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【ゲームクエスト】実況おしゃべりパロディウス ~フォーエバー・ウィズ・ミー~

2010-10-08 19:34:20 | ゲームクエスト
実況おしゃべりパロディウス ~フォーエバー・ウィズ・ミー~(プレイステーション)

2006年3月20日掲載

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 パロディウスシリーズは、MSX版の「パロディウス」に始まり、アーケードで「パロディウスだ!」、「極上パロディウス」と続いて、スーパーファミコンで出た本作「実況おしゃべりパロディウス」、その後再びアーケードで「セクシーパロディウス」と出ております。本作はプレステへの移植にあたって追加ステージがあるようです。

 シリーズも三作目四作目ともなると、マンネリ化しているとも言われかねませんが、パロディウスシリーズはとにかくプレイヤーに楽しんでもらいたいというサービス精神が旺盛で、いつまでも飽きずにプレイしています。特に本作は難易度も適度で、シューティングが苦手な人でも楽しめますし、にぎやかで笑えるグラフィックによってシューティング嫌いの人にも興味を持ってもらえるのではないかと思います。

 パロディウスシリーズとは、もちろんグラディウスのパロディーですが、他のシューティングのパロディーもあります。本作では、もはやグラディウスシリーズの戦友とも言えるダライアスやアールタイプ(レオ)のパワーアップも使えて、シューティング好きの私にとってはまさに夢の競演です。

 そして本作の最大の特徴は、八奈見乗児さんと小原乃梨子さんによる実況です。このお二人は、言わずと知れたアニメーション「タイムボカンシリーズ」の真の主役である三悪人のうちの二人です。実況と言っても特に高度なおしゃべりをするわけではないのですが、誰もが知っている声を聞くと、ゲーム中でもつい和んでしまいます。

 このように本作はプレイヤー本位の優良ゲーム、なのです、が、私はそれ以外に大変に強い意志を本作から感じるのです。

 実況のお二人が出演されていたタイムボカンシリーズの売りは何かと言うと、「マンネリズム」でしょう。どんなに頑張っても必ず三悪人は負けるのですが、その負けっぷりこそが売りでした。マンネリズム(mannerism)とは、マナー(manner、やり方・作法)にのっとるという意味で、悪い意味しか持たないわけではありません。時代劇などもマンネリズムですし、伝統芸能などはマンネリズムの極致でしょう。

 本作にマンネリズムの象徴とも言えるお二人に出演していただいたのは、制作者たちがマンネリズムを肯定し、シューティングをその先に向かわせようとしたのではないかと思うのです。

 マンネリズムって悪いものでしょうか。二作目や三作目になるにつれて人気が落ちるシリーズって、マンネリ化して飽きられたというよりも、マンネリ化しないように異質な要素を取り入れすぎて楽しみのポイントがぼけた、という場合が多いような気がするのです。マンネリズムとは、制作者が楽しみのポイントを心得ている、ということだと思います。大事なのは、余計なものをくっつけることではなく、いらないものを削ぎ落とすことです。

 シリーズ物のゲームは、安易であるとしばしば言われます。既存のシステムに乗っかって簡単に続編が作れる、というイメージがあるからでしょう。でも、マンネリズムの意味を理解すれば、シリーズを重ねるほど面白さの切れ味は増すことになりそうです。したがって制作者は安易な続編は作れないし、プレイヤーも続編を安易だと思うことも無くなるような気がするのです。そういった意味で、パロディウスシリーズは当初から制作態度が変わっておらず、その楽しさにも変更が無いことに感服するのです。

 マンネリズムを極めると、それは「ジャンル」と呼ぶべきものになるでしょう。そこで、例えばグラディウスシリーズをジャンル化することはできないでしょうか。メーカー(コナミ)はグラディウスシリーズを作る権利を別のメーカーに与え、そのメーカーは思い思いのグラディウスを作る、というのはどうでしょう。不可能ではないと思います。実際に「ウィザードリィ」はそのようなやり方をしていますし、何より、本作もダライアスやアールタイプに尊敬の念を示しているではありませんか! このように、シューティング資産の共有化という概念さえ本作から透けて見えるのです。

 このような強い想いが込められていると私は考えているのですが、それは制作者側の態度であって、プレイヤーの問題ではないかも知れません。そしてもう一方で、本作はプレイヤー本位の優良ゲームであり、パロディウスシリーズ自体も明確なメッセージを発信し続けています。ゲーム制作者のメッセージとは、突き詰めて言えば、全てのゲームにおいて、後にも先にもそれ一つだけです。

それは、

「このゲームを楽しんでくれ!!」