演出家の和田勉さん死去 老人福祉施設で80歳
大河ドラマ「竜馬がゆく」などを手がけた演出家で元NHKディレクター、和田勉さんが食道上皮がんのため14日に川崎市の老人福祉施設で死去したことが18日、分かった。80歳だった。葬儀は近親者で済ませた。
喪主は妻で衣装デザイナーのワダエミ(本名、和田恵美子=わだ・えみこ)さん。後日「お別れの会」を開く予定。
和田さんは三重県出身。昭和28年、早稲田大第一文学部演劇科を卒業後、NHKに入局。ディレクターとして多くのドラマ演出を手がけた。俳優のクローズアップを多用する独特の手法が持ち味で、女優の魅力を引き出す技に定評があった。「天城越え」(53年)や「心中宵庚申」(59年)で芸術祭大賞を受賞するなど受賞歴も多く、「芸術祭男」の異名をとった。
62年にNHKを定年退職後、フジテレビの「笑っていいとも!」などバラエティー番組にも出演。だじゃれが得意で“ガハハおじさん”と呼ばれ親しまれた。
2. DVD複製「リッピングソフト」に法規制を 文化審小委が報告書
文化審議会著作権分科会の小委員会は17日、映画DVDなどに組み込まれた複製防止機能を外してコピーができるようにするいわゆる「リッピングソフト」や、ゲームの違法複製ソフトを利用可能にする「マジコン」と呼ばれる機器の配布などを法規制するよう求める報告書を取りまとめた。
分科会全体の報告も近くまとまる見通しで、小委員会報告書を反映させる。これを受け文化庁は、早ければ通常国会に著作権法改正案を提出する方針。
小委員会の報告書には、著作権者の利益を不当に侵害しない範囲で無許諾利用を柔軟に認める「権利制限の一般規定」を著作権法に導入すべきだとの内容も盛り込んだ。写真や映像の背景に美術品などが偶然、写る例などを想定している。
3. 仏の若手作品 手軽にお届け 世界初オンライン映画祭
ケーブルテレビやパソコンで新作フランス映画を鑑賞し、審査に参加できるオンライン世界映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」(29日まで)が開催中だ。仏映画庁が管轄する仏映画振興機関・ユニフランスが自国の新進作家を世界に売り込もうと、初めて企画。日本では、仏映画を含むミニシアター系洋画は苦境が続くが、新しい試みで若者や男性など新しい観客の開拓を狙う。 (石原真樹)
出品されているのは、本国では公開されたが海外配給されない若い監督の作品が中心で、コメディーや社会派、アニメなど多様。父と息子の和解を描く長編「さよならゲーリー」、島流しにされた野良犬たちを見つめる短編アニメ「吠(ほ)える島」など、長編と短編がそれぞれ十本。審査対象外の古典「フレンチ・カンカン」も鑑賞できる。十カ国語の字幕が付けられ、「会場」のユニフランスホームページ(HP)と各国のビデオオンデマンド(VOD)などで「上映」され、日本ではジュピターテレコム(JCOM)のVODで見られる。JCOMの料金は長編一本二百十円、短編同百五円など。こうしたオンライン映画祭は世界初の試みという。
賞は三つ。「審査員賞」は十九カ国二十人の映画ジャーナリスト、「ブロガー賞」は映画ブログを開設する十五カ国三十五人が選び、「観客賞」はユニフランスHPなどからの一般投票で決定。受賞結果は同HPなどで二月中旬に発表予定。
「フランスで若い作家が育っていることを世界に知らせたい」とユニフランス東京支局のアンヌ・ブラネスさん。映画本来ではない視聴環境での開催だが、中高年女性が中心という従来の仏映画ファンとは異なる、VODの主な利用者の三十、四十代の男性客層へのアピールに期待を込める。
◇
日本では一九八〇~九〇年代、ミニシアターのブームとも重なって「髪結いの亭主」(1991年)や「ポネット」(96年)など仏映画がヒットした。文化・芸術・ファッションの中心地としてのパリやフランスへの憧れが集客につながったとみられている。
当時の映画事情について「働く女性を中心に、知識への探求心が旺盛で、日本にいながら外国を体験する、という楽しみ方で洋画が好まれた」と話すのは、仏映画を多く上映する東京・渋谷のBunkamuraル・シネマで編成を担当する中村由紀子さん。映画会社アスミック・エースエンタテインメントで洋画買い付けを担当する大橋淳映画事業部副本部長も「バブルのころは雑誌がこぞってパリを特集し、オシャレなイメージだけで映画を含め、いろいろなものが売れた」と振り返る。
二〇〇〇年代に入ると「アメリ」(01年)が大ヒットしたが、その後、ミニシアター不況や邦画ブームで仏映画の存在感は薄れ気味だ。中村さんは「ここ五年ほどで世の中や人の趣向が変わった。他人と一緒でないと不安で、ランキングで映画を選ぶ習慣になり、宣伝費の少ない作品は観客に届かない」。映画に限らず、外国への関心が薄いとされる若者の風潮も一因のようだ。
一方、日本公開される仏映画の中身にも変化がみられる。最近は移民や貧困といった社会問題を扱う作品など、かつての文化・芸術の薫り漂う仏映画のイメージの枠に収まらないものが多い。昨年の公開作も、海洋ドキュメンタリー「オーシャンズ」や、せりふの半分はロシア語の「オーケストラ!」、リュック・ベッソン監督のアクションなど、さまざまだ。
作品の多様化について「情報社会になり、難民問題を抱えていることなど、フランスの現状が知られるようになったことが背景にあるのでは」(中村さん)という事情に加え、欧州連合(EU)が誕生し人材交流が活発になったこと、数カ国の合作が増えたことも影響がありそうだ。ブラネスさんは「今、日本市場は厳しいが、仏映画を敬遠していた人に『らしくない仏映画』を見てもらうチャンス」と話す。
4. 織田裕二さん(外交官・黒田康作)
「外交」魅力的な舞台
黒田康作は、2年前に映画「アマルフィ 女神の報酬」で演じた役。人気ドラマの映画化は多いが、逆は珍しい。
「外交官でありながら、別の秘密の顔も持つ男。まだまだいろんなことがやれそうな題材で、次々とアイデアを思いついてしまうんです」
映画では外務省邦人テロ対策室に属し、海外を渡り歩いていた黒田。ドラマでは冒頭で南米からアメリカへと飛んだ後、自殺した元同僚・霜村(香川照之)について調べるため、本省の中米カリブ課メキシコ室に異動する。
「外務省って、どなたかが『伏魔殿』とおっしゃってたけど、ドラマを作る側からすると、こんなに魅力的な舞台はない」。意欲がほとばしるような熱い口調で語る。
撮影に入った昨秋以後、現実の外交問題がしばしば新聞をにぎわしている。「台本を読んでいてもニュースが気になる。皆が知らない現実があるはずで、そのエキスを少しでも入れられたら、より深みが出てくると思う。午後10時という大人の時間帯だから、そういう毒気は入ってていいんじゃないかな」
(文・片山一弘 撮影・三輪洋子)
Q 海外ロケの撮影で苦労した点は?(和歌山県・平野章子)
A 外国語でセリフを覚えるだけでなく、芝居にしなくてはいけないのが大変です。相手のセリフのどこでリアクションするかも難しい。
Q 海外で赴任してみたい国は?
A やっぱり日本。年をとるごとに日本がいいなと思います。ただ、この前ベルリンに行ったら、都会のすぐ前に川や森があって素晴らしかった。東京も、そんな環境に近づけたいですね。
Q 以前、よく「40代が楽しみ」と発言していましたが、43歳になった今のご感想は?
A 気がついたら現場で年下の人が多くなったけれど、必ず年上の俳優さんもキャストに入れてくださいとお願いしています。やっぱり、学びたいという思いがあるから。
外交官・黒田康作(フジテレビ系 木曜後10・00)
アメリカで自殺した元同僚・霜村(香川照之)は、日本で殺人容疑をかけられていた。死んだはずの霜村を目撃した黒田(織田裕二)は日本に戻り、刑事・大垣(柴咲コウ)を相棒に調査を始める。
プロフィール
おだ・ゆうじ
1967年12月13日生まれ、神奈川県出身。87年、映画「湘南爆走族」で初主演。映画「踊る大捜査線」シリーズ、「椿三十郎」、ドラマ「東京ラブストーリー」「太陽と海の教室」など多数。
大河ドラマ「竜馬がゆく」などを手がけた演出家で元NHKディレクター、和田勉さんが食道上皮がんのため14日に川崎市の老人福祉施設で死去したことが18日、分かった。80歳だった。葬儀は近親者で済ませた。
喪主は妻で衣装デザイナーのワダエミ(本名、和田恵美子=わだ・えみこ)さん。後日「お別れの会」を開く予定。
和田さんは三重県出身。昭和28年、早稲田大第一文学部演劇科を卒業後、NHKに入局。ディレクターとして多くのドラマ演出を手がけた。俳優のクローズアップを多用する独特の手法が持ち味で、女優の魅力を引き出す技に定評があった。「天城越え」(53年)や「心中宵庚申」(59年)で芸術祭大賞を受賞するなど受賞歴も多く、「芸術祭男」の異名をとった。
62年にNHKを定年退職後、フジテレビの「笑っていいとも!」などバラエティー番組にも出演。だじゃれが得意で“ガハハおじさん”と呼ばれ親しまれた。
2. DVD複製「リッピングソフト」に法規制を 文化審小委が報告書
文化審議会著作権分科会の小委員会は17日、映画DVDなどに組み込まれた複製防止機能を外してコピーができるようにするいわゆる「リッピングソフト」や、ゲームの違法複製ソフトを利用可能にする「マジコン」と呼ばれる機器の配布などを法規制するよう求める報告書を取りまとめた。
分科会全体の報告も近くまとまる見通しで、小委員会報告書を反映させる。これを受け文化庁は、早ければ通常国会に著作権法改正案を提出する方針。
小委員会の報告書には、著作権者の利益を不当に侵害しない範囲で無許諾利用を柔軟に認める「権利制限の一般規定」を著作権法に導入すべきだとの内容も盛り込んだ。写真や映像の背景に美術品などが偶然、写る例などを想定している。
3. 仏の若手作品 手軽にお届け 世界初オンライン映画祭
ケーブルテレビやパソコンで新作フランス映画を鑑賞し、審査に参加できるオンライン世界映画祭「マイ・フレンチ・フィルム・フェスティバル」(29日まで)が開催中だ。仏映画庁が管轄する仏映画振興機関・ユニフランスが自国の新進作家を世界に売り込もうと、初めて企画。日本では、仏映画を含むミニシアター系洋画は苦境が続くが、新しい試みで若者や男性など新しい観客の開拓を狙う。 (石原真樹)
出品されているのは、本国では公開されたが海外配給されない若い監督の作品が中心で、コメディーや社会派、アニメなど多様。父と息子の和解を描く長編「さよならゲーリー」、島流しにされた野良犬たちを見つめる短編アニメ「吠(ほ)える島」など、長編と短編がそれぞれ十本。審査対象外の古典「フレンチ・カンカン」も鑑賞できる。十カ国語の字幕が付けられ、「会場」のユニフランスホームページ(HP)と各国のビデオオンデマンド(VOD)などで「上映」され、日本ではジュピターテレコム(JCOM)のVODで見られる。JCOMの料金は長編一本二百十円、短編同百五円など。こうしたオンライン映画祭は世界初の試みという。
賞は三つ。「審査員賞」は十九カ国二十人の映画ジャーナリスト、「ブロガー賞」は映画ブログを開設する十五カ国三十五人が選び、「観客賞」はユニフランスHPなどからの一般投票で決定。受賞結果は同HPなどで二月中旬に発表予定。
「フランスで若い作家が育っていることを世界に知らせたい」とユニフランス東京支局のアンヌ・ブラネスさん。映画本来ではない視聴環境での開催だが、中高年女性が中心という従来の仏映画ファンとは異なる、VODの主な利用者の三十、四十代の男性客層へのアピールに期待を込める。
◇
日本では一九八〇~九〇年代、ミニシアターのブームとも重なって「髪結いの亭主」(1991年)や「ポネット」(96年)など仏映画がヒットした。文化・芸術・ファッションの中心地としてのパリやフランスへの憧れが集客につながったとみられている。
当時の映画事情について「働く女性を中心に、知識への探求心が旺盛で、日本にいながら外国を体験する、という楽しみ方で洋画が好まれた」と話すのは、仏映画を多く上映する東京・渋谷のBunkamuraル・シネマで編成を担当する中村由紀子さん。映画会社アスミック・エースエンタテインメントで洋画買い付けを担当する大橋淳映画事業部副本部長も「バブルのころは雑誌がこぞってパリを特集し、オシャレなイメージだけで映画を含め、いろいろなものが売れた」と振り返る。
二〇〇〇年代に入ると「アメリ」(01年)が大ヒットしたが、その後、ミニシアター不況や邦画ブームで仏映画の存在感は薄れ気味だ。中村さんは「ここ五年ほどで世の中や人の趣向が変わった。他人と一緒でないと不安で、ランキングで映画を選ぶ習慣になり、宣伝費の少ない作品は観客に届かない」。映画に限らず、外国への関心が薄いとされる若者の風潮も一因のようだ。
一方、日本公開される仏映画の中身にも変化がみられる。最近は移民や貧困といった社会問題を扱う作品など、かつての文化・芸術の薫り漂う仏映画のイメージの枠に収まらないものが多い。昨年の公開作も、海洋ドキュメンタリー「オーシャンズ」や、せりふの半分はロシア語の「オーケストラ!」、リュック・ベッソン監督のアクションなど、さまざまだ。
作品の多様化について「情報社会になり、難民問題を抱えていることなど、フランスの現状が知られるようになったことが背景にあるのでは」(中村さん)という事情に加え、欧州連合(EU)が誕生し人材交流が活発になったこと、数カ国の合作が増えたことも影響がありそうだ。ブラネスさんは「今、日本市場は厳しいが、仏映画を敬遠していた人に『らしくない仏映画』を見てもらうチャンス」と話す。
4. 織田裕二さん(外交官・黒田康作)
「外交」魅力的な舞台
黒田康作は、2年前に映画「アマルフィ 女神の報酬」で演じた役。人気ドラマの映画化は多いが、逆は珍しい。
「外交官でありながら、別の秘密の顔も持つ男。まだまだいろんなことがやれそうな題材で、次々とアイデアを思いついてしまうんです」
映画では外務省邦人テロ対策室に属し、海外を渡り歩いていた黒田。ドラマでは冒頭で南米からアメリカへと飛んだ後、自殺した元同僚・霜村(香川照之)について調べるため、本省の中米カリブ課メキシコ室に異動する。
「外務省って、どなたかが『伏魔殿』とおっしゃってたけど、ドラマを作る側からすると、こんなに魅力的な舞台はない」。意欲がほとばしるような熱い口調で語る。
撮影に入った昨秋以後、現実の外交問題がしばしば新聞をにぎわしている。「台本を読んでいてもニュースが気になる。皆が知らない現実があるはずで、そのエキスを少しでも入れられたら、より深みが出てくると思う。午後10時という大人の時間帯だから、そういう毒気は入ってていいんじゃないかな」
(文・片山一弘 撮影・三輪洋子)
Q 海外ロケの撮影で苦労した点は?(和歌山県・平野章子)
A 外国語でセリフを覚えるだけでなく、芝居にしなくてはいけないのが大変です。相手のセリフのどこでリアクションするかも難しい。
Q 海外で赴任してみたい国は?
A やっぱり日本。年をとるごとに日本がいいなと思います。ただ、この前ベルリンに行ったら、都会のすぐ前に川や森があって素晴らしかった。東京も、そんな環境に近づけたいですね。
Q 以前、よく「40代が楽しみ」と発言していましたが、43歳になった今のご感想は?
A 気がついたら現場で年下の人が多くなったけれど、必ず年上の俳優さんもキャストに入れてくださいとお願いしています。やっぱり、学びたいという思いがあるから。
外交官・黒田康作(フジテレビ系 木曜後10・00)
アメリカで自殺した元同僚・霜村(香川照之)は、日本で殺人容疑をかけられていた。死んだはずの霜村を目撃した黒田(織田裕二)は日本に戻り、刑事・大垣(柴咲コウ)を相棒に調査を始める。
プロフィール
おだ・ゆうじ
1967年12月13日生まれ、神奈川県出身。87年、映画「湘南爆走族」で初主演。映画「踊る大捜査線」シリーズ、「椿三十郎」、ドラマ「東京ラブストーリー」「太陽と海の教室」など多数。