音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

認知症対応型グループホームの音楽療法

2022-03-25 20:38:41 | 音楽療法実践
グループホームへお訪ねする音楽療法のひと時は共有性、社会性、非日常性の中で
歌唱、楽器活動、軽運動、鑑賞、回想、会話等の活動になります

コロナ禍における日常生活は認知症を患っておられる人にとっても
戸惑いや不安は少なからずあり、さらに職員さん達は多くの心遣いと
皆様との平穏な気持ちの共有を願っておられることが伝わってきます。

春を感じる色、写真(満開の梅、土筆)、音楽によって、心が軽く、華やいでくるのでしょう。
表情が明るくなり、個別性の高い回想から会話が弾んできます。
80才から90才過ぎの年齢幅になると、時代の進み方が緩やかになっています。
美しい桜の写真や民謡、卒業の歌が掲載されている現在の小学校の教科書を見ながら、
懐かしい音楽が継承されていることをお伝えして歌詞を読み、
メロディを奏でて歌につなぎます。
*「さくらさくら」「もみじ」「ソーラン節」は小学校4年生の教科書に掲載
  写真は小学音楽「音楽のおくりもの4」より

認知症を患っていた義母も曾孫が使用していた現在の教科書を見ながら、
「綺麗ね~。これが教科書なの~?」と言い、美しい紅葉の写真を見ながら
直ぐにひとりで歌い始めました。慌ててスマホで録音した事を思い出します。

季節感あふれる歌には歌詞を追って歌うだけではなく、歌っていた頃の自分の
世界に浸ることができ、時には次から次へと思い出されて話が続きます。
きっかけは季節写真や歌詞ですが、ご本人の懐かしい世界は広がるばかりで、
多くの記憶が甦ります。

たとえ会話が難しい人でも、表情や様子の変化がみられる時には、
ご家族と他の職員さんと共有するために写真やビデオを撮られています。
認知症を患って参加している人、ケアをされる職員の皆様、伴奏者と私。
音楽のひと時を共有している空間の中で皆が一つになっていると感じられる時があり、
時々胸がいっぱいになります。

人生の先輩から教えていただくことも、尊敬の念を抱くことも多くあり、
私自身が心の安寧を感じるひと時でもあります


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