おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

この書き方の意味

2024年01月21日 | 重力奏法

以前、何度かご紹介したこちら。


ひとつの音から様々なコードをアルペジォで弾く練習です。

このリズムの書き方にどんな意味があるのだろう、と思っておりました。
見るからに速く弾きたくはない、感じです。


昨年末から、鍵盤を下ろすことをレッスンでやり始めました。
今までも鍵盤は下ろしていたにはいたのですが、深く下す前の段階が必要ではないかと考えるようになりました。

鍵盤はどう弾いても簡単に動くので、叩いたり、突いたり、撫でたり、触るだけだったり、人によって様々です。


「不思議な音の国」の教本で育った生徒さんは、叩くことはしません。
しかし、触る程度の鍵盤の下ろし具合いだったり、鍵盤の奥に向かって突くように弾いたりする生徒さんはいます。

同じメソッドでも色々と奏法があるかもしれませんが、私はまずは真下に下ろすことを基本の音としています。


上から鍵盤を下ろすと澄んだ音がします。
次に目指したいことは、がたつかずに弾くこと。

工事中のように、デコボコしないように腕を少し持ち上げた状態をキープします。
片手ずつ、自分で一方の腕を下から支えて弾くとすぐに感覚がつかめます。


スケールは黒鍵白鍵が混ざるので、段差ができます。
そこをデコボコしない、がたつかないように弾いていきます。

スケールは隣の音同士で弾けます。滑らかになってくると、今度は離れた音で試したくなるはずです。


それでアルペジォ。

冒頭の写真にありますアルペジォは、ひとつの音から弾き始めて様々な調性、音の幅で弾くことが出来ます。効率が良いです。


私は今頃気付いたのでした。

このリズムの書き方は、このためにあるのではないかと。
どんな音の幅でも、どんなに段がついていても、鍵盤を叩かず、打たず、腕の高さをキープしたまま、スッと鍵盤が下ろせるようにするために作ったのではないかと。

という、勝手な解釈。

というか、当たり前と言えば当たり前。


思い出したのですが、ピレシュの引退公演(その後復帰)のお弟子さんとの連弾を含んだオールモーツァルトプログラムの時に、なんだろうと思った光景がありました。

ピレシュがファーストを務めた時に片手で弾く部分で、もう一方の手で腕を下から支えるようにして弾いている部分がありました。
怪我でもしているのかな、疲れたのかなと思って見ていましたが、そのわりにその部分の音が格段に美しかった記憶があります。

今頃ですが、プロでも本番でそれをやるのかと、ちょうど今、私はモーツァルトの連弾曲を練習していて、片手で数小節にわたり弱音で弾く16分音符の山があって、腕を支えながら弾くとこんな私でも少しは美しく弾けるなと思って弾いていたら、ピレシュのその光景を急に思い出したのでした。

本番でやるかは勇気がいるかも··

体裁を気にする日本人な私··

コメント
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