音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

「井戸端会議」のような音楽療法♬

2024-08-24 09:19:00 | 音楽療法実践
昔の多くの家に井戸水があった頃、水を汲みながら、その場で家事をしたり、
世間話をしたりしていた雰囲気を「井戸端会議」と言われていたようです。
何となくそんな雰囲気を感じるグループホームの音楽療法でした

音楽療法では予め大まかなプランは準備しますが、ライブな雰囲気を大切に
しながら臨機応変な進行になります。
カバサやギロ等の珍しい楽器を実際に持っていただくと様々な反応があります。
「これは難しいわぁ」「音が小さいくて聞こえにくいわ」「こんなん見た事ない」
「何ていう名前?」「私も欲しいから買うわ」等々・・・。

認知症対応型グループホームは対象になる皆様のお住まいなので、
私たち(音楽療法士と伴奏者)は訪問者になります。
お迎えする側の気遣いやマナーは培われて来られた皆様なので、
始まり時は丁寧なご挨拶や労いの言葉をかけていただき、接客側の
お気遣いは不変なことといつも感じています。

山の日の記念日もある8月なので、山に纏わる涼し気な曲を準備した中で、
「木曽節」の歌詞幕を見るとすぐに歌い出されました。
長野県の木曽地方で始まり、太鼓や笛などの鳴り物が無い民謡としても知られ、
ラジオ放送で全国一斉に流れたことも流行した一因だと言われています。
木曽の奥深い山々に歌声だけが響き、品の良い踊りを入れた民謡だと認識しています。

歌詞は「ナカノリサン」「ナンジャラホイ」「ヨいヨイヨイ」の決まりを入れれば、
他は自由に作って歌を楽しむことと言われています。
例えば、「立てば芍薬、座れば牡丹」「歩く姿は百合の花」の言葉を利用すれば、
 「立てば ナ~ナカノリサン 立てば芍薬 ナンジャラホイ 座れば牡丹 ヨイヨイヨイ
  ハ~ ヨいヨイヨイのヨイヨイ」
と歌うことができます。手拍子だけでも十分楽しめる民謡です

ご存知な諺などの歌詞を入れて自由に作ることが出来ることをお伝えすると、
「そんなんで歌えるなら私もあとで考えてみるわ」と言われ、
どんな言葉が木曽節の歌詞になるかを考え、歌われる時を想像してみました。

楽器は日常生活においては珍しく、音色もさることながら実際に触れて楽しまれます。
インドネシア産のマラカスは軽く、音も小さいのですが、オレンジ色の下地に描かれた
絵からでも夏を感じられて喜ばれていました。
「ヤシの実かしら?」「何が入っているのかしら?」「上手に描かれてるね~」等々。
新奇性と操作性を含む活動になり、さらに歌唱も入れると「デュアルタスク」を
超える活動になります。

認知症を患っておられることはご一緒していると折々に感じられますが、
ご本人らしさが溢れる言葉や活動は「井戸端会議」を皆で楽しまれているように感じました。
職員さんと私たちも一緒に笑い合いながら、プラン通りではない自由で生き生きとした
雰囲気の中に‘音楽’が存在しているというひと時になりました