精神疾患休職教員急増、原因は多忙化や保護者クレームだけ?
◆ 文科省対策会議で「校長パワハラやPC漬け」告発
精神疾患で休職する教員の急増を受け、文部科学省は2012年度予算案に計上した約410万円の「教員メンタルヘルス調査研究事業費」の一部を前倒しし、1月22日(日曜)朝、第1回の対策検討会議(以下、会議)を開催した。
2011年12月22日、「欝病などの精神疾患で2010年度休職した全国の教員は、09年度の5458人(過去最高)を51人下回ったものの、依然高水準。ここ20年で5倍に急増」との調査結果を発表した文科省の官僚が、1月22日の会議冒頭説明した「急増理由」は、「長時間労働による多忙化、複雑化する生徒指導」などに限定。座長の吉川(きっかわ)武彦・清泉女学院大学・学長も「保護者や地域住民の注文やクレーム」の指摘に留まった。
だが会議の意見交換では、大阪ガス人事部健康開発センター統括産業医の岡田邦夫氏が「東京都教職員互助会等の『仕事や職業生活でのストレスを相談できる人の有無』の調査で、『上司・同僚』の回答が、一般企業の労働者は64%あるのに、教員は14%しかない、という結果」を引用し、東京都の教員の現状について「組織の問題あり」と指摘。
その東京の、蓮沼千秋・江戸川区立小岩第三中学校校長は「上司(校長・副校長)や同僚との関係が教員のストレスになっていることもある。校長の中には、(1年間は条件付採用期間である)新人教員に『しっかりやらないと採用にならない(で免職になる)』とプレッシャーをかけたり、『自分は副校長を2人辞めさせた』と言ったりした人がいる」と述ぺ、校長によるパワハラの実態を告発した。
また、11年1月の中岡司・文科省初等中等教育企画課長(当時)の通知は、多忙化解消策として「職員会議等の効率化」を求め、東京の教育委員会の多くは「教委と直結した組織端末パソコンの全教員への配備」を完了し、会議短縮の”代わり”に「パソコンでの連絡や諸届提出」を義務化しつつある。
この実態を受け、横山典子・東京都小平市教育相談室教育相談員兼スーパーバイザーは、「先生たちは子どもたちとじっくり話したいのに、PCでの作業に追われている」と、現場教員の声を反映する発言を行った。
都教委は都の全公立学校の教職員約6万人に、定期健康診断時のストレス検査を義務化し、精神疾患での休職教員の復職時の審査を厳格化している(『週刊金曜日』11年1月28日号アンテナ欄)。だが、まずは上意下達の学校組織化(主幹教諭制や職員会議の挙手採決禁止通知)、教員が相談し合える協同性を妨げている業績評価制度、”君が代”処分等の諸施策を転換することこそ必要ではないか。
蓮沼校長は「職員室で笑い声が出たりするのが良い」述べ、横山さんも「教員は(以前は)わりと自由にモノを言っていたが、最近は言わなくなった」と語っている。
なお、2006年に自殺した西東京市立小の新任女性教諭(当時25歳)の遺族の「公務上災害」申請に関し、川人(かわひと)博弁護士は11年2月18日、弁護士会館での記者会見で、西東京市教育委員会の指導課長(当時)が06年度の初任者研修で「頑張りが足りないと(1年後の)3月末で分限免職となる。研修会で寝たら採用しない」「宿泊研修ではテストをし、悪い点を取るとその後に響く」「病欠・欠勤は給料泥棒」等、威圧する発言を繰り返していた。一という事実を明らかにしている。
◆ 文科省対策会議で「校長パワハラやPC漬け」告発
永野厚男(教育ライター)
精神疾患で休職する教員の急増を受け、文部科学省は2012年度予算案に計上した約410万円の「教員メンタルヘルス調査研究事業費」の一部を前倒しし、1月22日(日曜)朝、第1回の対策検討会議(以下、会議)を開催した。
2011年12月22日、「欝病などの精神疾患で2010年度休職した全国の教員は、09年度の5458人(過去最高)を51人下回ったものの、依然高水準。ここ20年で5倍に急増」との調査結果を発表した文科省の官僚が、1月22日の会議冒頭説明した「急増理由」は、「長時間労働による多忙化、複雑化する生徒指導」などに限定。座長の吉川(きっかわ)武彦・清泉女学院大学・学長も「保護者や地域住民の注文やクレーム」の指摘に留まった。
だが会議の意見交換では、大阪ガス人事部健康開発センター統括産業医の岡田邦夫氏が「東京都教職員互助会等の『仕事や職業生活でのストレスを相談できる人の有無』の調査で、『上司・同僚』の回答が、一般企業の労働者は64%あるのに、教員は14%しかない、という結果」を引用し、東京都の教員の現状について「組織の問題あり」と指摘。
その東京の、蓮沼千秋・江戸川区立小岩第三中学校校長は「上司(校長・副校長)や同僚との関係が教員のストレスになっていることもある。校長の中には、(1年間は条件付採用期間である)新人教員に『しっかりやらないと採用にならない(で免職になる)』とプレッシャーをかけたり、『自分は副校長を2人辞めさせた』と言ったりした人がいる」と述ぺ、校長によるパワハラの実態を告発した。
また、11年1月の中岡司・文科省初等中等教育企画課長(当時)の通知は、多忙化解消策として「職員会議等の効率化」を求め、東京の教育委員会の多くは「教委と直結した組織端末パソコンの全教員への配備」を完了し、会議短縮の”代わり”に「パソコンでの連絡や諸届提出」を義務化しつつある。
この実態を受け、横山典子・東京都小平市教育相談室教育相談員兼スーパーバイザーは、「先生たちは子どもたちとじっくり話したいのに、PCでの作業に追われている」と、現場教員の声を反映する発言を行った。
都教委は都の全公立学校の教職員約6万人に、定期健康診断時のストレス検査を義務化し、精神疾患での休職教員の復職時の審査を厳格化している(『週刊金曜日』11年1月28日号アンテナ欄)。だが、まずは上意下達の学校組織化(主幹教諭制や職員会議の挙手採決禁止通知)、教員が相談し合える協同性を妨げている業績評価制度、”君が代”処分等の諸施策を転換することこそ必要ではないか。
蓮沼校長は「職員室で笑い声が出たりするのが良い」述べ、横山さんも「教員は(以前は)わりと自由にモノを言っていたが、最近は言わなくなった」と語っている。
なお、2006年に自殺した西東京市立小の新任女性教諭(当時25歳)の遺族の「公務上災害」申請に関し、川人(かわひと)博弁護士は11年2月18日、弁護士会館での記者会見で、西東京市教育委員会の指導課長(当時)が06年度の初任者研修で「頑張りが足りないと(1年後の)3月末で分限免職となる。研修会で寝たら採用しない」「宿泊研修ではテストをし、悪い点を取るとその後に響く」「病欠・欠勤は給料泥棒」等、威圧する発言を繰り返していた。一という事実を明らかにしている。
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