スーポーおじさんの世界ふしぎ物語3/なだいなだ・訳/筑摩書房/1983年
昔話というとパターンがきまっているかと思うと必ずしもそうでは、ありません。
コンゴのこの話は、どう受け止めたらいいでしょうか。
魔法使いに笛をうまく吹くことをおしえてもらった男。男が笛を吹くと牝牛たちは、皆笛吹のあとを追って駆け出します。こうして笛吹は村の牝牛を盗み出していました。
手伝っていたのは、三人の妹の一番上。この妹が魔法の言葉で川になにかごちゃごちゃ言い、腰につけた布で三回川をたたくと、川の水は両側にわかれ、またすぐにとじます。このため追っては泥棒をつかまえられませんでした。
ところが、男は牛のおいしい肉は妹ふたりと食べ、一番上の妹には脚だけしか残しませんでした。
しかし次には一番脂ののったおいしい肉をくれるかもしれないと思い、また泥棒の手助けをします。
けれども、今度もおいしいところは、下の妹二人で食べ、一番上の妹には脚だけ。
不満をもった妹が、その次には、いつものまじないをとなえなかったので、男は追っ手におわれてすぐに殺されてしまいます。
妹二人が自分たちがやってきた非を認めたので、うえの妹が薬草で男のからだをこすると、男(兄)は、おきあがります。
この兄と妹が、ふたたび牛泥棒をしてきても、おいしい肉は妹二人と兄で食べてしまいます。
もういちど盗みをしたとき、うえの妹は、まじないをしなかったため、兄はすぐに殺されてしまいます。
妹二人がもういちど頼んでも、うえの妹は、こんどこそは頼みをことわります。
食い物の恨みはこわいですが、それにしても下の妹二人はなにをしていたのか、よくわからない存在。
兄との関係も特別なことはでてこないので首をかしげる話です。
出版されたのは1983年で、作者はザイールの話としていますが、1997年5月独裁政権だったモブツ政権が崩壊。その後、国名がザイール共和国から現在のコンゴ民主共和国に変更されています。
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