日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(676)「排中律」の「述語論理」。

2020-07-03 15:58:35 | 論理

(01)
誤謬の最も直接的な形は、次の「証明」に見られる。
1(1)  F A
1(2)∀xFx 1UI
たとえば、F を奇数であると解釈し、数の世界において、任意に奇数、たとえば3を選ぶとしよう。その結果は F は真となる。しかしここから、すべての数は奇数であるということ―これはであるが―明らかに帰結しない。(1)から(2)への進みは、制限によってはばまれる。なぜなら、(1)はそれ自身に依存し、そしてそのなかには「」が現われるからである。
(E.J.レモン 著、武生治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、140頁)
然るに、
(02)
F=奇数
{すべての数}={1,2,3}
であるとして、
① ∀xFx
②{F1&F2&F3}
③{すべての整数は、奇数である。}
④{1は奇数であって、2は奇数であって、3は奇数である。}
に於いて、
①=②=③=④である。
然るに、
(03)
④{1は奇数であって、奇数であって、3は奇数である。}
⑤{1は奇数であるが、偶数であって、3は奇数である。}
に於いて、
④ は「(ウソ)」であって、
⑤ は「真(本当)」である。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
1(1)  F A
1(2)∀xFx 1UI
といふ「計算」は、確かに、「誤謬(fallacy)」である。
然るに、
(05)
1 (1) ~(Fa∨~Fa)  A
 2(2)   Fa       A
 2(3)   Fa∨~Fa   2∨I
12(4) ~(Fa∨~Fa)&
       (Fa∨~Fa)  12&I
1 (5)  ~Fa       24RAA
1 (6)   Fa∨~Fa   5∨I
1 (7) ~(Fa∨~Fa)&
       (Fa∨~Fa)  16&I
  (8)~~(Fa∨~Fa)  17RAA
  (9)  (Fa∨~Fa)  8DN
  (ア)∀x(Fx∨~Fx)  9UI
然るに、
(06)
F=奇数
{すべての数}={1,2,3}
であるとして、
① ∀x(Fx∨~Fx)
②{すべての整数は、奇数、偶数である。}
③{(F1∨~F1)&(F2∨~F2)&(F3∨~F3)}
④{(1は奇数、偶数であり)、(2は奇数、偶数であり)、(3は奇数、偶数である)。}
に於いて、
①=②=③=④である。
然るに、
(07)
③(1は奇数か、または、偶数である。)は「真(本当)」であって、
③(2は奇数か、または、偶数である。)は「真(本当)」であって、
③(3は奇数か、または、偶数である。)は「真(本当)」である。
従って、
(05)(06)(07)により、
(08)
1 (1) ~(Fa∨~Fa)  A
 2(2)   Fa       A
 2(3)   Fa∨~Fa   2∨I
12(4) ~(Fa∨~Fa)&
       (Fa∨~Fa)  12&I
1 (5)  ~Fa       24RAA
1 (6)   Fa∨~Fa   5∨I
1 (7) ~(Fa∨~Fa)&
       (Fa∨~Fa)  16&I
  (8)~~(Fa∨~Fa)  17RAA
  (9)  (Fa∨~Fa)  8DN
  (ア)∀x(Fx∨~Fx)  9UI
といふ「計算」は、「正しい」。
然るに、
(09)
1(1)  F A
1(2)∀xFx 1UI
の場合は、
 (1)の「左」には、1があり、(1)には、Fがあるため、(1)にはがある。
 (2)の「左」には、1があり、(1)には、Fがあるため、(1)にはがある。
ものの、これに対して、
  (9)  (Fa∨~Fa)  8DN
  (ア)∀x(Fx∨~Fx)  9UI
の場合は、
  (9)の「左」には、「何も無い」し、
  (ア)の「左」にも、「何も無い」。
従って、
(01)(09)により、
(10)
1(1)  F A
1(2)∀xFx 1UI
は「反則」であるが、
  (9)  (Fa∨~Fa)  8DN
  (ア)∀x(Fx∨~Fx)  9UI
は「反則」ではない
然るに、
(11)
因みに言ふと、
(ⅰ)
1(1)  Fa A
1(2)∃xFx 1EI
(ⅱ)
1 (1)∃xFx A
 2(2)  Fa A
(ⅲ)
1(1)∃xFx A
1(2)  Fa A
(ⅳ)
1  (1)      Fa  A
 2 (2)    ∃xGx  A
  3(3)      Ga  A
1 3(4)   Fa&Ga  13&I
1 3(5)∃x(Fx&Gx) 3EI
12 (6)∃x(Fx&Gx) 235EE
に於いて、
(ⅰ)は「正しい」。
(ⅱ)も「正しい」。
(ⅲ)は「正しくない」。
(ⅳ)も「正しくない」。


(675)「xが偶数で、x=yならば、yも偶数である」の「述語論理」。

2020-07-03 07:29:35 | 論理

(01)
(ⅰ)
1  (1)     偶a&(a=b)      A
1  (2)     偶a            1&E
1  (3)         a=b       1&E
1  (4)     偶b            23=E
   (5)     偶a&(a=b)→偶b   14CP
 6 (6)             ~偶b   A
 6 (7)   ~[偶a&(a=b)]     56MTT
 6 (8)    ~偶a∨(a≠b)      7ド・モルガンの法則
 6 (9)     偶a→(a≠b)      8含意の定義
    (ア)~偶b→[偶a→(a≠b)]     69CP
   イ(イ) 偶a&~偶b            A
   イ(ウ)~偶b                イ&E
   イ(エ)    [偶a→(a≠b)]     アウMPP
   イ(オ)     偶a            イ&E
   イ(カ)        (a≠b)      エオMPP
    (キ) 偶a&~偶b→(a≠b)      イカCP
    (ク)  ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} キUI
    (ケ)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} クUI
(ⅱ)
   (1)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} TI(定理導入の規則)
   (2)  ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} 1UE
   (3)     偶a&~偶b→(a≠b)  2UE
 4 (4)             a=b   A
 4 (5)           ~(a≠b)  4DN
 4 (6)   ~(偶a&~偶b)       35MTT
 4 (7)    ~偶a∨ 偶b        6ド・モルガンの法則
 4 (8)     偶a→ 偶b        7含意の定義
   (9)    (a=b)→(偶a→偶b)  48CP
  ア(ア) 偶a&(a=b)          A
  ア(イ)    (a=b)          ア&E
  ア(ウ)           偶a→偶b   9イMPP
  ア(エ) 偶a                ア&E
  ア(オ)              偶b   ウエMPP
   (カ)     偶a&(a=b)→偶b   アオCP
   (キ)  ∀y{偶a&(a=y)→偶y}  カUI
   (ク)∀x∀y{偶x&(x=y)→偶y}  キUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)}
② ∀x∀y{偶x&(x=y)→  偶y}
に於いて、すなはち、
① すべてのxとyについて{xが偶数であって、yが偶数でないならば、xとyは「同じ数」ではない}。
② すべてのxとyについて{xが偶数であって、xとyが「同じ数」であるならば、yも偶数である}。
といふ「述語論理式」は、「恒真(トートロジー)」である。
従って、
(02)により、
(03)
① xが偶数であって、yが偶数でないならば、xとyは「異なる数」である。
② xが偶数であって、xとyが「同じ数」であるならば、yも偶数である。
といふ「常識」は、「述語論理式」としても、「正しい」。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1 (1)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} A
1 (2)  ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} 1UE
1 (3)     偶a&~偶b→(a≠b)  1UE
 4(4)     偶a&(a=b)      A
 4(5)     偶a            4&E
 4(5)        (a=b)      4&E
 4(6)           ~(a≠b)  5DN
14(7)   ~(偶a&~偶b)       36MTT
14(8)    ~偶a∨ 偶b        7ド・モルガンの法則
14(9)     偶a→ 偶b        8含意の定義
14(ア)         偶b        59MPP
1 (イ)     偶a&(a=b)→偶b   4アCP
1 (ウ)  ∀y{偶a&(a=y)→偶y}  イUI
1 (エ)∀x∀y{偶x&(x=y)→偶y}  ウUI
(ⅱ)
1 (1)∀x∀y{偶x&(x=y)→偶y}  A
1 (2)  ∀y{偶a&(a=y)→偶y}  1UE
1 (3)     偶a&(a=b)→偶b   1UE
 4(4)     偶a&~偶b        A
 4(5)        ~偶b        4&E
14(6)   ~{偶a&(a=b)}     35MTT
14(7)    ~偶a∨(a≠b)      6ド・モルガンの法則
14(8)     偶a→(a≠b)      7含意の定義
 4(9)     偶a            4&E
14(ア)        (a≠b)      86MPP
1 (イ)     偶a&~偶b→(a≠b)  4アCP
1 (ウ)  ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} イUI
1 (エ)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} ウUI
従って、
(04)により、
(05)
① ∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)}
② ∀x∀y{偶x&(x=y)→  偶y}
に於いて、
①=② である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① ∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)}
② ∀x∀y{偶x&(x=y)→  偶y}
といふ「命題」、すなはち、
① xが偶数であって、yが偶数でないならば、xとyは「異なる数」である。
② xが偶数であって、xとyが「同じ数」であるならば、yも偶数である。
といふ「命題」は、「恒に真(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② である。
然るに、
(07)
ゴットロープ・フレーゲ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
フレーゲは、古代ギリシア(ギリシア哲学)のアリストテレス以来の最大の論理学者といわれる。革命的な『概念記法』(Begriffsschrift) は1879年に出版され、アリストテレス以来2,000年変わらずに続いていた伝統論理学を一掃して論理学の新時代を切り開いた。今日の数学で定着している∀(任意の)や∃(存在する)のような量化はこのフレーゲの業績に基づいている。フレーゲは命題論理と述語論理の公理化を最初に行った人物であり、特に述語論理はそれ自体がフレーゲの発明である(実際には概念記法は高階論理の体系であり、ラムダ計算の祖ともいえる極めて先駆的なものである)。
従って、
(01)(04)(07)により、
(08)
① xが偶数であって、yが偶数でないならば、xとyは「異なる数」である。
② xが偶数であって、xとyが「同じ数」であるならば、yも偶数である。
といふ「命題」は、「恒に真(トートロジー)」であって、尚且つ、
①=② であるものの、このことは、「概念記法(1879)」が書かれる以前には、「論理学的」には、「証明不能」であった。
といふことになる。
(09)
(ⅰ)
xが偶数であって、yが偶数でないならば、
x=2a(偶数)
y=2b-1(奇数)
に於いて、aは整数、bも整数。
従って、
(ⅰ)により、
(ⅱ)
x=y ならば、そのときに限って、
2a=2b-1
然るに、
(ⅲ)
2a=2b-1
2a-2b=-1
2(a-b)=-1
2(a-b)=偶数=-1
然るに、
(ⅳ)
-1 は、偶数ではない。
従って、
(ⅰ)~(ⅳ)により、
(ⅴ)
「背理法(RAA)」により、
x=2a(偶数)
y=2b-1(偶数でない)
に於いて、
x=y ではない。
従って、
(ⅰ)(ⅴ)により、
(ⅵ)
xが偶数であって、yが偶数でないならば、
x=y ではない
然るに、
(01)~(09)により、
(10)
「(ⅰ)~(ⅵ)」に於ける「証明」と、
1  (1)     偶a&(a=b)      A
1  (2)     偶a            1&E
1  (3)         a=b       1&E
1  (4)     偶b            23=E
    (5)     偶a&(a=b)→偶b   14CP
  6 (6)             ~偶b   A
  6 (7)   ~[偶a&(a=b)]     56MTT
  6 (8)    ~偶a∨(a≠b)      7ド・モルガンの法則
  6 (9)     偶a→(a≠b)      8含意の定義
    (ア)~偶b→[偶a→(a≠b)]     69CP
   イ(イ) 偶a&~偶b            A
   イ(ウ)~偶b                イ&E
   イ(エ)    [偶a→(a≠b)]     アウMPP
   イ(オ)     偶a            イ&E
   イ(カ)        (a≠b)      エオMPP
    (キ) 偶a&~偶b→(a≠b)      イカCP
    (ク)  ∀y{偶a&~偶y→(a≠y)} キUI
    (ケ)∀x∀y{偶x&~偶y→(x≠y)} クUI
於ける「証明」は、「全く、似てゐない」。
従って、
(07)(10)により、
(11)
「記号論理学」を始めたのは、数学者であったとしても、「数学の証明」と、「論理学の証明」は、「殆ど、似てゐない」。
然るに、
(12)
その一方で、
一階述語論理は、数学のほぼ全領域を形式化するのに十分な表現力を持っている。実際、現代の標準的な集合論の公理系 ZFC は一階述語論理を用いて形式化されており、数学の大部分はそのように形式化された ZFC の中で行うことができる。すなわち、数学の命題は一階述語論理の論理式によって記述することができ、そのように論理式で記述された数学の定理には ZFC の公理からの形式的証明 (formal proof) が存在する。このことが一階述語論理が重要視される理由の一つである。この他にペアノ算術のように単独で形式化する理論もある(ウィキペディア)。
との、ことである。