リフォーム徒然なるままに Reform turezure naru-mamani

我が家のリフォーム日記です。忘れないように記録していきます。参考になれば幸いです。

帰省した息子たちに持たせたもの

2007-05-06 14:09:30 | Weblog
帰省していた息子たちも、それぞれの勤務地に帰ったが、息子たちがそろって興味を示したのが、私がネットで購入した「投資信託にだまされるな!」川下美奈子著 ダイヤモンド社(税込み1575円)である。

連休にでも読もうと思っていたが、時間がなくて積ん読状態だった。

だいたい、内容は推測できていたし、ちらっと見た限りその推測に間違いはなかったので、ほしがった息子に、まだ読んでいなかったが持たせることにした。

これから人生をつくっていく息子たちの資産形成に役立つならば何よりである。

昔、私がまだ学生の頃のこと。
アルバイトして稼いだお金をどうしたらいちばん効率よく、しかも安全に増やせるのかを考えて決めたのが公社債投信。
そのころは、良く覚えていないが年利6%はあったと思う。
それを購入しにある証券会社に行ったときのこと。

私はまだ二十歳前後だったと思う。
公社債投信を購入して、証券会社を出ようとしたとき、中年のおじさんが、
「ぼうや、何を買ったんだ」
「そうか、公社債投信ならいいな」
「それ以外はだめだぞ」
と、まだ何も知らない私にアドバイスしてくれた。

私は、このおじさんの一言が今でも忘れることができない。

そして、息子たちにも言った。
投資信託は、高額な販売手数料と信託報酬がとられるから、よほど研究しない限り購入してはいけないと。

新聞などによると、アメリカでは投資信託の販売手数料は0が殆どとのこと。
そして、信託報酬も日本の1/2くらいとのこと。

今の若い人たちは、時間がないから勧められるままに気軽に投資信託を購入してしまうが、それはきわめてリスキーなことである。
常識を働かせてみれば分かる。

元本100万円で、販売手数料3%(最初だけ)と年間の信託報酬2%(毎年)がとられたら、1年目だけで元本が95万円に目減りする。
これを元金に戻すのには、少なくとも6%の年利がなければならない。

しかし、よく考えてみると6%の年利というのは、よほどリスキーな海外債券や海外株式、国内株式に投資しない限りあげられない利幅である。

若い人たちは、これから元気に働くことができるから、多少リスキーであっても(元金を減らすことがあっても)リベンジがきく。
しかし、私のようなリベンジがきかない歳になると、そんなリスクを負うことはできない。
いや、たとえ若い人たちであっても、その資金が結婚資金やマイホームの資金となる場合、元本を割ることはあってはならない。

ということは、こうした投資信託を購入しても良いのは、元金が減ってもリスクをとって元本が増えることを望んでいる一部の人たちか、元本は減ってもいいから年金代わりに毎月分配金を受け取るようにしてくれる利便性からである。

ただ、こうした投資信託の中には、手数料や信託報酬が0やかなり少ないものもあるようだ。
そうした投資信託を厳選して購入することは、意味があるだろう。

しかし、やはり話はもとへ戻る。
あのおじさんの一言である。
「ぼうや、公社債投信ならいいが、それ以外はだめだぞ」
公社債投信なら元金は限りなく安全に近い。
しかし、投資信託は元本割れがいつでも起こるのだ。

今の若い世代は、もうひとつ不利な条件におかれている。
それは、異常な低金利状態が続いているということだ。
先に書いたように、私が二十歳の頃は、公社債投信でも金利は6%くらいあった。
銀行の定期預金でも年利4%~5%の金利はついていた。

それが、あのバブル崩壊から異常な低金利状態となった。
その間に、家計が失った利子所得は3月23日のこのブログで書いた。
もう一度再掲すると、



(331兆円) / 4 600万 = 719.565217 万円

何の数字だかおわかりになるだろうか?

バブルの崩壊による超低金利によって、家計が15年間で失った1世帯あたりの平均的な利子収入である。
約720万円利子を得損なったのである。

日経の3月23日朝刊の記事によると、

日銀の福井総裁はバブル崩壊後の超低金利により家計が失った金利収入の累計が331兆円に上るとの試算を明らかにした。

とのこと。

この記事をもとに試算したのが冒頭の計算結果である。

つまり、331兆円が日本の家計が失った利子の総額。
4600万が日本の世帯数である。
世帯数は、ネットで調べればすぐ分かる。

今朝の日経をみて、瞬間的には思いも浮かばなかった額である。
何と1世帯あたり約720万円もの利子収入を得損なった

1991年に家計が得ていた利子をそのまま得ていたとすると、2005年までに1世帯あたり720万円もの損があったということだ。
森永卓郎の「120万円で暮らす」から考えると、何と6年分もの収入が失われたことになる。

計算は簡単である。
googleの検索窓に「331兆円/4600万」と入力して、検索ボタンを押せば、上記の結果が答えとして出てくる。
ただし、/は半角で入力する。

何でそんなことになったかは、みなさんよくご存じなので書かないが、怒りを通り越して、ただただ

あまりに、ショックなのでこれ以上書きたくないが、エクセルで計算した結果は以下のようになった。

①もし、5%の年利が15年間続いていたとすると、いくら元金があれば720万円になったか?
 答えは、約346万円である。(つまり、元金が約2.08倍になる)
②利子が、年利0.1%が15年間つづいていたとすると、同じくいくらあれば720万円になったか?
 答えは、約709万円である。(元金は、複利で計算しても1.05倍にしかならない)

つまり、346万円で年利5%の複利で利子が付けば、倍以上になる。
言い換えれば、低金利によって

720万円-346万円=374万円

346万円あれば、374万円もの利子が付いたのに、ほとんどゼロ。
346万円の倍つまり元金として692万円あれば、倍の744万円利子が付くことになり、計算が合う。
約700万円あって、複利で利子が年利5%ついていれば、我が家は720万円もの損失をしないで済んだことになる。



つまり、もしあのバブル崩壊がなければ、今の若者は投資信託というリスキーな金融商品を購入しなくても、そこそこの金利で自己資金を安定的に増やすことができたはずである。
もっというと、今の30歳前後の世代は、一番割を食っている。

我が国の金利がなぜ低いか。
それは、低金利の方が都合がいいからである。
特に、輸出企業は円安にふれるので都合がいい。

あのバブル崩壊もそもそも輸出企業が、円高だと利益を上げられないために、日銀が日銀券をじゃぶじゃぶ市中にばらまき、円安を進めた結果だと思っている。
日銀券がじゃぶじゃぶになったから、株や土地が際限なく高騰した。
ほんとうに、我が祖国は輸出し続けなければ生きていけないのだろうか。

もし、そうだとすると我が祖国の生きる道には構造的な欠陥があると考えるほかない。
しかし、そんなことはない。

江戸時代200年間、我が祖国は貿易で食べていただろうか?
鎖国状態の我が国には、むしろ世界最先端の金融市場があった。
(「物語で読み解くデリバティブ入門」森平爽一郎著 日本経済新聞出版社2007年3月による)
そして、世界最先端のエコ社会を築いていたのである。

つまり、バブルは意図的に作られたのである。
投資信託を購入して誰が一番儲かるか。
売り手の証券会社や銀行である。
バブルで一番助かったのは誰か。
輸出企業である。

我々は、際限のない欲望に別れを告げるときに来たのではないだろうか。
そして、開国時に来た何人もの外国人が異口同音に述べた、
「なんと礼儀正しい人々が多いのだろう」
という言葉をもう一度思い出してみる必要があると思う。