沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理における1市2村のごみ処理計画を考える(まとめ)※追加資料(補助金の利用について)

2016-03-17 10:27:24 | ごみ処理計画

広域処理においては、広域施設の整備に当って国の補助金を利用することが絶対条件になります。

中北組合と中城村と北中城村は浦添市との広域処理を「選択肢の1つ」としていますが、広域処理を「推進」するために浦添市と協議会を設立して覚書を締結する場合は、事前に「確実に国の補助金を利用するための事務処理のスキーム」を確認しておく必要あります。

なぜなら、それが、広域処理を「推進」するための絶対条件になるらです。

そこで、今日は、浦添市と中北組合との広域処理において、広域組合が「確実に国の補助金を利用するための事務処理のスキーム」について、関係法令の規定に基づいて整理をしてみました。

なお、このブログの管理者は、「運転経費が高い」という理由だけで何の措置も講じずに老朽化していない(長寿命化も行っていない)溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っている中北組合は、もしかしたら、ごみ処理計画が補助金適正化法の財産処分の規定と廃棄物処理法の処理基準に適合していれば国の補助金を利用して広域施設の整備を行うことができると、どこかで考えているのではないかと思っています。

しかし、浦添市は、そんなことはまったく考えていないと思っています。なぜなら、浦添市は平成24年度に廃棄物処理法の基本方針に従って経過年数が補助金適正化法の処分制限期間を超えている焼却炉や「運転経費が高い」溶融炉の長寿命化を行っているからです。そして、廃棄物処理法の基本方針に従って、最終処分場の残余年数を維持するために、焼却灰の資源化を推進しているからです。

ただし、中北組合が溶融炉を休止したままでは広域処理を「推進」することができないことを十分に理解している場合は、平成28年度において広域処理を「推進」するための予算の確保に当って浦添市との間で「確実に国の補助金を利用するための事務処理のスキーム」に関する確認ができていると考えています。

なお、中北組合の事務処理に関する予算については中城村と北中城村の予算から確保することになるため、他の自治体から「収入」を確保することになります。このため、組合の事務処理については地方財政法第4条第2項の規定(収入の適実かつ厳正な確保に関する規定)が適用されることになりますが、そのことについては、最後に書きます。

ということで、下の画像をご覧下さい。浦添市や中北組合が作成しているスキームがどのようなものであるかは分かりませんが、地方公共団体は法令に違反して事務処理を行うことはできないので、消去法で考えると、このスキームしかない(残っていない)と考えています。

原寸大の資料(画像をクリック)

広域処理においては地方自治法の規定も適用されますが、他の法令に違反する事務処理を行わなければ無視することができると考えています。したがって、①補助金適正化法、②地方財政法、③廃棄物処理法の規定に基づいて整理します。

(1)補助金適正化法の財産処分の規定に適合していても国の補助金を利用することはできない。

上の画像にあるように、溶融炉の経過年数が補助金適正化法の規定に基づく処分制限期間を超えているとしても、それは単に「補助金の返還が不要になる」だけのことであって、そのことをもって、地方財政法や廃棄物処理法の規定が適用されなくなるということではありません。

(注)仮に中北組合が広域施設の整備を「休止している溶融炉を廃止するための代替措置」として考えている場合は、自主財源により広域施設を整備することになります。しかし、その場合は広域施設が完成するまで広域組合が焼却灰の民間委託処分を行っていくことになるので、浦添市も国の補助金を利用することができなくなります。なぜなら、1市2村において廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することができなくなるからです。

(2)溶融炉を廃止していない場合(所有している場合)は、地方財政法の規定に従って適正な運用(所有の目的に従って効率的な運用)を図らなければならない。

溶融炉を廃止している場合は、溶融炉という財産を所有していないことになるので、この規定は適用されません。しかし、休止している場合は財産を所有していることになります。したがって、その財産(溶融炉)の適正な運用を図るためには再稼動しなければならないことになります。

(注)中北組合は「運転経費が高い」という溶融炉を整備している市町村にとっては「当たり前」の理由で溶融炉を休止していますが、溶融炉を整備している市町村が処分制限期間を経過した時(財産処分を行っても補助金の返還が不要になると判断した時)に休止又は廃止をして何の措置も講じずに焼却灰の民間委託処分を行うようになったら、そして、それでも新たにごみ処理施設を整備するときに国の補助金が利用できるようになったら、溶融炉の長寿命化を行う市町村はなくなってしまいます。また、国の基本方針である最終処分場の残余年数を維持することができなくなってしまいます。

(3)溶融炉を再稼動した場合は、地方財政法と廃棄物処理法の規定に従って長寿命化を行わなければならない。

このことについては、このブログで何度も書いているので説明を省略します。

(4)中北組合の溶融炉の再稼動と長寿命化は浦添市の財政に累を及ぼすような施策になる。

このことについても、このブログで何度も書いているので省略します。ちなみに、中北組合の溶融炉が浦添市の溶融炉のように国内において稼動している事例や長寿命化が行われている事例がある場合は、再稼動と長寿命化を行っても浦添市の財政に累を及ぼすような施策にはならないと考えます。

(5)溶融炉を廃止するための代替措置については「外部委託」を選択肢から除外しなければならない。

中北組合が単独で代替措置を講じる場合は「外部委託」も選択肢になりますが、浦添市との広域処理を前提として代替措置を講じる場合は選択肢から除外しなければなりません。なぜなら、「外部委託」が困難になった場合は代替措置を講じていないことになり、広域組合は広域施設の整備に当って国の補助金を利用することができなくなる(浦添市の財政に累を及ぼすことになる)からです。特に中北組合の焼却灰は塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)なので、他の自治体に比べると「外部委託」が困難になるリスクがかなり高い状況になっています。

(注)中北組合が「外部委託」により単独で代替措置を講じた場合であっても、「外部委託」が困難になった場合は、やはり国の補助金を利用することはできなくなるので、自主財源によりごみ処理施設の整備を行っていくことになります。

以上が、このブログの管理者が考えている浦添市と中北組合との広域処理において広域組合が「確実に国の補助金を利用するための事務処理のスキーム」です。

なお、中北組合が浦添市と同じように溶融炉を長寿命化して最終処分場の残余年数を維持するために焼却灰の資源化を推進している場合は、地方財政法の規定や廃棄物処理法の基本方針に従ってごみ処理を行っていることになるので、「確実に国の補助金を利用するための事務処理のスキーム」を作成する必要はないと考えます。

しかし、中北組合は平成26年3月にごみ処理計画を改正して平成26年度から平成35年度までの10年間は溶融炉を休止(実質上は廃止)して焼却灰の民間委託処分を続けて行く計画(平成35年度までは国の補助金を利用しない計画)を策定して住民に告示しています。したがって、浦添市と中北組合(実質的には中城村と北中城村)が広域処理に関する事務処理に関する平成28年度予算案を議会に提出する場合は、地方財政法第4条第1項及び地方自治法第222条第1項の規定に従って、「確実に国の補助金を利用するための事務処理のスキーム」を作成して議会に説明する必要があると考えます。

特に地方自治法や廃棄物処理法においては市町村の条例に匹敵する規定でもあるごみ処理計画において広域処理を検討課題としていない中北組合(中城村・北中城村)の場合は、ごみ処理計画(国の補助金を利用しない計画)の大幅な見直しを伴う予算案になるので、地方自治法第222条第1項の規定を無視して広域処理に関する予算案を議会に提出することはできないと考えます。

なぜなら、中城村と北中城村は広域処理においても国の補助金を利用しない予算案になってしまうからです。

そして、浦添市も広域処理において国の補助金を利用できない予算案になってしまうからです。

浦添市と中北組合(中城村・北中城村)の平成28年度予算案の議会への提出に関する事務処理を整理すると下の画像のようになります。

原寸大の資料(画像をクリック) 

 【地方財政法第4条第1項】

地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。

【地方自治法第222条第1項】

普通地方公共団体の長は、条例その他議会の議決を要すべき案件があらたに予算を伴うこととなるものであるときは、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込みが得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない。

なお、中北組合は、法制度上、中城村や北中城村とは別な自治体(議会もあり議員もいる自治体)になります。そして、広域処理を推進するための事務処理に関する組合の予算は中城村と北中城村からの「収入」として確保することになります。このため、組合の事務処理については下の画像にあるように地方財政法第4条第2項の規定が適用されることになります。

 原寸大の資料(画像をクリック)

このように、中北組合が平成28年度において広域処理を推進するために支出する予算(中城村と北中城村からの収入)については、①必要最少限の予算であること、そして、②予算を適実かつ厳正に確保する必要があります。

したがって、中北組合における平成28年度予算案の議会への提出に当って「確実に国の補助金を利用できる事務処理のスキーム」に対する説明を行わなかった場合は地方財政法第4条第2項の規定に抵触することになり、広域処理を推進するための予算の支出ができないことになると考えます。

【地方財政法第4条第2項】

地方公共団体の収入は、適実且つ厳正に、これを確保しなければならない。

最後に、地方公務員ならば誰でも知っている(知っていなければならない)法令の規定をアップしておきます。

【地方自治法第2条第14項】

地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。

【地方自治法第2条第16項】

地方公共団体は、法令に違反して、その事務を処理してはならない。