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音楽療法のライブ日記

音楽療法士がお届けする、日々の活動記録と情報発信のブログです。

スピリチュアルケアに音楽を♪

2010-05-21 23:02:19 | 音楽療法実践
生きることへの強い不安を感じる時に必要とされる「スピリチュアルケア」と
「精神的、心理的ケア」とは区別することが難しいと
窪寺俊之さんは『スピリチュアルケア入門(2000)』で述べておられます

さらに、「スピリチュアルケアの実践を難しくしている問題は、
スピリチュアルペインが非常に個人的、人格的、内面的な問題である点です。
そのために患者は過去の人生での自分のすべてを明らかにしなくては
ならないことがでてきます」と続きます。

実践においてお互いに関わり合うという意味では援助者サイドも
同様に明らかにする必要があることを感じます。
時には一方的になり易い「対象者と援助者」の関係が、
双方向性を持った行き来を始めた時に、ふっと心が軽くなることがあります

身体や言語から伝えられる「人生まるごと」を受け取って、
しっかり返球していく気持ちを大切にしたいと思います。
人生まるごとの中心に「魂の存在」があります。

臨床で実際にスピリチュアルケアを進める上で助けになる方法として、
窪寺さんは『音楽を一緒に聴きながら感想を話し合う』をあげておられます
沈静から活性まで、音楽は多様な作用を持っています。
優しい気持ちを添えて、あなたなら大切な方とどのような音楽を聴きますか・・

忘れられない音楽療法のひと時♪

2010-05-20 21:15:15 | 音楽療法実践
どのような病気であっても「理解する」ことは容易ではありません。
人を無視した態度、不真面目な態度、ひねくれた態度、人を非難する態度などの
人格変化を伴う病気がありますが、ご本人の病識が無いことから
コミュニケーションに大きな支障をきたします。

関わる周囲の人はその態度が病気から生じているとは思えず、
気難しい人、空気を読めない人、偉ぶっている人、横柄な人などと、
徐々にご本人から遠ざかってしまう傾向があります。
専門家ではないご家族の方も関わることに戸惑いを持たれる日々が続きます。

その施設では様々な「クラブ」があり、好きな時にいつでも参加できます
職員さんの声かけによって参加されることもありますが、その方は
ほとんどすぐに席を立ってしまわれ、「クラブ」に参加されることはありませんでした。
その「病識の無いご本人」が、たまたま自ら音楽療法に参加されました

アットホームな雰囲気の中集団ですが、一番後ろの席に座られました。
慣れた多くの皆様とは少し様子が異なっていることを感じました。
熟年の男性が好まれる傾向の「知識」「音楽分野」「演奏」に配慮しながら、
自然なアイコンタクトを持って居心地の良い場になるように「意識」を持ちました。

徐々に表情が柔らかくなり、話題に関して自発的な発言があり、
職員さんとの関わりにも笑顔が見えてきました
終了後のカンファレンス時に、「(入所されて4ヶ月)初めてあんなに穏やかな
態度や笑顔を見て、感動しました。本当に嬉しかったです。最後まで参加されて、
音楽の力って凄いと思いました。」と、二人の職員さんが口を揃えておっしゃいました。

言語ではない、音色やメロディやリズムが溢れる時空間に「心の居場所」が
あったのではと感じます。初めてのご縁をいただいた「ライブ」でしたが、
私にとっても忘れられないひと時になりました

「音楽療法Q&A」のひと時♪

2010-05-12 07:30:45 | 音楽療法実践
音楽療法に関する様々なご質問にお答えしながら、
ざっくばらんに話し合えるひと時を企画しております
どのようなご相談やご質問にも可能な範囲で
3名の学会認定音楽療法士が誠心誠意お答えさせていただきます。

音楽が多様な要素を持っているうえに、心理的、社会的、対人的などの
療法としての側面があり、医学から福祉までの広い分野に亘って
実践が拡がっていますので、理解されにくいのではと感じています。

そこで、どのようなお尋ねもありながら井戸端会議のような
「音楽療法の世界」へお気軽にお立ち寄りいただければと思います。
日本音楽療法学会のこと、新制度になります認定音楽療法士のこと
音楽療法士の活動状況について、音楽療法を利用すること、最新研究のこと、
一緒に参加すること、何となく興味があること、仕事のヒントにしたいこと、
等など、どのような内容になるかは参加いただく皆様の意のままに・・・。

お仕事のご都合を考慮して、日曜日と月曜日の2時間ずつ、計4回を設けておりますので、
その中からひと枠を選択いただきまして、お申し込みいただければと思います。
以下に詳細をご案内させていただきます。
皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

******「音楽療法をあなたと共に考える会」******
日時(いずれか1つ選択):
   5月30日(日)①午前10時~12時 ②午後1時半~3時半
   5月31日(月)③午前10時~12時 ④午後1時半~3時半
場所:奈良県大和郡山市三の丸会館(近鉄郡山駅より徒歩3分)研修室3
費用:1000円  定員:各回とも先着20名
申込:ご氏名.ご連絡先.日時の選択(①~④).ご質問内容をご記入下さい。
   FAX番号:0743-21-3641(西村)
   メール:onen@iris.eonet.ne.jp

五月の奈良を歌う♪

2010-05-10 20:09:42 | 音楽療法実践
今日、奈良公園で子鹿のバンビが生れました
昨年は連休中だったような気がして、心待ちにしていたニュースです。
体長52cm、体重3800gという発表でした。
映像ではふらふらと起き上がる微笑ましいバンビの姿があり、
明日は早速♪「子鹿のバンビ」を歌いながらのご挨拶になります

奈良の田原地区には茶畑があり、二日に八十八夜を迎える五月に
♪「茶摘み」を歌うと、体験された方が手で摘む仕草をされます
お茶の種類から、嗜好まで話題に事欠かない季節です。
お茶つながりで日本一の生産地である静岡の歌も入ります。

奈良の大淀町にある梨やリンゴ、みかん園の花がそろそろ咲き始めています。
白い花が咲くこの季節には♪「白い花の咲く頃」♪「カチューシャ」
♪「みかんの花咲く丘」など、花の写真を見ながらゆっくり歌います

海が無い奈良県ですが、爽やかな風薫る五月をたっぷり感じる歌で
皆様とご一緒に「奈良の地」を巡るひと時を楽しみます。
歌いながら、ふと奈良めぐりの観光バスに乗った気分になります
途中で観光バスがいつの間にか♪「高原列車は行く」になっていきます。
「70歳も若返った気分だわ」と、爽やかな笑顔が溢れます。


平城遷都1300年祭「応援ソング」♪

2010-04-26 23:08:38 | 音楽療法実践
地域の難病パーキンソン病患者・家族の会が自主的に年間を通じて
活動されている中で「音楽療法の集い」を担当させていただいています。
今年10年目を迎えて貯まったリクエストは延べ148曲になります

今回のリクエスト曲の一つに♪「大和路らぷそでぃ」をいただきました。
パーキンソン病は歩行に困難を伴う症状があります。
リクエストをされた方は「すくみ足が少し解消されるように思います」と
理由を話され、同じ症状の皆様にお薦めしたいというお気持ちが伝わりました

この歌は平城遷都1300年祭の応援ソングだと言われています。
初めて聞いた時、「軽やかなリズム」による「爽やかさ」と「楽しさ」に心惹かれました。
その上、歌詞には奈良と「なら」を掛詞にした「遊び心」が溢れており、
私には♪「東京ラプソディ(昭11)」と♪「大阪ラプソディ(昭51)」に加わる
『三都ラプソディ』の風格まで感じられました。

平城宮跡をひと回りするだけでも結構な距離を歩くことになります。
♪奈良らぷそでぃを口ずさみながら、1300年前に想いを馳せてみませんか。
唐から伝わった多くの「音楽」と融合することも夢ではないかもしれません
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平城遷都1300年祭

2010-04-24 06:31:41 | 音楽療法実践
平城遷都1300年祭のメイン会場になる平城宮跡に
第一次大極殿正殿がいよいよ今日から一般公開されます。
9年の歳月をかけて復元された姿に心が躍ります

藤原京から移った平城京は共に同じ奈良県の南北に位置し、
遠路はるばる来られる方には南に位置する飛鳥、橿原にも
足を延ばしていただき古代の雰囲気を感じてもらえたらと思います。

明治33年の♪鉄道唱歌の中に東海道編以外の全国の歌があり
関西地方には「♪奈良めぐり」があります
七大伽藍の鐘の音、三笠山、興福寺、猿沢池、東大寺、西大寺、
法華寺、法隆寺、竜田山、奈良人形、奈良扇などの歌詞が並び、
1番から8番まであります。

1300年祭の今年度は音楽療法や音楽回想法の実践において
利用する機会が増えています。
歌詞から話題が広がり、奈良をあらためて知る機会になっています

110年前の歌ですが、歴史と文化を感じる空気が漂います
音楽のメロディと歌詞から感じる香りや色彩、情景を楽しむ
「想像の世界」へ誘われてみませんか

一本のスカンポから

2010-04-20 18:50:23 | 音楽療法実践
少し支援があれば生活出来る方、軽度から中度にいたる認知症の方、
60歳代から100歳近い方々が20名ほど集まって来られる
音楽療法の集いで、若い職員さんが大変驚かれました

この時期になると出来る限り「スカンポ」を持参してお訪ねします。
始まる前にBGMを演奏していますが、今日は来られる全員の方に
スカンポをお見せしながらお迎えしました

すると、「イタドリや」「スカンボや」「イッタンドリ言うたわ」
「よく食べたわ」「もう無いのかと思ってた」「懐かしいなぁ」
などなど、たったお一人都会育ちの方だけが名前として出てきませんでしたが、
後で「名前は聞いたことがあるわ」とおっしゃっていました。

その様子を見ていてスカンポをご存知ない職員の方はとても驚かれました。
認知症があって日常の会話が難しい人もあっさりと答えられたからです。
そのくらい皆様にとっては馴染み深いものだったと言えます。
ただ、♪スカンポの咲く頃♪の歌になるとご存知だったのはお一人だけでした。
北原白秋さんと山田耕筰さんのゴールデンコンビによる作品です。
可愛らしい歌によってスキップする子どもの世界へ誘ってくれます

さらに、スカンポの節で切り落として鳴らすと笛に変身です。
短くしていくと音が高くなっていき、皆様が驚いてくださいます。
一本のスカンポですが、音楽の要素も含めて
様々なコミュニケーションに繋がり、大いに楽しみました

音楽療法をあなたと共に考える会

2010-04-08 07:06:32 | 音楽療法実践
音楽療法の実践をしていますと、関係者や地域にお住まいの方から
「音楽療法士の音楽療法学会認定資格はどのように取得できますか?」
「音楽療法の研修会や研究会はどこで、いつ実施されていますか?」
「音楽療法の実践にボランティアとして参加することは可能ですか?」
「音楽療法の依頼窓口はどこでしょうか?」・・等々
多くのご質問をいただきます

そこで今回、ともに実践を積み、研究を重ねている
学会認定音楽療法士2名の仲間と一緒に
第1回『音楽療法をあなたと共に考える会』を開催することにしました
ご興味のある方にお気軽にご参加いただき、様々なご質問に真摯にお答えすると共に、
音楽療法に関する様々な資料、今年度の学術大会の詳細などをご用意いたします。
さらに、音楽療法士3名がそれぞれ継続している実践について、
倫理的な配慮をした上で分かりやすくお伝えしたいと考えています。

音楽療法が少しずつ普及していることは実感していますが、
まだまだ狭義な音楽療法と広義な音楽療法、療法的活動などが混在している感があり、
今回はしっかりと向き合うことができればと思い、開催にいたりました
音楽療法士サイドからの視点とは異なるものをいただくチャンスになり、
私たち音楽療法士にとっても貴重な学びに繋がる機会になることでしょう。

日曜日が休日の方、平日のみが休日な方、ともにお越しいただきたく、
5月30日(日)と5月31日(月)の両日とも午前10時~12時、午後1時半~3時半の計4回を予定しています。
奈良県大和郡山市三の丸会館(近鉄郡山駅徒歩3分)研修室で開催いたします。
全て定員は先着20名、参加費は千円とさせていただきます。
詳細など内容に関するお問合せ、お申し込みは以下のアドレスへお願いいたします。
onen@iris.eonet.ne.jp

ALS訪問音楽療法♪

2010-03-31 08:21:15 | 音楽療法実践
昨年の11月に始まりました「第2回ALS訪問音楽療法プロジェクト」が
この3月で終了しました。*ALS(筋萎縮性側索硬化症)
第1回は兵庫県において実施されましたが、今回は近畿全体へも範囲を拡げて
いただき、ここ奈良県においては初めてのプロジェクトになります。
国家資格化されていない音楽療法は医療や介護施設、行政で実践することが多く、
負担が大きくなる訪問音楽療法には未だ難しい現実があります。

音楽療法士がペアを組んで、県内に在住されているALS患者さん3名の方の
お宅へ訪問させていただきました。
今月でお別れしなくてはならないと思うと、私は寂しい限りです。

介護をされているご家族の方の様々な音楽との思い出をうかがい、
あらためてお一人おひとりの人生という物語に寄り添ってきた音楽の存在を感じます
♪思い出のアルバムの歌詞にある「あんなこと、こんなこと、あったでしょう・・」
・・・音楽を通して語られていきます。

さらに、私がお訪ねしたご家庭には「記憶されていた音楽」がありました。
奥様は青春時代にギターを習われていた頃の本を別室から持ってこられ爪弾かれました。
息子さんは‘心の余裕が無くて弾けなかった’と言われながら、
一年振りのギター演奏でバッチリと参加してくださいました。
ご主人が誕生日にプレゼントされたギターは磨かれて参加しています

懐かしい音楽、記憶していた音楽、絆になっていた音楽・・・。
自然体で歌い、演奏し、ベッドのご主人の手に添えて踊られるという
アットホームな雰囲気の中、私たちが癒された感があります
日々の暮らしの中で生演奏のひと時を楽しんでいただくことになれば幸いです。
またいつか、お目にかかる日まで・・・暫しのお別れです
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心温まるライブなひと時♪

2010-03-29 08:02:39 | 音楽療法実践
音楽療法のご依頼を受けて初めてお訪ねする時に
緊張感とともに出会える楽しみを抱くことになります

多くの場合は面識のある方からのご依頼が多く、
大よその雰囲気はつかみながら行くことができますが、
今回のようにホームページを通してのご依頼をいただきますと、
メールや電話のみの打ち合わせになり、関係者の方を始め、
場所や雰囲気などによる関わりや進行も想像しながらということになります

そんな初めてのお訪ねで、お手製の季節溢れる生け花と
ホワイトボードに手書きの桜やテーマを添えて温かく迎えていただきました
そのお気持ちは参加される皆様にも伝わり、和やかな雰囲気を醸し出しました。

ホッとできる空間作りや対人援助的な温かな雰囲気が
お互いに初めて会う緊張感を解すことになり、
音楽によるコミュニケーションがスムーズになります。
それによって「その瞬間」のダイナミズムな流れが自由に変化していきます

希少難病の患者さんとご家族の方を対象にされた集いでしたが、
共有している雰囲気が予想していた進行とは異なる「ライブ」に繋がり、
何とも言えないアットホームで心地良い空間になっていきました
今回は参加された皆様お一人おひとりのマンパワーを感じました。
寒の戻りを告げている中、温かな心で足取り軽く岐路に着きました。
ご縁をいただきました皆様に感謝の気持ちを添えて・・・