政府が考えている「戦争立法」の輪郭がはっきりしてきました。次の三項目になります。
第一に、現在の周辺事態法の改定です。現在の法律では自衛隊の活動範囲は、「戦闘地域」ではなく「後方地域」とされています。イラクに行った時にはサマワまででした。これは当時の政府の説明では「後方地域」でした。今度の改定案では外国の「戦地」まで自衛隊が出かけて行ってアメリカ軍の補給などをすることが出来ます。しかも、自衛隊を派遣できるのは「日本周辺」を想定していましたが、今度は地理的な限定がないということです。裏返せば世界中どこにでも派遣できることになります。また首相の答弁によると、補給活動中に攻撃されたら応戦するというのです。これではどの国とも戦争するということになります。
第二は「海外派兵恒久法」の制定です。米軍主導の多国籍軍に参加する他国軍への「後方支援」をいつでも、どこでも可能にします。今までは9.11テロの後イラク特措法を作ってイラクに派遣してきたました。今度はいちいち法律を作らなくてもどこにでも自衛隊を派遣できるようにしようというものです。また、国連安保理決議に基づいた多国籍軍に加え、「対テロ」戦争のような有志連合型の多国籍軍や、国連決議に基づかない活動への後方支援も盛り込みます。
第三は「PKO協力法」の改定です。これは国連のPKO(平和維持軍)に参加するときの詳細を決めた法律です。少し面倒になりますが、これまで、下の(註)のようなPKO5原則に従うことに決めていました。今度の改定では、PKO5原則のうち、「自己防護」に限定していた武器使用原則を、「業務の遂行に当たり、自己保存型及び武器等防護を超える武器使用が可能」とし、敵対勢力との交戦なども認めることになります。これもまた直接の戦闘行為を認めることになる重大な変更です。
この三点ともこれまで日本が世界から勝ち得てきた「平和国家」のイメージを損ねるものとなるでしょう。
(註)PKO5原則
- 紛争当事者の間で停戦合意が成立していること。
- 当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊への我が国の参加に同意していること。
- 当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
- 上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
- 武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。
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