日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(1292)「先生不知何許人」について。

2023-04-28 18:08:46 | 漢文の文法

(01)
 [例]先生不何許人
[読み]先生は何許の人なるかを知らず。
 [訳]先生がどこの出身の人であるかは分からない。〈陶潜・五柳先生伝〉
 (注)この文の「先生」は主文の主語ではなく、名詞節の主語である。意味内容からすれば、「我不先生何許」ということだが。
この文のように表現するから注意を要する
(天野成之、漢文基本語辞典、1999年、60頁)
然るに、
(02)
① 鳥吾知其能飛=
① 鳥吾知(其能飛)⇒
① 鳥吾(其能飛)知=
① 鳥については、私は、飛べることを知ってゐる。
(史記、老子韓非列伝)
従って、
(02)により、
(03)
② 鳥吾不知其能飛=
② 鳥吾不〔知(其能飛)〕⇒
② 鳥吾〔(其能飛)知〕不=
② 鳥については、私は、飛べることを知らない。
然るに、
(04)
② 鳥吾不知其能飛。
に於いて、
 鳥=先生
能飛=何許人
といふ「代入」を行ふと、
③ 先生吾不知其何許人=
③ 先生吾不〔知(其何許人)〕⇒
③ 先生吾〔(其何許人)知〕不=
③ 先生は、吾〔(其の何許人ならかを)知ら〕不=
③ 先生については、私は、どこの出身の人であるかは分からない。
といふ「漢文」になる。
従って、
(01)~(04)により、
(05)
③ 先生_不知_何許人。
といふ「漢文」は、
③   吾  其
が「省略」されてゐる。
といふ風に、「解釈」出来るし、そのため、
③ 先生吾不知其何許人。
に於いて、
③ 先生=其
である。
然るに、
(06)
③ 先生吾不知其何許人。
③ 先生=其
であるといふことは、
③ 吾不〔知(先生何許人)〕。
といふこと、すなはち、
③ 我不先生何許
といふことに、他ならない。


(1291)「象は鼻が長い(象は動物である)」の「述語論理」。

2023-04-28 15:54:03 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
① 象は動物である。
② 象には鼻がある。
③ 象の鼻は動物の鼻である。
といふ「日本語」は、
① ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx)}。
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&動物x)}。
といふ「論理式」、すなはち、
① すべてのxについて(xが象であるならば、xは動物である)。
② すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻である)}。
③ すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、xは動物である)}。
といふ「論理式」に「相当」する。
然るに、
(02)
1   (1)∀x(象x→動物x)         A
 2  (2)∀x(象x→∃y(鼻yx)}     A
1   (3)   象a→動物a          1UE
 2  (4)   象a→∃y(鼻ya)      2UE
  5 (5)   象a              A
1 5 (6)      動物a          35MPP
125 (7)      ∃y(鼻ya)      46MPP
   8(8)         鼻ba       A
1258(9)         鼻ba&動物a   68&I
1258(ア)      ∃y(鼻ya&動物a)  9EI
125 (イ)      ∃y(鼻ya&動物a)  78アEE
12  (ウ)   象a→∃y(鼻ya&動物a)  5イCP
12  (エ)∀x{象x→∃y(鼻yx&動物x)} ウUI
従って、
(01)(02)により、
(03)
① 象は動物である。然るに、
② 象には鼻がある。従って、
③ 象の鼻は動物の鼻である。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
① 象は動物である。
② ∀x(象x→動物x)。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
① 象は鼻長い(が、鼻以外は長くない)。
② 兎は耳は長い(が、耳は、鼻ではない)。
③ 象は兎ではない。
といふ「日本語」は、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ∀x{兎x→∃z(耳zx&長z&~鼻zx)}。
③ ∀x(象x→~兎x)。
といふ「論理式」、すなはち、
① すべてのxについて{xが象であるならば、あるyは(xの鼻であって、長く)、すべてのzについて(zがxの鼻ではないならば、zは長くない)}。
② すべてのxについて{xが兎であるならば、あるzは(xの耳であって、長いが、zは鼻ではない)}。
③ すべてのxについて(xが象であるならば、xは兎ではない)。
といふ「論理式」に「相当」する。
然るに、
(06)
1      (1) ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
 2     (2) ∀x{兎x→∃z(耳zx&~鼻zx&長z)}         A
  3    (3) ∃x(象x&兎x)                      A
1      (4)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)  1UE
 2     (5)    兎a→∃z(耳za&~鼻za&長z)          2UE
   6   (6)    象a&兎a                       A
   6   (7)    象a                          6&E
   6   (8)       兎a                       6&E
1  6   (9)                  ∀z(~鼻za→~長z)  47MPP
1  6   (ア)                     ~鼻ba→~長b   9UI
 2 6   (イ)       ∃z(耳za&~鼻za&長z)          58MPP
    ウ  (ウ)          耳ba&~鼻ba&長b           A
    ウ  (エ)              ~鼻ba              ウ&E
    ウ  (オ)                   長b           ウ&E
1  6ウ  (カ)                          ~長b   アエMPP
1  6ウ  (キ)                   長b&~長b       オカ&I
12 6   (ク)                   長b&~長b       イウキEE
123    (ケ)                   長b&~長b       36クEE
12     (コ)~∃x(象x&兎x)                      3ケRAA
12     (サ)∀x~(象x&兎x)                      コ量化子の関係
12     (シ)  ~(象a&兎a)                      サUE
     ス (ス)    象a                          A
      セ(セ)       兎a                       A
     スセ(ソ)    象a&兎a                       スセ&I
12   スセ(タ)  ~(象a&兎a)&(象a&兎a)              シソ&I
12   ス (チ)      ~兎a                       セタRAA
12     (ツ)   象a→~兎a                       スチCP
12     (テ)∀x(象x→~兎x)                      ツUI
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 象は鼻長い(が、鼻以外は長くない)。然るに、
② 兎は耳は長い(が、耳は、鼻ではない)。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳は長い。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「妥当」であるならば、
① 象は鼻が長い。
② 兎は耳は長い。
といふ「日本語」は、
① 象は鼻が長い(が、鼻以外は長くない)。然るに、
② 兎は耳は長い(が、耳は、鼻ではない)。従って、
といふ「日本語」に「等しい」。
然るに、
(09)
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳は長い。従って、
③ 象は兎ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(08)(09)により、
(10)
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
① 象は鼻が長い(が、鼻以外は長くない)。 といふ「日本語」に「等しい」。
従って、
(05)(10)により、
(11)
① 象は鼻長い。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)(11)により、
(12)
① 象は動物である。
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
② ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」に「相当」する。
従って、
(12)により、
(13)
① 象動物である。
① 象鼻が長い。
といふ「日本語」に於ける、
① 象
① 象
は、「両方」とも、
② ∀x(象x→
② ∀x{象x→
といふ風に、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、
① すべてのxについて、xが象であるならば、
といふ風に、「翻訳」出来る。
従って、
(14)
① 象は動物である。に於ける、
① 象は が、「主語」であるならば、
① 象は鼻長い。 に於ける、
① 象は も、「主語」である。
然るに、
(15)
① すべてのxについて、xが象であるならば、
① すべてのxについて、xが象であるならば、
といふことは、敢へて、言ふと、
① 象についていうと、
① 象についていうと、
といふことである。
然るに、
(16)
1 「象は鼻長い」という例文
三上章は『象は鼻が長い』という本を書いて、日本語には主語がないと主張しました。
「象は鼻が長い」という文の「象は」というのは主語ではなく、主題なのだという主張でした。助詞「は」がつく語は主題になります。
「は」は文の区切りになるようです。
「象は鼻が長い」の「象は」という主題は、「象についていうと」という意味になります。「象は」のあとに主題についての解説が続くというのが、この文の構造のようです。
(投稿日: 2017-02-08 作成者: 丸山有彦)
従って、
(15)(16)により、
(17)
① 象は動物である。に於ける、
① 象は が、「主題」であるならば、
① 象は鼻が長い。 に於ける、
① 象は も、「主題」である。
従って、
(12)(14)(17)により、
(18)
② ∀x(象x→動物x)。
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「論理式」に「相当」する所の、
① 象は動物である。
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」に於ける、
① 象は
① 象は
①「主」であると言へば、「主」であるし、
①「主」であると言へば、「主」である。