日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(848)「述語論理の、最大の難所(eigenvariable 条件)」の具体例(Ⅱ)。

2021-03-23 21:25:47 | 論理

(01)
112 ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
1  (1)∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2 (2)∀x(Fx)        A
 2 (3)   Fa         1UE
 2 (4)   Fa∨Ga      3∨I
 2 (5)∀x(Fx∨Gx)     4UI
  6(6)       ∀x(Gx) A
  6(7)          Ga  6UE
  6(8)       Fa∨Ga  7∨I
  6(9)    ∀x(Fx∨Gx) 8UI
1  (ア)∀x(Fx∨Gx)     12569∨E
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155頁)
然るに、
(02)
(ⅰ)
1     (1)∀x(Fx∨ Gx)  A
1     (2)   Fa∨ Ga   1UE
 3    (3)  ~Fa&~Ga   A
  4   (4)   Fa       A
 3    (5)  ~Fa       3&E
 34   (6)   Fa&~Ga   45&I
  4   (7)~(~Fa&~Ga)  36RAA
   8  (8)       Ga   A
 3    (9)      ~Ga   3&E
 3 8  (ア)   Ga&~Ga   89&I
   8  (イ)~(~Fa&~Ga)  3アRAA
1     (ウ)~(~Fa&~Ga)  2478イ∨E
    エ (エ)  ~Fa       A
     オ(オ)      ~Ga   A
    エオ(カ)  ~Fa&~Ga   エオ&I
1   エオ(キ)~(~Fa&~Ga)&
          (~Fa&~Ga)  ウカ&I
1   エ (ク)     ~~Ga   オキRAA
1   エ (ケ)       Ga   クDN
1     (コ)   ~Fa→Ga   エケCP
1     (サ)∀x(~Fx→Gx)  コUI
(ⅱ)
1     (1)∀x(~Fx→Gx)  A
1     (2)   ~Fa→Ga   1UE
 3    (3)  ~(Fa∨Ga)  A
  4   (4)    Fa      A
  4   (5)    Fa∨Ga   4∨I
 34   (6)  ~(Fa∨Ga)&
            (Fa∨Ga)  35&I
 3    (7)   ~Fa      46RAA
13    (8)       Ga   27MPP
13    (9)    Fa∨Ga   8∨I
13    (ア)  ~(Fa∨Ga)&
            (Fa∨Ga)  39&I
1     (イ) ~~(Fa∨Ga)  3アRAA
1     (ウ)   (Fa∨Ga)  イDN
1     (オ) ∀x(Fx∨Gx)  ウUI
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x( Fx∨Gx)
② ∀x(~Fx→Gx)
に於いて、
①=② である(含意の定義)。
(01)(02)(03)により、
(04)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x( Fx∨Gx)
② ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(~Fx→Gx)
に於いて、
①=② である。
従って、
(04)により、
(05)
② ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(~Fx→Gx)
といふ「連式」が「妥当」であるため、次の「計算」は、「妥当」である。
1    (1)  ∀x(Fx)∨∀x(Gx) A
 2   (2)  ∀x(Fx)        A
 2   (3)~~∀x(Fx)        2DN
 2   (4)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 3∨I
  5  (5)         ∀x(Gx) A
  5  (6)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 5∨I
1    (7)~~∀x(Fx)∨∀x(Gx) 12456∨E
1    (8) ~∀x(Fx)→∀x(Gx) 7含意の定義
   9 (9) ∃x(~Fx)        A
   9 (ア) ~∀x(Fx)        9量化子の関係
1  9 (イ)         ∀x(Gx) 8アMPP
1    (ウ) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 9イCP
    エ(オ)    ~Fa         A
    エ(カ) ∃x(~Fx)        オEI
1   エ(キ)         ∀x(Gx) ウカMPP
1   エ(ク)            Ga  キUE
1    (ケ)    ~Fa→Ga      エクCP
1    (コ) ∀x(~Fx→Gx)     ケUI
従って、
(05)により、
(06)
1    (ウ) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 9イCP
    エ(オ)    ~Fa         A
    エ(カ) ∃x(~Fx)        オEI
1   エ(キ)         ∀x(Gx) ウカMPP
1   エ(ク)            Ga  キUE
1    (ケ)    ~Fa→Ga      エクCP
1    (コ) ∀x(~Fx→Gx)     ケUI
といふ「計算」は、「妥当」である。
従って、
(06)により、
(07)
1 (1) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) A
 2(2)    ~Fa         A
 2(3) ∃x(~Fx)        2EI
12(4)         ∀x(Gx) 13MPP
12(5)            Ga  4UE
1 (6)   ~Fa→Ga       25CP
1 (7)∀x(~Fx→Gx)      6UI
といふ「計算」は、「妥当」である。
従って、
(07)により、
(08)
1 (1) ∃x(~偶数x)→∀x(奇数x) A
 2(2)    ~偶数a          A
 2(3) ∃x(~偶数x)         2EI
12(4)          ∀x(奇数x) 13MPP
12(5)             奇数a  4UE
1 (6)   ~偶数a→奇数a       25CP
1 (7)∀x(~偶数x→奇数x)      6UI
といふ「計算」は、「妥当」である。
然るに、
(09)
 2(2)   ~偶数a  A
 2(3)∃x(~偶数x) 2EI
といふ「2行」は、
(2)「任意の数a」が「偶数」ではないので、
(3)「偶数ではない数x」が存在する。
といふことを、述べてゐる。
然るに、
(10)
12(4)∀x(奇数x) 13MPP
12(5)   奇数a  4UE
といふ「2行」は、
(4)「すべての数」は「奇数」であるため、
(5)「任意の数a」は「奇数」である。
といふことを、述べてゐる。
従って、
(09)(10)により、
(11)
 2(2)   ~偶数a  A
 2(3)∃x(~偶数x) 2EI
12(4)∀x( 奇数x) 13MPP
12(5)    奇数a  4UE
といふ「4行」は、
(a)「任意の数a」が「偶数」ではないので、「偶数ではない数x」が存在する。
(b)「すべての数」は「奇数」であるため、 「任意の数a」も「奇数」である。
といふことを、述べてゐる。
然るに、
(12)
(a)「任意の数a」が「偶数」ではないので、「偶数ではない数x」が存在する。
(b)「すべての数」は「奇数」であるため、 「任意の数a」も「奇数」である。
といふ「命題」は、明らかに、「真」である。
然るに、
(13)
(b)「すべての数」は「奇数」であるため、「任意の数a」も「奇数」である。
といふ「命題」に対して、
(c)  「ある数」は「奇数」であるため、「任意の数a」も「奇数」である。
といふ「命題」は、「真」では、有り得ない。
然るに、
(14)
(c)「ある数」は「奇数」であるため、「任意の数a」も「奇数」である。
といふ「命題」は、「真」では、有り得ないが、仮に
(c)「ある数」は「奇数」であるため、「任意の数a」も「奇数」である。
といふ「命題」が、「真」であるならば、
1 (1) ∃x(~偶数x)→∃x(奇数x) A
 2(2)    ~偶数a          A
 2(3) ∃x(~偶数x)         2EI
12(4)          ∃x(奇数x) 13MPP
12(5)             奇数  A
1 (6)   ~偶数a→奇数a       25CP
1 (7)∀x(~偶数x→奇数x)      6UI
といふ「計算」は、「妥当」である。
といふことに、ならざるを得ない。
従って、
(13)(14)により、
(15)
1 (1) ∃x(~偶数x)→∃x(奇数x) A
 2(2)    ~偶数a          A
 2(3) ∃x(~偶数x)         2EI
12(4)          ∃x(奇数x) 13MPP
12(5)             奇数 4UE
1 (6)   ~偶数a→奇数a       25CP
1 (7)∀x(~偶数x→奇数x)      6UI
といふ「計算」は、「妥当」ではない。
然るに、
(16)
1 (1) ∃x(~偶数x)→∃x(奇数x) A
 2(2)    ~偶数a          A
 2(3) ∃x(~偶数x)         2EI
12(4)          ∃x(奇数x) 13MPP
12(5)             奇数  A
1 (6)   ~偶数a→奇数a       25CP
1 (7)∀x(~偶数x→奇数x)      6UI
といふ「計算(マチガイ)」は、「eigenvariable 条件」に対する「違反の、具体例」である。
然るに、
(17)
矢田部俊介先生曰く:
UIに対する制限eigenvariable 条件)」は、「述語論理最大の難所」であって、これ本当にねぇ、わけわかんないですよね。僕は、初めてこれを習ったとき、見たとき、何のことか、全く理解できなかったんですよ。
との、ことである。


(847)「述語論理の、最大の難所(eigenvariable 条件)」の具体例。

2021-03-23 17:49:43 | 論理

(01)
矢田部俊介先生曰く:
UIに対する制限eigenvariable 条件)」は、「述語論理最大の難所」であって、これ本当にねぇ、わけわかんないですよね。僕は、初めてこれを習ったとき、見たとき、何のことか、全く理解できなかったんですよ
然るに、
(02)
1    (1)  ∀x(偶x)∨∀x(奇x) A
 2   (2)  ∀x(偶x)        A
 2   (3)~~∀x(偶x)        2DN
 2   (4)~~∀x(偶x)∨∀x(奇x) 3∨I
  5  (5)         ∀x(奇x) A
  5  (6)~~∀x(偶x)∨∀x(奇x) 5∨I
1    (7)~~∀x(偶x)∨∀x(奇x) 12456∨E
1    (8) ~∀x(偶x)→∀x(奇x) 7含意の定義
   9 (9) ∃x(~偶x)        A
   9 (ア) ~∀x(偶x)        9量化子の関係
1  9 (イ)         ∀x(奇x) 8アMPP
1    (ウ) ∃x(~偶x)→∀x(奇x) 9イCP
    エ(オ)    ~偶a         A
    エ(カ) ∃x(~偶x)        オEI
1   エ(キ)         ∀x(奇x) ウカMPP
1   エ(ク)            奇a  キUE
1    (ケ)    ~偶a→奇a      エクCP
1    (コ) ∀x(~偶x→奇x)     ケUI
従って、
(02)により、
(03)
① ∀x(偶数x)∨∀x(奇数x)
② ∀x(~偶数x→奇数x)
に於いて、
① ならば、② である。
従って、
(03)により、
(04)
日本語」で言ふと、
①「すべての数は偶数である。」か、または「すべての数は奇数である。」
②「すべての数は、偶数でないならば、奇数である。」
に於いて、
① ならば、② である。
然るに、
(05)
①「すべての数は偶数である。」
②「ある数xは、偶数でない。」
に於いて、
① と ② は、「矛盾」する。
従って、
(05)により、
(06)
①「すべての数は偶数である。」
②「ある数xは、偶数でない。」
に於いて、
② であるならば、① ではない
従って、
(04)(05)(06)により、
(07)
①「すべての数は偶数である。」か、または「すべての数は奇数である。」
であるとして、
②「任意の数が、偶数でない。」ならば、 「すべての数は奇数である。」
cf.
選言三段論法(Disjunctive syllogism)」
然るに、
(08)
②「すべての数が奇数である。」ならば、 「任意の数は、奇数である。」
従って、
(07)(08)により、
(09)
①「すべての数は偶数である。」か、または「すべての数は奇数である。」
であるとして、
②「任意の数が、偶数でない。」ならば、 「任意の数は、奇数である。」
従って、
(09)により、
(10)
①「すべての数は偶数である。」か、または「すべての数は奇数である。」
であるとして、
②「すべての数任意の数)は、偶数でないならば、奇数である。」
従って、
(02)~(10)により、
(11)
①「すべての数は偶数である。」か、または「すべての数は奇数である。」
②「すべての数任意の数)は、偶数でないならば、奇数である。」
に於いて、
① ならば、② である。
といふことは、「日本語」で考へたとしても、「妥当」である。
cf.
① は、当然、「普通の数学」としては、「偽(ウソ)」であるが、
② は、当然、「普通の数学」としても、「真(本当)」であるが、
然るに、
(12)
① ∀x(偶数x)∨∀x(奇数x)
③ ∀x(偶数x)∨∃x(奇数x)
に於いて、
① ではなく、
③ であるため、「次の計算(13)」は、「マチガイ」である。
(13)
1     (1)  ∀x(偶x)∨∃x(奇x) A
 2    (2)  ∀x(偶x)        A
 2    (3)~~∀x(偶x)        2DN
 2    (4)~~∀x(偶x)∨∃x(奇x) 3∨I
  5   (5)         ∃x(奇x) A
  5   (6)~~∀x(偶x)∨∃x(奇x) 5∨I
1     (7)~~∀x(偶x)∨∃x(奇x) 12456∨E
1     (8) ~∀x(偶x)→∃x(奇x) 7含意の定義
   9  (9) ∃x(~偶x)        A
   9  (ア) ~∀x(偶x)        9量化子の関係
1  9  (イ)         ∃x(奇x) 8アMPP
1     (ウ) ∃x(~偶x)→∃x(奇x) 9イCP
    エ (エ)    ~偶         A
    エ (オ) ∃x(~偶x)        エEI
1   エ (カ)         ∃x(奇x) ウオMPP
    エ (キ)            奇  A
1     (ク)    ~偶a→奇a      エキCP
1     (ケ) ∀x(~偶x→奇x)     クUI(は、マチガイである。)
(14)
(ⅰ)
{a,b,c}の{3つ}が{すべての数}であるとして、
A君は、{}だけしか持ってゐなくて、
B君は、{}のすべてを持ってゐるとする。
(ⅱ)
A君は、{}を、テーブルの上に置いたとして、
それ見て、
B君も、{}を、テーブルの上に置いたとして、このときは、
(ⅲ)
}={
なので、「セーフ」である。
といふ、「ルール」があるとする。
(15)
(ⅳ)
{a,b,c}の{3つ}が{すべての数}であるとして、
A君は、{}だけしか持ってゐなくて、
B君は、{}だけしか持ってゐないとする。
(ⅴ)
A君は、{}を、テーブルの上に置いたとして、
それ見た、
B君は、止むを得ず
    {}を、テーブルの上に置いたとして、このときは、
}≠{
なので、「アウト」とする。
といふ、「ルール」があるとする。
然るに、
(02)(13)(14)(15)により、
(16)
(13)に於ける、
    エ (エ)    ~偶a         A
    エ (キ)            奇  A
といふ「行」を、
    エ (エ)    ~偶a         A
    エ (キ)            奇  A
といふ風に、書き直すならば、
(ⅴ)
A君は、{}を、テーブルの上に置いたとして、
それ見た、
B君は、止むを得ず
    {}を、テーブルの上に置いたとして、このときは、
}={
ではないので、「アウト」である。
といふ「比喩」を、用ひることが、出来る。
従って、
(02)(11)~(16)により、
(17)
① ∀x(偶数x)∨∀x(奇数x)├ ∀x(~偶数x→奇数x)
② ∀x(偶数x)∨∃x(奇数x)├ ∀x(~偶数x→奇数x)
といふ「連式(Sequents)」に於いて、
① は、「ルール(eigenvariable 条件)」を満たしてゐるが、
② は、「ルール(eigenvariable 条件)」を満たしてゐない


(846)「述語論理」は「難解である」。

2021-03-23 13:16:24 | 論理

 ―「昨日(令和03年03月22日)の記事」を、書き直します。―
(01)
(ⅰ)「すべての数は偶数である。」か、または「すべての数は奇数である。」然るに、
(ⅱ)「すべての数は偶数である。」ではない。従って、
(ⅲ)「すべての数は奇数である。」
といふ「推論」は、「選言三段論法(Disjunctive syllogism)」である。
従って、
(01)により、
(02)
「記号」で書くと、
(ⅰ) ∀x(Fx)∨∀x(Gx)。然るに、
(ⅱ)~∀x(Fx)。従って、
(ⅲ) ∀x(Gx)。
といふ「推論」は、「選言三段論法(Disjunctive syllogism)」である。
然るに、
(03)
演繹定理(Deduction theorem)は次のように表現される。
定理2.2 A と B は論理式で、Γ は論理式の有限の列であるとする。もし、
 Γ,A├ B
ならば、
 Γ├ A→B
である(長尾真・淵一博、論理と意味、1983年、40頁)。
従って、
(02)(03)により、
(03)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx), ~∀x(Fx)├ ∀x(Gx)
② ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ~∀x(Fx)→ ∀x(Gx)
といふ「連式(Sequents)」に於いて、
① は、「三段論法」として「妥当」であり、
② は、「演繹定理」として「妥当」である。
然るに、
(04)
(ⅱ)
1    (1) ~∀x(Fx)→∀x(Gx) A
 2   (2) ∃x(~Fx)        A
 2   (3) ~∀x(Fx)        2量化子の関係
12   (4)         ∀x(Gx) 13MPP
1    (5) ∃x(~Fx)→∀x(Gx) 24CP
  6  (6) ∃x(~Fx&~Gx)    A
   7 (7)    ~Fa&~Ga     A
   7 (8)    ~Fa         7&E
   7 (9) ∃x(~Fx)        8EI
  6  (ア) ∃x(~Fx)        679EE
1 6  (イ)         ∀x(Gx) 5アMPP
1 6  (ウ)            Ga  イUI
   7 (エ)           ~Ga  7&E
1 67 (オ)        Ga&~Ga  ウエ&I
1 6  (カ)        Ga&~Ga  67オEE
1    (キ)~∃x(~Fx&~Gx)    6カRAA
1    (ク)∀x~(~Fx&~Gx)    キ量化子の関係
1    (ケ)  ~(~Fa&~Ga)    クUE
1    (コ)     Fa∨ Ga     ケ、ド・モルガンの法則
1    (サ)  ∀x(Fx∨ Gx)    コUI
従って、
(04)により、
(05)
③ ~∀x(Fx)→∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
従って、
(03)(05)
(06)
②  ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ~∀x(Fx)→∀x(Gx)
③ ~∀x(Fx)→∀x(Gx)├  ∀x(Fx∨Gx)
といふ「連式(Sequents)」は、「妥当」である。
従って、
(06)により、
(07)
∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ~∀x(Fx)→ ∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」であり、それ故、「推移律」により、
∀x(Fx)∨∀x(Gx)∀x(Fx∨Gx)
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
(ⅰ) ∀x(Fx)∨∀x(Gx)。然るに、
(ⅱ)~∀x(Fx)。従って、
(ⅲ) ∀x(Gx)。
といふ「推論(選言三段論法)」が「妥当」である。が故に、
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
といふ「連式(Sequent)」は、「妥当」である。
然るに、
(09)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
に対して、その「逆の連式」に関しては、
逆の連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx) は妥当ではない
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155頁)
従って、
(09)により、
(10)
① ∀x(Fx)∨∀x(Gx)├ ∀x(Fx∨Gx)
② ∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx)
に於いて、
① は「妥当」であるが、
② は「妥当」ではない。
従って、
(10)により、
(11)
1  (1)∀x(偶x∨奇x)     A
1  (2)   偶a∨奇a      1UE
 3 (3)   偶         A
 3 (4)∀x(偶)        3UI
 3 (5)∀x(偶x)∨∀x(奇x) 4∨I
  6(6)      奇      A
  6(7)       ∀x(奇) 6UI
  6(8)∀x(偶x)∨∀x(奇x) 7∨I
1  (9)∀x(偶x)∨∀x(奇x) 23568∨E
といふ「計算(11)」は、実際には、「 マチガイ」である。
すなはち、
(12)
「すべての正の整数は、偶数であるか、または、奇数である」が、
「すべての正の整数が偶数であるか、または、すべての正の整数が奇数である」というわけではない。
この場合には、
この連式、∀x(Fx∨Gx)├ ∀x(Fx)∨∀x(Gx)を証明しようとする自然な試みをさしとめるのは、UIに対する制限である。
1 (1)∀x(Fx∨Gx) A
1 (2)   Fa∨Ga  1UE
 3(3)   F     A
        Fa∨Gaを(1)から結論し、そして第1の選言項 Fa を(3)の行に仮定する。しかし(3)は を含む故、ここで、
     ∀x(Fx)を結論することをさしとめられる。この段階が許されるとするならば、
     ∀x(Fx)∨∀x(Gx)を ∨I によって結論し、つぎに Ga からも同じことを結論することができるであろう。
     そして ∨E によって不当な連式が作り出されるであろう。
(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英 訳、1973年、155・156頁)
然るに、
(13)
京都大学文学部・矢田部俊介先生は、ユーチューブの中で、「UIに対する制限(eigenvariable 条件)」は、「述語論理最大の難所」であって、「これ本当にねぇ、わけわかんないですよね。僕は、初めてこれを習ったとき、見たとき、何のことか、全く理解できなかったんですよねこれ。」といふ風に、言はれてゐる。
尚且つ、
(14)
1  (1)∀x(偶x∨奇x)     A
1  (2)   偶a∨奇a      1UE
 3 (3)   偶         A
 3 (4)∀x(偶)        3UI
の場合は、「UIに対する制限(eigenvariable 条件)」は、「∨E(選言除去の規則)」との「合はせ技」なので、「猶のこと難しい」。
(15)
「E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野 楢英、論理学初歩」の「書評」を見ると、「難解です。」と書かれてゐる方がゐるものの、「E.J.レモン 著、論理学初歩」は、「それなりに難解」である上に、「惜しむらく」は、「練習問題」に対する「解答」が無いことである。