音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

昭和99年9月9日の日に『昭和歌謡史』を読む

2024-09-10 12:46:06 | 研究関連
昨日は‘昭和99年9月9日’であり、縁起が良い日というニュースが流れていました
中国では縁起の良い奇数が「陽の日」とされ、奇数が重なる日を祝いの日と考えられており、
日本の奈良時代に伝わり、平安初期より宮中行事として定着してきたようです。
本来は旧暦でしたが、現代でも3月3日(上巳の節句;雛祭り)、5月5日(端午の節句:子どもの日)、
7月7日(七夕の節句)を楽しんでいます

9月9日の重陽の節句は‘菊の節句’とも言われていますが、それより私は昭和99年という
数字に気付かされ、あらためて‘昭和’という時代を感じてみました。
折りしも、ちょうど新刊の『昭和歌謡史』(2024年8月発売)を読んでいた所でした。
史学博士の刑部(おさかべ)さんが書かれており、まさに音楽の歴史書として
大変興味深く楽しみながら読ませていただいております

昭和元年は大正天皇が12月25日に崩御されてからの数日になりますが、96才で別れた
母は大正15年生まれですので、まさに母の時代だった昭和をあらためて学ぶ機会に
なりました。音楽療法の現場においても、多くの人生の先輩から歩まれてきた時代を
学ぶと共に、時代の変遷に伴ってきた社会の音楽を楽しませてもらいました。

義父母からも伝え聞いてきた蓄音機を皆で囲んでいた時代、大きなラジオが玄関に
あった時代、背伸びして映画を観に行った時代、ハーモニかをポケットに入れていた時代。
ピアノに憧れていた時代・・。
明治時代から伝承されてきた地域の話題に音楽は欠かせません

新民謡として昭和7年の‘『茶切節(ちゃっきりぶし)』作詞:北原白秋.作曲:町田嘉章’と
昭和8年の‘『東京音頭』作詞:西條八十、作曲:中山晋平’が改題して発売されたことなどは
当時の歴史と共に学ぶことができます。

純文学を好み、芸術性の高いクラシックの歌手を目指していた東海林太郎、
東京音楽学校声楽部を主席で卒業した藤山一郎、ジャズバンドを結成していたディックミネ、
等々、昭和初期からの多才な音楽家についても詳細な時代背景が書かれています。
「昭和歌謡の夜明け」から「戦時歌謡」、「暗い戦争と明るい歌謡曲」・・・・・
「昭和歌謡は輝いている」まで

現在の日本社会でも韓国でも流行している1980年代の「昭和歌謡」と言われている
楽曲とはかなり異なっていることが分かり、音楽の歴史の変遷を楽しめる一冊です。

参考文献
 『昭和歌謡史』・刑部義則(おさかべよしのり)著・中公新書・2024