どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

クモのつな

2023年12月06日 | 絵本(昔話・外国)

   クモのつな/さくま ゆみこ・訳 斎藤隆夫・画/福音館書店/2023年(初出2008年)

 

 西アフリカ・シエラレオネの由来話。

 むかしむかし、雨のふらない日が長く続き、大地から緑が消え、食べ物が手に入らないので、動物たちはみんなお腹がすいて ふらふらになり、がりがりに やせていました。

 あるひ、ルンルン気分で、鼻歌を歌っていたノウサギを見て、動物たちが聞いてみると、暗くなったら、食べ物があるところにつれてってやるというのです。前の日、ノウサギはクモのお母さんのところで、たくさんならんだ食べ物を 食べていました。

 ノウサギは、みんなをつれて木の下にいくと、昨日のクモの真似をして歌います。

 ”おかあさーん、おかあさん!

 やってきたのは ぼくですよ。

 つなをおろしてくださいな。”

 すると、木の上からするすると つながおりてきて、みんなはおしあい へしあいながら ようやく つなをつかみました。それをみて、ノウサギは、つぎの歌をうたいます。

 ”おかあさーん、おかあさん!

 つなを ひっぱってくださいな。”

 つなは のろのろあがっていきました。どうぶたちは びっくりして、「わあ!」「ひゃあ!」「きゃあ!」と おおさわぎ。

 こえをきいて、ねむっていたクモがめをさまし、すずなりに なって つなにぶらさがっている動物たちをみて、いそいで 歌いました。

 ”おかあさーん、おかあさん!

 のぼっていくのは ぼくじゃない。。

 つなを きってくださいな。”

 クモの おかあさんが つなをきったので 動物たちは みんな 落ちてしまいました。

 やがて 雨がふり、大地には緑が戻ってきましたが、動物たちの姿は もとに もどりませんでした。しかし、落ちたことが原因で、ヒョウには斑点が残り、ラクダにはこぶが、ヤマアラシには とげが、カメは甲羅を背負い、ゾウの鼻は 長く、ノウサギは、いまでも 穴でくらしています。

 はじめ、動物たちが がりがりに やせているので、最後を見ないとわからないものがあります。特に、やせたカメが なにか わかりませんでした。前後を対比しながら見ていく楽しみもあります。

 クモのつなを のぼるのは、ノウサギ、ゾウ、ラクダ、ヒョウ、ヤマアラシ、カメの順。虹を思わせる クモのつなの 丈夫なこと 丈夫なこと。

 

 シエラレオネも、この絵本を見なければ知らないままだったかも。


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