最終見解を「広く周知」する、「施策を実施する参考として活用」することである。
③それを受けて貴庁は、国が策定した「人権教育・啓発に関する基本計画」を踏まえて実施すると答えている。
ちなみに貴庁が引用されたこの「人権教育・啓発に関する基本計画」には、以下の記載があることをご存じないのでしょうか。
「人権教育・啓発の総合的かつ計画的な推進を図るに当たっては、国の取り組みにとどまらず地方公共団体や公益法人・民間団体等の取り組みも重要である」(第1章 はじめに)以上の事実から、貴庁が回答されたように「『人権教育・啓発に関する基本計画』を踏まえ」、国から連絡があった「自由権規約最終見解」を活用して、当NGOとの協議に応じることを要請します。
「人権教育・啓発は、人権尊重社会の実現を目指して、日本国憲法や教育基本法などの国内法、人権関係の国際条約などに則して推進していくべきものである」(「第3章 人権教育・啓発の基本的在り方」「2 人権教育・啓発の基本的在り方」)
なお、前回の「政府から連絡を受けていません」という回答は、事実と異なるので撤回して下さい。
<回答2.>
当該指摘については、政府から連絡を受けていません。(所管:指導部指導企画課、人事部職員課)
【コメント】
驚くべき虚偽回答である。
初回の要請項目を(1)(2)に細分化して再要請したが、全く無視された。
先に(2)からコメントする。
(2)では、「2014年10月3日付の政府(外務省)から東京都宛の文書」の存在を示した。それなのに、「政府から連絡を受けていません」とシラを切っている。一体「要請書」を読んでいるのか、読んだとすればこれは明らかな虚偽回答である。
(1)では、政府から連絡があろうとなかろうと、それに関係なく地方自治法第1条に定める「地方自治の本旨」から、都教委の判断でNGOとの協議に応じることが出来ることを突きつけた。地方自治の本旨を理解せず、自ら自治権を放棄する情けない回答である。
(1)(2)とも、まるで「要請文は読んでいません(或いは読んでも無視します)」と白状しているようなものだ。このような応対は、公的機関としてあるまじき態度と言わなければならない。これでは、住民(主権者)と行政(奉仕者)間の「対話(ダイアログ)」が成り立たない。というより「対話(ダイアログ)」を拒否しているに等しい。
どうしてこんなことになるのか。総務部広報統計課を介しての間接的な文書のみでのやりとりなので、このような厚顔無恥なやりたい放題がまかり通る。なぜ、担当部署が対面で応対しないのか。都民(主権者)の声に耳を傾けない役人(奉仕者)は、無能で最悪の税金ドロボーである。
【資料1】 都教委の条約遵守義務について外務省の見解(2021年12月9日)
質問: 昨年に引き続き、改めて地方公共団体に自由権規約遵守義務があることの確認を求めます。昨年の貴省のご回答にも関わらず、地方公共団体の一機関である東京都教育委員会が、「東京都教育委員会には、自由権規約などの国際人権諸条約を遵守する義務がありますか」と聞かれて正面から「ある」と答えない状況が続いています。この件に関して、条約を国内各機関に広く普及させる立場にある締約国の外務省として、東京都に対して文書で指導するなど適切な対処をお願いします。(東京・教育の自由裁判をすすめる会)
回答: 去年もご説明したとおり、自由権規約が定める義務については、東京都教育委員会を含め、日本国内において、遵守される必要があります。いずれにせよ次回自由権規約の対日審査が実施される際には、勧告の内容などは地方公共団体にも周知する予定です。(外務省総合外交政策局人権人道課主査 宮川光國)
【資料2】 自由権規約委員会からの勧告(自由権規約を国内に広く普及させる締約国の義務)
『自由権規約第6回日本審査総括所見』<CCPR/C/JPN/CO/6>(2014年8月20日)より
27. 締約国は、規約、第6回定期報告の内容、委員会によって作成された質問事項に対する回答書及びこの総括所見を司法、立法及び行政当局、国内において活動する市民団体及び非政府組織(NGO)並びに一般公衆に広く普及させるべきである。
29. 委員会は、締約国に対して、2018年7月31日を提出期限とする次回定期報告に、すべての勧告の実施状況及び規約全体に関する具体的かつ最新の情報を提供するよう要請する。委員会は、また、締約国に対して、次回定期報告を作成するに際しては、国内において活動する市民団体及びNGOと広く協議するよう要請する。
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