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Goodbye Pork Pie Hat

2012-07-22 16:32:18 | 日記
「Goodbye Pork Pie Hat」は偉大な音楽家、Charles Mingusの
アルバム『MINGUS AH UH』に収められている曲、レスター・ヤングの
死を悼んで作曲されたものだ。



この歌はJoni Mitchellのアルバム、その名も『MINGUS』でもとりあげられて
いるのだが、



今日紹介したいのはこれ、



『JEFF BECK/WIRED』。

これは本当にいいアルバムなのだが、ここでも「Goodbye Pork Pie Hat」
が演奏されていて、それがものすごいのだ。

なにしろ、ロックもジャズもブルースもクロスオーバーも右も左も(笑)
わからないようなギター少年(当時まだ中学生)だった私が、ギターを
学ぶにあたって「とりあえずこれを聴きなさい」と先輩に教えてもらった
アルバムだったのだが、そのような「ど素人」の少年の延髄をみごとに
叩きつけるような衝撃だった。

後にこの少年はロックやブルースに傾倒してゆくことになるのだが、
いまでもこの衝撃は忘れていない。

今でもジャズっぽいサウンドにあこがれて、ジャズを勉強したりしているのは
この確実にアルバムの影響もあると思う。

ジェフ・ベックの演奏はロックの魂でジャズをやったらこうなる、という
ひとつの典型というかお手本のようなことをやっているのだが、ギターの
トーンが局面ごとに変化し、うなりをあげている。
これほどすごいギター・サウンドはあまり聴いたことがない。
強いて言うなら、ラリー・カールトンの「リオのサンバ」のフィードバックする
ところ(なんてマニアックなんだ!!)くらいかな…。

コードもスケールもなにも知らなかった私が夢中になってコピーした曲で、
コピーはしたけど、このサウンドを忠実に再現することなど到底できっこない
わけだが(今でもできない、そんなお金はない(自慢か!!))、
それでもレコードをかけながら(当時はカラオケなんかないし)、ジェフ・ベック
といっしょになって弾いて結構悦に入っていたのを覚えている。
部屋も暗くしてさ…(笑)。

要するにジェフ・ベックのギターはどんなにイクイップメントが充実していようが、
気合が入っていないと弾けないのだが、この少年は気合だけはあった(笑)。

こうして陶酔しきっている時にかぎって、母親が私の部屋をあけるもんだから
さあ、大変!! その時の気まずさといったら…、

もとい、話がそれた。

ともかく、このアルバムは本当にすばらしい。
随分しばらくぶりにこのアルバムに針を落とすのだが感動が色あせない。

最近思うところがあって、MINGUSばかり聴いている。
ミンガスは「怒り」を自身のサウンドに込めた。

ジェフ・ベックもギターに彼の怒りを込めたのかも知れないと、ふと思った。



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